世界展開する日本の鉄道事業 (c)朝日新聞社 @@写禁
世界展開する日本の鉄道事業 (c)朝日新聞社 @@写禁

 2015年の日本株は上がるのか。昨年末、第3次安倍内閣が発足し、安倍晋三首相は経済最優先を強調した。アベノミクス3年目となる今年こそ、経済政策が本格的に進展すれば、恩恵を受ける企業が続出するかもしれない。いったい、どのような銘柄を狙えばいいのか。専門家に聞いた。

 インフラ輸出では鉄道や航空関連に注目だ。

「日本信号は鉄道の信号機をつくるだけでなく、稼働させる通信網の技術もピカイチ。正確で安全な信号機は世界で独壇場です。また、IHIは航空機エンジンの技術に定評がある。中国や東南アジアなど新興国の航空機需要が伸びており、追い風が吹いています」(岡三証券投資戦略部ストラテジストの小川佳紀氏)

 大和証券シニアストラテジストの高橋卓也氏もグローバル企業に着目する。

「日立製作所はイタリアの防衛・航空大手フィンメカニカに鉄道事業の買収を提案しています。この買収が実現すれば、鉄道システム事業のグローバル化が加速され業績拡大が期待できます。日本電産は独自動車ポンプ大手のGPM買収を発表しており、エコカー向けの製品開発と受注が拡大する見込みです」

「外国人の観光客誘致」も期待できる。日本の電化製品は外国人に人気。まず恩恵を受けるのが家電量販店だ。

「ビックカメラは買収したコジマとの統合効果が表れ、同業他社の中ではコストが抑えられている。また、外国人には日本製のカメラも人気が高い。12年に上場したばかりで中古カメラなどを販売するシュッピンも注目です」(小川氏)

 日本食も人気だ。うどんを手ごろな値段で食べられる「丸亀製麺」を運営するトリドールなどが期待できるという。

 三越伊勢丹ホールディングスなどの百貨店や、東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドも客数の増加につながるという。

「特に三越伊勢丹は銀座・新宿に大型店舗があるので増加する観光客の需要を獲得しやすい。三越銀座店の11月の免税品の売り上げは前年同月比で約3倍になっています」(高橋氏)

 そのほかでは、「3世代同居」も注目だ。自民党は12月の衆院選の公約で、地方への人口移動促進のために、親子3世代で同居した場合、税制優遇を受けられる措置を盛り込んだ。住宅メーカーへの恩恵が見込めるという。

「長谷工コーポレーション、積水ハウス、三井不動産はいいかもしれません。三井不動産は、日本橋の再開発も手がけています。投資先を選ぶ際は、業績や将来性とともに、ROE(自己資本利益率)の高いものを選んだほうがいいでしょう」(国際エコノミストの今井澂氏)

 最後に、「TPP」と「医療」を紹介したい。企業による農業生産法人への出資規制緩和や、耕作放棄地を都道府県が強制的に借りる制度の導入など、安倍政権は農業改革にも取り組む。また、社会保障費を抑える医療改革も本格化する可能性もある。

「注目しているのは、日本農薬と日医工。農薬メーカーの日本農薬は国内だけでなく、グローバルでも伸びている。TPPの締結でさらに利益が伸びる可能性はあります。また、膨らむ医療費を抑えるため、安倍政権はジェネリック医薬品(後発薬)の使用を促している。ジェネリック医薬品を扱う日医工も期待できると考えます」(今井氏)

 投資は自己責任で。

週刊朝日  2015年1月16日号より抜粋