「しょっちゅう、離婚というものが…」名物“エロ本”編集者の苦悩 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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「しょっちゅう、離婚というものが…」名物“エロ本”編集者の苦悩

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たまもの

神蔵美子著

978-4480876164

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自殺

末井昭著

978-4255007502

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たまきはる

神蔵美子著

978-4898153949

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 エロ本業界の名編集者・末井昭と、妻の写真家・神藏美子。彼女が2002年に出した、前夫・坪内祐三氏(文芸評論家)と末井氏との「三角関係」を記した私的ノンフィクション写真集『たまもの』(筑摩書房)は当時、話題を集めた。結婚した二人にはすぐに危機が訪れたという。そして、「イエスの方舟事件」の千石剛賢氏(2001年没)に話を聞いてもらいに出かけたと明かす。

夫「もう別れたいと深刻な気持ちで千石さんのところに行ったのが、その年のクリスマスイブ。着くまでお互い口もきかない状態だったのが、千石さんの話を聞いているうちにスーッと悩みが消えていった」

 その日のことは、夫のエッセー集『自殺』に詳しく記されている。妻が質問箱に書き入れた紙を取り出した千石氏は、ミサを始める前、「きょうは最初に、この悩みにお答えいたします」と語りはじめた。

夫「坪内さんが大けがをして、この人が向こうに戻っていったりしていた。坪内さんへの情が断ち切れず、どっちつかずの状態。この人がした質問は、『結婚しているのに別の人を好きになった人間は幸せにはなれないのでしょうか』というものだったと思う。千石さんは『ただ相手の幸せを祈れ。相手の幸せを考えなさい』と言うんです。その答えより、千石さんが親身になって祈ってくれることに、自分の迷いが癒やされたというか……」

 妻の12年ぶりの新刊本『たまきはる』の中にも、その日の夫の、安堵した笑顔の写真がある。

夫「僕らは聖書に救いを求めた二人なんですよ」

妻「そう言うとキリスト教ですかということになっちゃうんだけど、ふだん教会に行こうとは思わないし、行けば違和感がある」

夫「千石さんのことを最初は『ハーレムのオヤジか、いいなぁ』と思ってて、それが入り口だったんだけど」

妻「あの日、千石さんが真剣に答えてくれているというのは伝わってきました」

 とはいえ、穏やかな日々ばかりではない。『たまきはる』には銀杏(ぎんなん)BOYZの峯田和伸氏、劇団毛皮族の江本純子氏も登場する。この二人をめぐって、夫婦に再び波紋が広がる。

妻「彼らを撮るようになったのは、末井さんに連れられてライブや舞台を観にいったのがきっかけで」

夫「そしたら、この人から、突然二人のことが好きだと打ち明けられるんですから。明らかに恋愛感情」

妻「……」

夫「僕が嫉妬するも何も。この人は暴走機関車みたいになっていましたから、もう止めようがない」

妻「わたしは末井を一番の親友だと思っているので、感情をすべて隠さずしゃべってしまう」

夫「そういうのは、ふつうは隠すんですよね。それを言う。僕としてはどうしたものかとは思いますよ。本当につきあいだしたら困るなぁ、そうなったら俺は岡本一平になるべきかとか。二人とも僕も好きだったから、嫉妬はなかったけど」

妻「結局、わたしがモテなくて、さびしい結論にいたってよかったね、ということなんですけどね」

夫「そんな人だから、しょっちゅう僕の中で、離婚というのがもち上がっていました」

妻「末井は意外と短気ですからね(笑)」

(聞き手・朝山 実)

週刊朝日 2015年1月30日号より抜粋


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