当初は7カ所に農園をつくる計画も、結局1カ所のみでNPOは解散。これで成果を挙げたなどといっては、補助金を使った意味がどれだけあるのだろうか。まだ続きがある。

 くだんのA氏は自ら設立した合同会社を介し、「ひまわり農園」のすぐ横に広大なイチゴ農園をつくる計画を進めていたのだ。昨年11月、キリンから復興支援金1560万円をもらい建設をスタートしていた。

 計画によると、現地に約2千平方メートルのイチゴハウス(7棟程度)をつくる。地元の協力を得て栽培から販売まで行うことで、復興支援に役立てる狙いだ。

 だが、二つのハウスをつくった段階で早くも資金が底をつき、手詰まりに陥ってしまった。しかも、ハウスや肥料などの購入先であるJAとは、100万円を超える未払い金を巡ってトラブルが発生。現在も解決していない。

 合同会社の元代表者、井島芳孝さん(72)は、近隣の仮設住宅に住む被災者だ。

 A氏に頼まれて代表に就任した。だが、トラブルを次々に生むA氏の一方的な事業の進め方に嫌気が差して今年3月、辞任した。井島さんは憤る。

「被災者のためと言いながら近づいてきて、被災地を食い物にするようなやり方は許せない」

 A氏とは何者なのか?

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