特定秘密保護法を批判する荻原博子「マスコミが健全でない国は健全ではない」 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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特定秘密保護法を批判する荻原博子「マスコミが健全でない国は健全ではない」

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東京都渋谷区で10月25日に行われた特定秘密保護法反対を訴える学生らのデモ (c)朝日新聞社 

東京都渋谷区で10月25日に行われた特定秘密保護法反対を訴える学生らのデモ (c)朝日新聞社 

 特定秘密保護法が12月10日、施行される。政府にとって都合の悪い情報が「特定秘密」に指定され、隠されてしまうのではないか。国民の知る権利は守られるのか。多くの疑念を残したままの船出に、各界から危機感を訴える声があがっている。経済ジャーナリストの荻原博子氏もそのひとりだ。

*  *  *
 私は特定秘密保護法には絶対に反対!

 まず、ジャーナリストの取材にしばりが出てくる。特定秘密に指定された秘密をもらした人も、もらすように働きかけた人も懲役刑だと言われれば、取材をするのに躊躇してしまいますよね。マスコミは真実を暴くことも重要な役割。プレス発表だけを報道するなら、マスコミなんていりません。

 情報の精度も落ちます。若い子はネットを中心に情報を仕入れている。今はそれでも新聞など、ちゃんとした情報も入ってくるけど、その情報そのものが正しくない可能性が出てくる。一体何を信じ、何を基準に判断していけばいいのか……。マスコミが健全でない国というのは、健全でないと思います。

 さらに、特定秘密の指定が適正かどうかは、内閣府に作られる独立公文書管理監がチェックするって、そんなの身内じゃないの! 少なくとも国会議員は知るべきですし、裁判所やジャーナリストの協会など、独立した第三者機関で監視しなければ、どうにでも運用できてしまう。きちんと検証もできないことを役人任せにしてはまずい。日本は法治国家なんですから。

 萎縮し、言いたいことが自由に言えないような国になったとき、国民はスポーツで息抜きするようになったりするんです。たとえばナチス・ドイツ。ヒトラーの政権下、ベルリン・オリンピックが開催されて国民は熱狂しましたが、他国の目をそらすチャンスにもなった。それを考えると、2020年に開催される東京オリンピックが目くらましに利用されるんじゃないかとか、ついつい考えてしまう。

 今の日本の社会で、私たちは生活することだけで手いっぱい。消費税が増税されただけでなく、今、第3のビールの増税も検討しているじゃない? 給料は上がらない、明日は会社で自分の首が切られるかもしれない、そんな不安な毎日を送る人たちに反対の声をあげろ、というのは無理な話です。ゆとりがあるからこそ、こういう問題を真剣に考えられるし、勉強できる。

 あきらめムードが漂う日本で、議論が十分とは言えないまま、いわば強硬に特定秘密保護法の施行までもっていった。その強引さの裏に、一体何があるのか。私はとても怖いです。

週刊朝日  2014年11月14日号


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