モチベーションを高めるために東大の赤門を見に行くのもよい (c)朝日新聞社 @@写禁
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 入試前の模擬試験で合格判定が低ければ、多くの受験生が志望校をあきらめる。しかし、模試で合格可能性がほとんどないと判定されながら、その後東大合格を果たした実例がある。その勉強法を紹介したい。

 都立西高校で高3の5月まで陸上部、9月の文化祭まで数学研究部で活動を続けた男子生徒。現役時は建築を学ぶため東京工業大を志望したが、秋の模試の判定はD。それでも東工大を受験したが不合格だった。併願した早稲田大の創造理工学部には合格したが、浪人を選択した。

「高3の駿台模試で数学の成績がよかったから、『スーパー東大理系クラス』の入学認定が出ました。浪人したのだからこのクラスに入って上を目指そう、受験科目の多い東大の勉強をして、成績が伸びなかったときには東工大を受けようと思いました」

 駿台予備学校で受講した科目は東大受験のための英語、数学、国語、物理、化学とセンター用の地理。授業は50分×6コマの日が週4日。50分×8コマの日が週1日あった。

「テキストは基礎から丁寧に書かれていました。授業の予習をし、すべての授業をしっかり受講。4月には三つあるクラスの真ん中だったのが、秋からは一番上のクラスに上がれました」

 浪人の夏休みは、夏期講習で東大物理、東大英語、東大化学、東大現代文、数学の盲点、古文特講、センター地理を受講。

「いろいろなものに手を出さず、講習の勉強と前期のテキストの復習に絞りました」 

 それでも、夏の東大模試はD判定。

「まだ夏だからなんとかなると思いました」

 得意科目は数学と物理、苦手科目は英語と国語。得意な科目の勉強でテンションをあげた後、苦手科目に取り組んだという。10月半ばからはセンターの過去問を15年分ぐらい解いた。

 秋の東大模試はC判定。

「秋の判定はせめてBがほしかったから、焦りました。秋時点でD判定なら東工大に志望変更しようと思っていましたが、C判定だったので最後まで東大を目指すことに決めました」

 今年のセンター試験は国語が難しく、平均点が低かった。

「苦手な国語ができなくてかなり不安になりましたが、予備校からは『2段階選抜で落とされなければ2次で挽回できる』と言われたし、東大を目指して勉強してきたので、もったいなくて志望をかえませんでした」

 センターが終わってからは気持ちを切り替え、赤本を8年分ぐらいやり、見事、東大理Iに合格した。

「浪人した時点の学力が東大志望者としてはあまり高くなかったため、予備校のテキストと授業だけに絞り、基礎からやり直したのがよかったのだと思います」

 高3時の偏差値が低く、模試の成績が悪くても、そこからの勉強法によって東大合格は可能なのだ。「東大なんて無理」と最初からあきらめず、志を高く持ち、挑戦してみてはいかがだろう。

週刊朝日  2014年4月11日号

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