脱毛、うつ状態…病態が複雑化する「味覚障害」が増加中 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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脱毛、うつ状態…病態が複雑化する「味覚障害」が増加中

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 味覚障害は専門的に診療する医療機関が少なく、情報も得にくい。兵庫医科大学耳鼻咽喉科講師で附属病院の味覚外来を担当している任智美医師に、味覚障害の治療について話を聞いた。

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 味覚障害の患者は増えており、当院では週に一度の味覚外来に年間200人もの新規患者が受診します。昔は生命に関わらないということから医師の関心も薄く、傾聴されなかった訴えですが、近年はQOL(生活の質)が重要視され、味覚障害も注目されるようになりました。しかし患者に十分な情報が行きわたっていないというのが現状です。

 自然に回復するケースも多いですが、やはり早期発見・早期治療が大切。「症状が出現してから半年以上経過した例では、治療をしても改善率が低い」という複数のデータも報告されています。味がわからないために食生活が変化し、塩分や糖分の摂りすぎ、食欲が落ちることによる低栄養など、二次的な健康被害につながることも。また亜鉛欠乏が続くと、味覚障害だけでなく、傷の治りが遅い、脱毛、抑うつなどのさまざまな症状を引き起こすこともあります。

「おかしい」と感じたら早めに耳鼻咽喉科を受診してください。メーンになる亜鉛補充療法は目新しい治療ではありませんが、多くの人が改善します。現在保険適応になっている亜鉛製剤はありませんが、胃潰瘍の治療薬であるプロマックに亜鉛が多く含まれているため、2011年から味覚障害に対して保険審査上、適応外使用が認められています。一方、味覚の専門外来を設けている病院は、独自の亜鉛製剤を作っているところが多く、症状に応じて量を多めに投与することができるというメリットがあります。

 なお、回復しやすいケースがある一方で、治療が長期間に及んだり、治らなかったりということも。こうしたケースにはやはり必要な検査が十分に受けられ、それをより正確に評価できる味覚外来の医師の介入が望ましい。とくに近年は心因性の味覚障害が激増し、うつの一症状として発症する場合もあるなど、病態は複雑です。

 原因によっては耳鼻咽喉科だけでなく、内科、歯科、心療内科などと協力しながら治療していくことも必要になります。

週刊朝日  2014年3月21日号


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