軽自動車専門の販売店 (c)朝日新聞社 @@写禁
軽自動車専門の販売店 (c)朝日新聞社 @@写禁

 軽自動車に対して、にわかに風当たりが強くなっている。総務省は消費税増税に合わせて、車を購入するときにかかる「自動車取得税」の段階的引き下げと廃止をする案を示した。しかし、その税収の穴埋めのために燃費のよさなど環境性能に応じた課税の仕組みを軽自動車税と自動車税の双方に取り入れようとしているのだ。

 総務省の検討会がまとめた案の骨子は、こうだ。燃費のいい車を買った場合、初年度の軽自動車税や自動車税に低い税率を適用する。基礎控除も導入し、生活必需品として車を購入するときの負担を軽減する。

 ややこしい話になってきた。結局、軽自動車税は上がるのか、下がるのか。

「具体的な議論は、今後、与党の税制調査会で行われることになるが、軽自動車税が上がらないとは断言できない」(市町村税課)

 総務省は口を濁すが、安心はできない。検討会では、「軽自動車税と自動車税には最低でも4倍もの開きがあり、是認できる範囲を超えている」との意見が主流を占めたというから、増税の可能性が高いと考えたほうがよさそうだ。

 仮に軽自動車税が据え置きでも、「取得税廃止の効果は限定的で、実質的には消費税による増税効果のほうが大きい」(ナカニシ自動車産業リサーチの中西孝樹代表)。

 つまり、軽自動車税と消費税の増税。このダブルパンチを食うことになりそうだ。こんな「軽自動車いじめ」は、はたしていいことなのだろうか。

「税収の穴埋めより、中国、アメリカに次ぐ世界第3位の自動車市場をどう成長戦略につなげるかの議論のほうが実は大事なのです。高齢化によって数年後から車の保有世帯は減少し始め、国内の自動車産業が衰退する恐れがある。それを防ぎ、活性化するための議論をまずすべきです」(中西代表)

週刊朝日  2013年11月15日号