TPP交渉で「聖域」とされていた畜産や酪農は、結果的に大幅譲歩され、関税引き下げを受け入れることになった (c)朝日新聞社
TPP交渉で「聖域」とされていた畜産や酪農は、結果的に大幅譲歩され、関税引き下げを受け入れることになった (c)朝日新聞社

 夏の参院選がダブルというのはブラフで、裏では12月に総選挙が画策されている。しかし、賄賂疑惑、“ゲス不倫”、閣僚の失言など“たるみ”が目立つ安倍政権。本誌が自民党の大票田である農協組合長らにアンケート調査すると、支持率は3%。怒りは沸点に達しつつあった。

 農業を営む農協の組合員たちは、安倍政権をどう思っているのか。そこで本誌は全国の農協に緊急アンケート調査を行った。

 アンケートは、日本全国に679あるJAグループの農協(16年1月1日現在)のうち、145組合を抽出して2月に実施。55人の組合長や理事らから回答を得た。

 その結果は驚くべきものだ。安倍政権の農政改革については、74.5%が「支持しない」と回答。「支持する」と答えたのは、わずか3.6%だった。参院選で与党候補を推薦するかをたずねた項目では、「推薦する」は37.7%にとどまり、「推薦しない」との回答も13.2%あった。「決まっていない」は49.1%にのぼった。

 この惨状に驚いた読者も多いだろう。ただ、日本農業新聞に掲載された「JA組合長アンケート調査」(1月4日付)でも似た傾向が出ていた。同調査では、安倍政権の農政に9割が不満を感じていて、参院選の結果については、「与野党逆転とまでいかなくても与野党の勢力が拮抗している状態」を望む人が75.3%を占めている。

 TPPで管内の農業にどのような影響があるかも聞いた。アンケートを依頼した時点で、TPP対策の大枠は発表されていたが、81.8%が「マイナスの影響がある」と回答。「プラスの影響がある」と答えたのは、わずか1.8%だった。

 自民党の参院幹部は、「厳しい声は覚悟していたが、想像以上だ」と驚きを隠せない。

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