「男に公正証書を書かせるコツがあるんや」 関西連続不審死事件67歳容疑者 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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「男に公正証書を書かせるコツがあるんや」 関西連続不審死事件67歳容疑者

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千佐子容疑者の自宅を捜索する京都府警 (c)朝日新聞社 

千佐子容疑者の自宅を捜索する京都府警 (c)朝日新聞社 

 本誌(3月28日号)がスクープした、関西で高齢男性が次々と“怪死”した事件に捜査のメスがついに入った。11月19日、緊急逮捕された筧(かけひ)千佐子容疑者(67)事件が発覚したのは昨年12月28日午後9時45分ごろ、千佐子容疑者が京都府向日市の自宅からかけた119番通報だ。夫の勇夫さん(当時75)の体内から青酸化合物が検出されたため、京都府警は千佐子容疑者を事情聴取し、自宅を捜索した。千佐子容疑者周辺を取材すると、とんでもない過去がわかってきた。

 これまで結婚したり、交際していた高齢の男性が次々と死亡。多額の遺産を手にしていたことが判明。亡くなった勇夫さんは4番目の夫だった。

 佐賀県生まれの千佐子容疑者は地元の名門高校を卒業後、福岡の大手都市銀行に勤めていたが、九州へ旅行に来ていたTさんと知り合い、最初の結婚。大阪府貝塚市に移り住んだ。若いころは「野際陽子似の美人(写真)だった」(千佐子容疑者の古い知人)という。Tさんとの間に1男1女をもうけたが、94年にTさんが死亡。

 その後、男出入りが激しくなり、婚姻関係にあったのはTさんを含め4人、内縁関係は2人だ。

 千佐子容疑者が手にした遺産は、「総額約8億円。株やFXなど投資で使い切り預金はゼロに近い」(捜査関係者)。

 結婚相談所、婚活サイトなどを通じ、高齢の男性に近づき、交際、結婚。一部をのぞき、短期間で男性が死亡し、遺産を相続するというパターンを繰り返していたのだ。

 捜査が膠着する中、記者は勇夫さんの遺産を相続するのだろうと思っていたが、5月ごろ、千佐子容疑者から意外な話を聞かされた。

「今、お金がなくて困っている。勇夫さんの口座から預金を引き出そうとしたら、あちらの親族から口座をロックされた。生活保護をもらいたい。市役所に相談しようと思っている。弁護士に相談して、勇夫さんの預金を相続するために、民事訴訟も準備してる」

 事実、6月に千佐子容疑者は、勇夫さんの預金を相続する自分に約430万円を引き渡せと、地元の信用金庫を相手取り、京都地裁に民事提訴していた。

 もっとも多く相続したとみられるのは、千佐子容疑者の3番目の夫、大阪府松原市のYさんの遺産だ。Yさんは、旧家に生まれ育ち、若いときは大阪府の大手鉄鋼メーカーに勤務。退職後は、所有していた広大な田畑の「大地主」として借地などで生計を立て、老後の生活を楽しんでいた。

 知人の紹介で千佐子容疑者と知り合い、2008年2月ごろに結婚。同年5月に死亡したという。Yさんの親族が当時をこう振り返った。

「葬儀になって私が喪主をやりますとやってきたのが千佐子容疑者。『公正証書あるねん。私が妻や』と公正証書を振りかざす。結婚したことも知らずびっくりだった。Yさんの遺産を身内はほとんど相続してません。たぶん、千佐子容疑者が大半を相続したはず。農機具まで売り払った」

 Yさん所有の土地でとりわけ価値があったところは、10軒を超す新築住宅が立っていた。売買にかかわったYさんの遠縁の証言だ。

「1億円以上はした。Yさんの自宅も売却している。不動産だけで2億円以上になっているはず。Yさんは初婚で、結婚して間もなく『結婚してよかった。セックスって本当にいいもんだ。ただ、毎晩、あれだけやるとフラフラだ』と話していた。車に乗せられ、遺言状にサインしにいったとも聞いていた。正直、遺産狙いかと思った」 

 2番目、3番目、4番目の夫や内縁関係の男性に公正証書、遺言状などを作成させた理由を千佐子容疑者に質問すると、こう答えた。

「もし、急に亡くなったら、私ひとり、一文無しでほおっておかれる。この年で、つらいやん。だから効力ある公正証書や遺言状、書いてもらう。一緒になるなら、腹くくって書いてと。男の甲斐性みたいなもん。みんな書いてくれたよ。愛があるから」

(今西憲之/本誌・横山 健)

週刊朝日 2014年12月5日号より抜粋


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