このように被害者が置き去りにされる状況を見かね、手を差し伸べる自治体が現れ始めた。

 恵庭市は今年1月、金澤さんへの医療費の支給に踏み切った。保険診療の自己負担分を全額支払う上、硬直した体のマッサージなどの保険外診療についても半額を、5万円を上限に出す。担当の武田憩一保健課長が言う。

「13年10月に金澤さんから『娘の症状はワクチンの副反応ではないか』という電話を受け、市長や保健師や担当部長らが自宅へ様子を見に行きました。そこでこんなにひどいのかと驚いた。すぐに接種した病院に働きかけ、国に副反応報告を出してもらったんです」

 市を介して北海道へも障害者手帳を申請。現在審査中だ。美唄市も同じ時期に同じ条件で、1回目の接種直後から娘(17)が重い健康障害に苦しむ佐藤美也子さん(42)さんに支給を始めた。

 これより先に動いていたのは横浜市。14年6月から今年2月末までに15人に対して計725万円を支給した。担当者が説明する。

「接種したのは地元自治体。その結果、苦しんでいる人が目の前にいるなら、身近な私たちが動くのは当然ではないでしょうか」

 このほか医療費支給という独自支援に乗り出したのは東京都杉並区や武蔵野市に加え、茨城県牛久市は車椅子でも通えるよう中学の校舎を一部改修した。恵庭市へは自治体から問い合わせが殺到しているといい、今後も広がりそうだ。

週刊朝日 2015年5月8‐15日号より抜粋