翁長沖縄県知事 (c)朝日新聞社 @@写禁
翁長沖縄県知事 (c)朝日新聞社 @@写禁

 安倍政権との“決戦”に備え、沖縄県の翁長雄志(おながたけし)知事は7月31日、首相官邸で菅義偉官房長官と会談。米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設問題をめぐり、前知事による埋め立て承認の「法的瑕疵(かし)」を指摘し、取り消す意向を伝えた。基地なき後の戦略とは──。

 菅官房長官とのわずか15分の会談を終えた翁長知事は、その足で東京都内のホテルに向かった。

 かりゆし姿の県職員が案内する中、大ホールに用意された約400席がどんどん埋まっていく。異様な熱気に包まれつつ始まったのは「沖縄県企業誘致セミナー」。県が10年以上前から定期的に開催しているものだが、参加者が年々、増加。前日には大阪市内でも開催し、主に中小企業の経営者らで約170席が埋まったという。セミナーの冒頭には、翁長知事が登壇し、こうアピールした。

「本県は、アジアの巨大なマーケットに近接する地理的優位性を生かし、事業者の海外展開を促進する施策を実施している。本県の入域観光客は毎年、過去最高を記録。空港の国際物流ハブ機能も拡充されている。ぜひ、わが県へ!」

 那覇空港の「物流ハブ化」は、今の沖縄経済を語る上で外せないキーワードだ。構想が始まったのは2007年。東アジアの主要都市間を4時間以内で結べることから、全日空が推進し、国際貨物専用便が相次いで就航。荷物は行き先ごとに分けられ、次の便で異国の市場へ送られる。13年にはヤマト運輸も連携し、那覇空港を拠点に、シンガポール、上海、香港、マレーシアなどへ小口貨物の国際宅急便を開始している。物流業者にとっては、非常に魅力的なポイントだ。

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