安倍晋三氏 (c)朝日新聞社
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安倍晋三氏 (c)朝日新聞社
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 民主党代表選は、予想通り野田佳彦首相(55)が圧勝した。問題は自民党総裁選(9月26日投開票)だ。衆目の一致するところ、今回の総裁選では、地方票を含めた1回目の投票で過半数を制する候補者は出そうにない。

 石破茂前政調会長(55)に地方票でリードされても、2位になって決選投票に残り、長老の差配で派閥連合を組んでひっくり返す――。石原伸晃幹事長(55)の陣営が想定したシナリオは明確だった。

 支持を打ち出している額賀派に加え、町村信孝元官房長官(67)、林芳正政調会長代理(51)の両候補それぞれの出身母体である町村派、古賀派が乗り、脱派閥を訴える石破氏を一気に突き放す、というわけだ。

 ところが、石原氏自身の舌禍のオンパレードで、決選投票に残れるかどうかすら怪しくなっている。石原氏の失速に反比例して、勢いづいたのが安倍晋三元首相(58)の陣営だ。当初は「3位になっても、決選投票で石破さんを推せば、少なくとも長老支配は打破できる」(周辺)と低めの目標設定だった。

 ところが、尖閣問題でにわかに元気に。安倍氏は「腹痛で政権を投げ出したひ弱な印象が致命的」と言われてきたが、「元首相」の肩書で「自分には経験がある」と訴え始めた。

 陣営内では、「石破さんとの決選投票になれば、『どちらの候補が嫌いか』投票になり、安倍さんに票が集まる」といった"勝利宣言"すら早くも出る始末。高揚感の高まりを懸念した側近議員が、「決選投票のことを口にするのはまだ早い。まずは2位に入ることだ」と周囲にくぎを刺すほどだ。

※週刊朝日 2012年10月5日号