大そうじの季節だけれど、足腰が弱っていたり、体力のない高齢者には、かなりの重労働。長年の汚れがたまっている実家をなんとかしたい、かといって離れて住んでいたり、多忙だったりして、ついつい先延ばしにしてきた。そんなとき、思い切って他人にお願いしてしまうのも一つの手かもしれない。おそうじ代行サービスを利用するのだ。

 実際、ニチイ学館事業統轄本部の萩真由美さんは言う。

「最近は都市部で働くお子さんから、実家の大そうじをしてほしいという依頼もあるんですよ」

 ただし、知らない人が家のそうじをすることに抵抗感のあるお年寄りも多い。

「いざスタッフが訪問すると、『聞いてない、そうじなんていらない』と言われる場合もあります。無理強いはできないので、一度引き返してお子さんに説得してもらうこともあります。親子の間でコミュニケーションをとってもらうことが大切ですね」

 子供が依頼したケースではないけれど、ニチイ学館の家事代行サービスを使ったそうじを見学してみた。都内の郊外に住むKさん(86)は夫を4年前に亡くしてから一人暮らし。週2日、ニチイ学館の訪問介護を受け、買い物や介護保険内の簡単なそうじなどをしてもらっている。Kさんは自炊もしていて、

「毎晩ビールを飲むので、魚や肉でちょっとしたおつまみを作るんですよ」

 と言うが、使えば汚れるのが台所。レンジ周りの油汚れのそうじは介護保険内ではしてもらえない。そのため、家事代行サービスでレンジ周りのそうじを頼んだという。

 朝、Kさん宅を訪ねたのは普段から訪問介護に訪れる顔見知りのスタッフ。勝手はわかっているので、てきぱきと台所のものを片付け、業務用スプレーでそうじを始めた。1時間弱でレンジはピカピカに。

「自分じゃできないから、うれしいわね」

 と、Kさんも満足顔だ。

 料金は地域によって異なるが、1時間5400円から。週1回以上の家事代行定期プランなら、その半額程度になるという。

週刊朝日  2014年12月19日号より抜粋