日本で、“微笑みの貴公子”といえば、谷原章介さんのはず。

 その柔和な雰囲気が一転するのが、相場英雄さん原作のドラマ「血の轍(わだち)」。かつての先輩で公安に移った志水(原田泰造)と対立する刑事・兎沢を演じる。最初に脚本を読んだ時は、志水役でのオファーだと思った。

「今までの役や、谷原がやるだろうというイメージは志水。兎沢のように、自分の感情を制御できずに突っ走ってしまう役は、今までなかったので、驚いたのと同時に、やってみたい、と」

 このような役をできるのか。40代の役者人生における試金石のようなものだったという。

 放送中の大河にも出演。「王様のブランチ」の司会も8年目になる。番組で紹介する本は、仕事が重なる時でもすべて読む。

「寝る時間を削るしかないです」と、さわやかな笑顔。ハンサムの中身は骨太なのだ。

週刊朝日 2014年1月24日号