(※イメージ)
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「歌に、こんな力があるなんて」

 小学校4年生のとき、劇団四季のミュージカル「キャッツ」を観た、俳優の井上芳雄さん。元娼婦の老が、「自分にも新しい人生を与えてほしい」と歌う、「メモリー」を聴いたとき、「歌で、こんなに心が震えるんだ」と驚いた。

「以来、“将来は劇団四季に入りたい”と思うようになったんです。両親と一緒に教会に通っていたので、僕も賛美歌を覚えて、人前で歌って褒められたり。歌が得意という自覚は子供の頃からありました。声帯を震わすとか振動させる行為って、誰にとっても快感だと思うんです」

 中学から声楽のレッスンを受け、高校に入学すると、東京芸大に進学しようと目標を定める。

「高校在学中、福岡の音楽コンクールで1位になったとき、“これなら、芸大に合格するのも夢じゃないかもしれない”と思いました。基本的に負けず嫌いなので、できないことがあると悔しくて、何とかそれを克服しようとする。で、結果が出ると、“これならいけるのかな”と、また次に挑戦していく。その繰り返しでここまできた感じです」

 大学在学中に、ミュージカル「エリザベート」のオーディションに合格し、ミュージカルデビューを果たす。以来、“ミュージカル界のプリンス”と呼ばれるように。

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