長谷川博己がゲスな男役 ドラマ評論家「見事」と評価 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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長谷川博己がゲスな男役 ドラマ評論家「見事」と評価

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男女の理想の関係は…?

男女の理想の関係は…?

 話題作の多い今期のドラマ。なかでも久々に恋愛モノとなった月9に注目するのはドラマ評論家の成馬零一氏だ。

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 今クールのドラマが出そろってきたが、いつになく豊作だ。

 しかも、『問題のあるレストラン』『残念な夫。』(ともにフジテレビ系)、『◯◯妻』(日本テレビ系)など男女の関係を問い直すような作品が多く、比較しながら楽しんでいる。

 フジテレビ系月曜夜9時から放送されている『デート~恋とはどんなものかしら~』も、そんな一作。月9では久々の恋愛ドラマだが、なかなか一筋縄ではいかないラブコメディとなっている。

 東京大学大学院数理科学研究科出身の藪下依子(杏)は、内閣府経済総合研究所に所属する研究員。父親の俊雄(松重豊)から見合いを勧められるが、恋愛に興味がないためお見合いはことごとく失敗。一方、高等遊民を自称する谷口巧(長谷川博己)は無職のニート。本がびっしりと積まれた部屋にひきこもっていたが、巧を心配する幼馴染みの島田宗太郎(松尾諭)に無理やり結婚相談所に登録させられる。そんな巧のプロフィールに依子が興味を持ち、二人はデートすることに。

 しかし、異性と付き合ったことがない二人のデートはどうにもかみ合わない。やがて、依子を心配して後をつけていた俊雄の知人の鷲尾豊(中島裕翔)が、巧は体が目当てで依子に近づいたと勘違いしたことでデートも台無しになる。その後、巧は現実の女性には興味がなく、35年間一度も女性と付き合ったことがない、と告白。これで二人のデートは破たんするかと思われたが、依子も、自分も恋愛経験がなくデータにしか興味がない、巧を選んだのはプロフィールの数字が1979年7月23日181cm/67kgと、すべて“素数”だったからだ、と告白する。

 二人は恋愛がわからないもの同士、意気投合し、理想の契約(結婚)を目指してデートを続けることになる。

 脚本は、『リーガルハイ』の古沢良太。理屈っぽいドラマを得意とする古沢らしい“恋愛という概念”自体を揺さぶる恋愛ドラマとなっている。データにしか興味がない依子と、フィクションの世界にしか興味がない巧という“理系vs.文系”の極端なキャラクター同士のやりとりは、見ているだけで楽しい。

 依子は論理的な思考の持ち主だが、どこか抜けていて、胸につけるコサージュを頭につけてデートに現れる。また、死んだ母親(和久井映見)の幻覚と対話するという、危ないシーンが盛り込まれている。長身の杏が早口で記号的に演じているためか、まるで恋愛感情がわからないことにロボットが悩んでいるかのようだ。

 また、巧は母親に代わる“新たな寄生相手”を求めて依子と付き合おうとする最低の男。長谷川博己はこういうゲスな男をカラッと明るく演じさせると、実に見事である。

 興味深いのは恋愛を信じない二人が理想の契約関係を作ろうとする姿が、遊川和彦・脚本の『◯◯妻』とは正反対だということ。おそらく遊川にとって契約は愛の正反対にある抑圧だが、古沢は、若い男女にとっての理想的な関係として描いている。

 もちろん、本作も契約を超えた恋愛を二人が知るという恋愛賛歌に反転する可能性もゼロではないのだが、『リーガルハイ』で感情よりも理屈が勝つ姿を執拗に描いてきた古沢のことだ。このまま、最後まで突っ走るのではないかと期待している。

『デート』と『◯◯妻』、この2作を同時に見れば、より一層楽しめるはずだ。

週刊朝日 2015年2月13日号


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