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キューバからの助っ人外人が誕生 今後はどうなる?

連載「ときどきビーンボール」

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週刊朝日#東尾修
キューバ代表チームの主砲を務めたセペダ(写真:gettyimages)

キューバ代表チームの主砲を務めたセペダ(写真:gettyimages)

 キューバ代表チームの主砲を務めたセペダ外野手が巨人に入団し15日、4番デビューを飾った。長年待たれていたキューバ助っ人選手の来日が今後も期待されるが、西武の元監督で野球解説者の東尾修氏は「トラブルにならないためにも、取り決めが必要だ」と訴える。

*  *  *
 キューバの選手が続々と日本に来ている。巨人にフレデリク・セペダが入り、DeNAにはユリエスキ・グリエルの入団が決まった。もう20年くらい前から海外への選手派遣を解禁するという話があったが、いよいよという感じだ。

 契約はキューバ野球連盟と選手本人を交えての譲渡契約の形だという。つまり「国=球団」となり、保有権を持っている選手を譲渡するということだ。これまで海外でプレーするには、商取引が禁止されている米国に亡命して大リーグ入りする道しかなかったが、今後は大きく変わる。だって、選手は亡命するために命をかけなくていい。それどころか国のお墨付きがある。しかも、国家公務員であるキューバの選手の月給は5万円に届かないと聞く。ならば、命がけで年俸10億円を手にせずとも、安全で1億円をもらったほうがいいと考えてもおかしくないよ。10億も1億も大金だ。

 しかも、キューバの国内リーグ戦は4月で終わる。出稼ぎ的な感覚で日本で5月からプレーし、11月に母国に戻って今度は国内リーグを戦える。キューバ政府にも、選手の年俸の一部が還元される。最初は長年代表を務めた功労者である国民的スターの派遣が前提だろうが、数年たてば20歳前後の若手の派遣の動きも出るだろう。チャプマン(レッズ)のように160キロの剛球を投げるような選手もいるはずだ。キューバにとって日本が最大のマーケットとなる気がする。

 選手の海外派遣OKとなった後、日本側には同国のスポーツ庁から「選手獲得希望のある球団はリストを出してくれ」という要望があったようだ。ただ、その後は自由競争。スポーツ庁が窓口だとしても、いきなり連絡取ってくれじゃあ、政治力のない球団は手が出せないよ。

 巨人は、長嶋茂雄終身名誉監督が監督時代からキューバとのパイプ作りをしてきた。向こうの政府高官のパーティーなどにも顔を出していたし、私も出席したことがある。DeNAも、巨人OBの高田繁GMが編成のトップ。内情はまったく知らないが、無関係というわけではないだろう。

 だからこそ、と思う。海外派遣元年。キューバは大リーグみたいに移籍に関するシステムが明確ではない。保有権やFA規定があるわけじゃない。一年中交渉は可能だし、タンパリング(事前交渉)の協約違反も問われない。12球団間で何らかの取り決めをする必要があるんじゃないか。キューバとは主義も国民性も違う。契約上のトラブルだって起こり得る。球界OBにもどういう契約になっているのか見えない。ファンだって何で獲れたの?と不思議に思うことは多いはずだ。

 10年近く前に裏金問題が勃発したよな。そこから、ドラフトもウエーバー制になった。戦力均衡もプロ野球全体が盛り上がるために大事な要素だ。例えば毎年1月でもいい。キューバ政府が海外派遣できる選手のリストを公表し、その上で日本だけでなく、韓国や台湾、メキシコなどのプロ球団が一定期日に獲得希望リストを出す。その上でキューバ側と交渉を重ねる。自由が無秩序にならないことも大事な要素だと思う。

 キューバの選手はプロの位置づけではない。日本野球機構(NPB)が主導するのは難しい部分もあるだろうが、ぜひ、球界全体で知恵を絞ってもらいたい。

週刊朝日  2014年5月30日号


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東尾修

東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝。

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