床に散乱したモノにつまずけば転倒する。頭上のモノが落下して当たると一大事だ。火事や地震などの災害時に逃げ遅れれば命にもかかわる。

 手放す目安は、「愛着を感じないもの」「目に入るとストレスを感じるもの」「使っていないもの」。ポイントは「まだ使える」ではなく、「使いたい」「持っていたい」で判断することだ。迷うものは「とりあえずボックス」に入れ、半年後、1年後に見直してみる。

 しまい方にもコツがある。使うものは使う場所に置き、一緒に使うものはまとめて収納すること。高い所に上ったりかがんだりしなくてもラクに出し入れできること。老いと共に筋力が低下することも考慮し、収納ケースは透明で軽く、小さいものを。重い箱だといずれ一人では動かせなくなり、大切な品も“死蔵品”と化すだけだ。

「好きなモノに囲まれて楽しく暮らしたいが、自分亡き後、周囲に迷惑をかけたくない」と悩む人には、どんな方策があるだろうか。

 遺品整理士の認定団体である遺品整理士認定協会の川崎航さんは、

「処分にかかる費用の準備と、だれに譲るのか、捨てるのか、その方法を明記しておくことです」

 と話す。故人宅から来歴不明の日本刀や大量の着物などが出てきて、処置に困る家族は少なくないという。

「残念ながら大事な骨董品でも、値が付かないこともあります」(川崎さん)

 遺品整理業者にあらかじめ見積もりを依頼し、処分にかかる費用を準備しておくのが得策といえそうだ。

週刊朝日 2015年10月30日号より抜粋