マッサージ60分2980円也――。疲れた人たちの「いやしの場」マッサージ店にも、ついに価格破壊の波が押し寄せてきた。

 なぜこんなに安いのか。「キモ」は、いかに集客を図るか、またコストを削るかだと、格安チェーン「ほぐしの達人」を経営するオリエンタルシナジー取締役の春日雅博氏は言う。

 薄利多売な料金体系だけに、「いかに足を運んでもらって、お客さんのこない隙間の時間をつくらないかが、重要です」(春日氏)。

「ほぐしの達人」は、首都圏を中心に31店舗を展開しているが、基本的には繁華街の中心や駅から見える範囲内に出店し、好アクセスでの回転率向上を狙う。各店舗に最低で8床設置されているベッドは、せっかく呼び込んだ顧客を、待ち時間で逃がさないためだ。

 また混雑状況に応じて、系列店で施術者を融通。当日以外の予約を受け付けないことで、キャンセルや客待ちによる「タイムロス」をなくしている。

 大きい店舗には約30人の施術者が在籍するが、受付を施術者が担当することでもコストを削っているほか、経験者のみを採用することで、社員教育にかかるコストを削減している。

 そんな経営努力のかいあってか2009年5月の開業以来、閉店した店舗はゼロ。大型店では、月2千人以上の来客があり、600万円以上を売り上げているという。

週刊朝日 2012年10月12日号