1時間弱の荒海の航海ののち、忽然と島が現れる(撮影/写真部・馬場岳人)
1時間弱の荒海の航海ののち、忽然と島が現れる(撮影/写真部・馬場岳人)
全裸で海に入り、禊をする参拝者たち(撮影/写真部・馬場岳人)
全裸で海に入り、禊をする参拝者たち(撮影/写真部・馬場岳人)

 玄界灘に浮かぶ孤島・沖ノ島は、太古から「神宿る島」とされ、厳しく立ち入りが制限されてきた。「島で見聞きしたことは、口外してはならない」「女人禁制」「上陸者は全裸になって海水で禊(みそぎ)する」「島から一木一草一石たりとも持ち出してはならない」。これらを破れば神罰が下ると恐れられ、その禁忌は現代にも引き継がれている。

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 この島に年に一度だけ上陸し、参拝を許されるのが5月27日の大祭だ。日本全国から集まった、あらゆるいで立ちの男性たち。山伏、漁師、宗教団体、パワースポットめぐりの観光客……。前泊地の宗像市大島では、民宿で相部屋に雑魚寝。翌朝は共に船酔いに耐えながら海を渡り、一糸まとわぬ姿で禊(みそぎ)をし、粛々と参拝する。港に戻るころには、ふしぎな連帯感すら感じられた。「もう会うこともなかろうが、お元気で!」。男たちは皆、それぞれの帰途に就いた。

週刊朝日  2014年6月20日号