「隠れた依存」も 不眠症の睡眠薬の副作用 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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「隠れた依存」も 不眠症の睡眠薬の副作用

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週刊朝日#健康

 睡眠薬に抵抗感をもち、治療開始が遅れたり、治療がなされていなかったりする人が多い一方で、睡眠薬の長期使用も問題になっている不眠症。複数の睡眠薬を併用するケースも問題視されていて、14年度の中央社会保険医療協議会診療報酬改定で、睡眠薬は2剤までとし、不適切な多剤併用は禁じられることとなった。

 東京女子医科大学病院で神経精神科診療部長を務める石郷岡純医師は言う。

「現在、睡眠薬には3種類あります。脳内の活動を鎮静させて睡眠を促進するベンゾジアゼピン系と、眠気を誘発する作用をもつラメルテオン(商品名・ロゼレム)、14年8月に承認された新しい薬で11月に発売されたばかりのスボレキサント(商品名・ベルソムラ)です」

 代表的なものはベンゾジアゼピン系で、ラメルテオンに比べて効果が強いが、その分、日中のふらつきや転倒などの副作用もあり、自覚しにくいことが特徴だという。ベンゾジアゼピン系は、服用後に自動車の運転などをしてはいけない。

「大きな問題となっているのが依存性です。半年以上連続服用していると依存が形成される可能性が高まることがわかっています」(石郷岡医師)

 不眠症で薬を服用している人が、薬を飲まない日に不眠があらわれると、「まだ不眠が治っていない」と考えがちだ。しかし、薬の服用をたまたま忘れることなどがあると、そこから不眠や不安、日中の眠さ、スッキリしない感覚などがあらわれる場合があり、これは元の不眠症の症状ではなく、薬の離脱症状だという。

「はじめの不眠と、離脱症状としての不眠を明確に線引きするのは難しいのですが、服薬をやめて直ちに起こる不眠は臨床的に離脱症状と考えられます」(同)

 薬の依存が起きているかどうかは、離脱症状が起きてはじめてわかるため、「隠れた依存」と呼ばれる。これに気付かずに睡眠薬をやめられない人が多数いると、石郷岡医師は指摘する。医師が細かく質問してやっと離脱症状を発見できることも少なくない。

「アルコール依存などの激しいイメージから、『依存』が正しく認識されていない現状がありますが、たとえば『私は医師の指示どおりに服用しているだけで、薬をもっと欲しいとは思わない』という人が『依存がない』とは限りません。依存から脱するには、まず知識をもつこと。減薬の過程では、一晩中目が爛々とすることもあります。本人が服用をやめたいという意志や動機をもち、医師の指導のもと、ゆっくり減らしていくことが重要です」(同)

 長期使用の場合は睡眠薬を急にやめることは危険なため、約2カ月かけて段階的に減らしていく。その際に活用されるのが、認知行動療法だ。眠れないと「早く床につかなければ」と考える人は多いが、不眠症の人は睡眠の濃さを上げるため遅くに寝るほうがいい。こうした指導などを徹底していくという。

「また、不眠症の人には糖尿病やがん、高血圧の発症が多いという健康被害のデータも出ています。症状として先に不眠が出て、あとから別の病気を発症するのです。だからこそ不眠症は治さないといけません。適切な睡眠をとることが大切です」(同)

週刊朝日  2014年12月19日号より抜粋


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