防衛相直轄の陸自の中央即応集団という司令部も13年にキャンプ座間(神奈川県相模原市など)に移った。

 在日米海軍司令部のある横須賀基地(同横須賀市)には10月、横須賀を事実上の母港とする原子力空母としては2隻目となるロナルド・レーガンが入港し、米船舶数は過去最多になった。

「湾岸戦争やイラク戦争の時も、米軍は日本から出撃した。ISとの戦線が泥沼化し、拡大すれば、米国本土よりセキュリティーが脆弱な日本が狙われる可能性も出てくる」(元自衛隊員)

 沖縄を犠牲にした日米軍事の一体化、自衛隊の隷属化を進めることは、大きなリスクを背負うことになる。だが、安倍政権は米国に要求されるまま、従属し続けている。

 日本は約40年間毎年、いわゆる「思いやり予算」を支払ってきた。95年以降は2千億円前後、計上している。

 思いやり予算で負担するのは、基地で働く日本人従業員の賃金、米軍人の水道光熱費だ。ほかにも、基地内のゴルフ場やテニスコート、映画館など娯楽施設、教会、小学校や幼稚園などの建設費も賄う。しかも、米軍住宅は3LDKで広さは120平方メートル、駐車場とバーベキュースペースまで付けている。

 思いやり予算の支払額は、5年ごとの日米両政府による特別協定で決められ、日本側は今年700億円の減額を提案したのに対し、米国は逆に30%(約570億円)の増額を要求した。

 その上、安倍政権になると、米国から輸送機・オスプレイを17機、無人偵察機グローバルホーク、ミサイル迎撃に対処できるイージス艦など計2兆円以上を次々と“爆買い”。軍事ジャーナリストが言う。

「オスプレイは当時の防衛相がボタン一つでヘリの羽根が閉じることに感動した、と購入した。現場はどうするんだと頭を抱え、配備計画に頭を悩ましている。空中給油機など高価な買い物をローンでどんどんしている。有志連合に加盟する他国やゲリラも同様に米、仏から兵器を購入。軍事利権が裏で蠢(うごめ)く限り、テロは終息しない」

(本誌・亀井洋志、西岡千史)

週刊朝日 2015年12月4日号より抜粋