あの遠藤ミチロウが被災地ボランティアに命がけ 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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あの遠藤ミチロウが被災地ボランティアに命がけ

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「福島は戦争中です。見えない敵と戦っている。放射能も、本当の情報も見えない。地元紙は『福島は元気です!』と言うばかり。これじゃあダメなんです」

 こう語るのは、1980年代の伝説的パンクバンド「ザ・スターリン」を率いた遠藤ミチロウさん(63)。「スターリン」時代は、ライブで豚の内臓を客席にぶちまけたり、真っ裸でステージから放尿したりするなど、過激なパフォーマンスで一大センセーションを巻き起こした。一方で、評論家の故吉本隆明氏に歌詞を絶賛されるなど、文化人からも支持を集めた異色のパンクロッカーだ。

 85年に「スターリン」を解散し、ソロに。一昨年の東日本大震災以降は東京に暮らしつつ、故郷の福島県に思いを寄せた。

「僕は二本松市出身で、89歳の母が、いまでも住んでいます。だから、福島は僕の問題でもある」

 震災直後、NHK連続テレビ小説「あまちゃん」の音楽を担当した音楽家の大友良英さんらと、NPO法人「プロジェクトFUKUSHIMA!」を立ち上げた。毎夏、福島市街地で野外フェスティバルなどを開催する。3回目の今夏は「あまちゃんスペシャルビッグバンド」の生演奏をバックに盆踊り。遠藤さんは言う。

「社会の矛盾に向き合う気持ちはスターリンのころと同じ。福島の矛盾を知ってほしい。いま、人の気持ちがバラバラなんです。補償金をもらった人、そうでない人。仮設住宅に移れた人、そうでない人。そうした人たちの間に、深い溝ができた。震災直後は助け合ったのに、『補償金もらってパチンコか。いいよな』みたいな雰囲気もある」

 祭りに参加することで、お互いの溝を埋めるきっかけになればいいと考える。一方で「脱原発」だけを主張するつもりはない。

「高度経済成長期を経て、日本は豊かになった。だけど、それは経済オンリーの豊かさ。家族や地方、教育なんかで問題を抱えた。戦後の矛盾がたまりにたまって、原発事故につながった気がする。原発を止めるだけでは、根本的な解決にはならない」

 活動の中で、遠藤さんはこう希望を見いだす。

「ブルースは矛盾した生活の中で、黒人が生んだ音楽です。同じように、福島からしか生まれないものがあるはず。時間はかかると思うけど、一緒に探したい」

 還暦を超えたパンクロッカーは、これからも矛盾と戦い、歌い続ける。

週刊朝日 2013年12月20日号


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