政府の国家戦略会議分科会が提言した「40歳定年制」。発案者である柳川範之・東大大学院教授(49)は「希望と誇りある日本」を取り戻すための将来像というのだが、若者の雇用はどのようになるのだろう。

 人事コンサルタントの城繁幸氏は「40歳定年制の流れは必然」としつつも、

「学生が職歴のある中高年と同じ土俵で就職活動をすれば、即戦力になりにくい学生は採用されにくくなり、将来的には若者はますます就職難になるのでは」

 と指摘している。文部科学省などによれば、今春の大卒就職率は93.6%で、過去最低だった前年を2.6ポイント上回ったが、来春の求人数は低水準にとどまる見通しだ。若者の雇用にはどのような影響があるのか。

 柳川氏は、「いまは一度正社員として採用すると、企業は60歳や65歳まで雇い続ける必要があります。その結果、新卒を採用する段階で保守的になって人数を絞ったり、非正社員に置き換えたりという動きが生まれてしまう。40歳定年になれば、企業は40歳までの雇用契約を結べばいいので、いまよりも若者を正社員として雇いやすくなります」という。

 また、「一方、一定のスキルを獲得した中高年と、新卒の若者に企業が求める役割は違います。両者が採用枠を奪い合うという状況は起きず、若者の雇用状況はいまよりも改善するはずです」とも語っている。

※週刊朝日 2012年8月10日号