◇ 不安やネガティブ思考を可視化する

 この方法は、普段から心がけてみよう。どうしても不安がぬぐえない時は、クリップを100個、左のポケットに用意し、イライラや憂鬱、不安など負の感情を感じた時に、一つずつ右のポケットに移動させる。目に見えない感情の動きを、物として見ることで、次第に要因が整理でき、対処法が見いだせる。

◇試験の当日のストレスを予(あらかじ)めイメージしておく

 予想外の出来事は、大きなストレスになる。「寝不足」「交通機関の遅延」「朝の食欲不振で試験中に空腹」など、トラブルを想定しておきたい。飴を用意したり、早めに出発したりと対処法が浮かぶはずだ。

「どれだけ準備してもハプニングは起きるもの。それでも予め想定しておけば、『やっぱり起きたな』と余裕をもって受け止め、『起こると思っていた』と感じられます。そういうストレスをあえて作って、イメージの中で解決しておいてほしいですね」(田中さん)

 ストレス想定の重要さは、豊田教授も言及する。

「一流のアスリートは最悪の状態をイメージします。不測の事態に準備ができ、いい結果につながるんです」

◇鏡に向かって、自分を褒めまくる

 試験当日の朝、鏡を見て具体的に。叱咤激励よりも、「ここまでよく頑張ってきたね」「自分の実力を信じよう」「やるべきことをやってきた」など自己肯定に直接つながる言葉が肝心だ。

「優しい天使のイメージでほほえみながら語りかけるんです」と田中さん。試験直前だけでなく、日常生活に取り入れると、ポジティブ思考の傾向をつくれる。

「専門的には『介入セルフチアアップ』といいます。『これだけのことをやった』という自信につながるのです」(豊田教授)

◇試験開始まで3回深呼吸

[1]起床直後[2]電車の中など、会場までの途中[3]試験会場で着席した時の3回、ゆっくり深呼吸をしよう。

「1、2、3、4」と頭の中で数えながら、鼻から吸い、口から細く長く、息を吐く。吸う時の倍ぐらいのカウントで吐くのがポイントだ。副交感神経が優位になり、リラックスできるホルモンが脳内に分泌、建設的思考になり、実力を発揮しやすくなる。

週刊朝日  2016年2月19日号より抜粋