「CMは幅広い年齢層に、いかに訴えられるかが重要。国民的ヒットが不在の今、世代を超えて語り継がれる物語に着目するのは、自然な流れかもしれません。みんなが知っている物語に、いかに気の利いたギャップを与えられるかが、人気を分かつ重要なポイントでは」(CM総合研究所関係者)

 利用者の奪い合いで、熾烈な競争が繰り広げられる携帯電話キャリア各社。キャリア別契約数(昨年9月時点)は、NTTドコモが45%とトップ。2位のKDDI(au)は29%、3位のソフトバンクが26%としのぎを削る。サービス内容そっちのけのCMが目立つ。

「これだけスマホが普及した今、各社が違いを訴えるのは至難の業。多額の予算を投じてCMを打つからには、微妙な差をつくより、いっそのこと振り切ってしまったほうがイメージアップが期待できるという思惑が強いのでは」(慶応義塾大学の大石裕教授)

 CMで「遊べる」企業は、今年も安泰そうだ。

(本誌取材班=牧野めぐみ、上田耕司、亀井洋志、山内リカ、松岡かすみ/今西憲之、岸本貞司)

週刊朝日  2016年2月5日号