体の不調を表すバロメーターとして知られている爪。意外と知らない正しい爪のケア、爪水虫の最新治療を紹介する。

 手の爪だけでなく、足の爪の変色を気にする人たちも、増えているようだ。爪白癬(つめはくせん=爪水虫)を治療した60代後半の男性の、治療を始めたきっかけが、まさにそうだった。「汚い足の爪を他人に見られたくない」と、老人会の温泉旅行を断り、病院を受診した。

 爪白癬は足白癬(水虫)から感染し、爪で増殖。爪が厚くなって、ボロボロととれるようになる。進行すると爪の厚みによって圧迫痛や歩行痛が出ることもあるが、何よりお世辞にもキレイとは言えない爪を隠したい気持ちが、患者には働くようだ。

「テレビコマーシャルなどで広く知れ渡った爪白癬ですが、かえって公共の場で裸足になりにくくなったなど、神経質になる人も出てきています。今は内服薬でしっかりと治療ができますし、治ればキレイな爪に戻ります。深刻に考えないほうがいいでしょう」と男性を診察した済生会川口総合病院皮膚科部長の加藤卓朗医師は言う。

 爪白癬は内服薬で治療するのが一般的だ。ラミシール(一般名テルビナフィン)を1日1錠、6カ月間飲み続ける方法と、イトリゾール(同イトラコナゾール)を1日8錠1週間服用して、3週間休むというコースを3回繰り返すパルス療法の2種類がある。

「有効性は同等です。ラミシールは治療期間が長く、何回も通院する必要があります。イトリゾールは治療期間が短く、通院回数が少ないのですが、併用が禁止されている薬が多く、持病がある人には使いにくいかもしれません」(加藤医師)

 爪白癬に一般の外用薬が使えないのは、爪が厚くて薬液が浸透しにくいためだが、欧米では爪白癬用の外用薬も使われている。さらに日本では、欧米のものとは違ったタイプの塗り薬が現在、日米カナダの国際共同治験を終え、厚生労働省に申請中だ。開発した製薬企業によると、2014年の発売を目指すという。

週刊朝日 2013年8月9日号