7月に入り、花火大会や夏祭りのスケジュールを確認している人も多いのではないだろうか。

 しかし、毎年のことながら花火大会や夏祭りはどこも人ごみだらけで、家路につく頃にくたくたになってしまうのもしばしば。

 そこで、注目したいのが温泉地での花火大会や夏祭り。シニア向け宿泊サービスを提供する株式会社ゆこゆこの広報・笠原敦子さんは、「温泉地であれば、地方の縁日や郷土イベントを満喫した後、名湯で心も体もゆったり癒される。人ごみの多い都心を避けて、一泊かけて夏祭りを楽しまれる方は多い」と話す。

 たしかに首都圏の花火大会や夏祭りでネックになるのが、帰りの交通機関。駅などは帰宅客であふれ返り、場所によっては身の危険を感じるような時もある。でも、その日に帰らないで済むのであれば、優雅に余韻にひたることができるというものだ。
 
 温泉ソムリエでもある笠原さんに、夏祭りが楽しめるおすすめの温泉地を教えてもらった。その中から三か所厳選したので紹介する。


●笛吹市夏祭り/石和温泉(山梨県)/7月20日~8月21日
笛吹市の夏の風物詩になっている「笛吹市夏祭り」は、郷土イベント、花火、大文字焼きなど、見どころが満載。特に夜の笛吹川をかがり火が照らす中、幻想的な雰囲気で行われる伝統的な鵜飼は必見。毎晩行われる「連夜花火」や峡東地域の4大火祭りの一つにもなっている「甲斐いちのみや大文字焼き」、山梨県下最大級の「石和温泉花火大会」などイベントが多い。

<石和温泉>
甲府盆地のほぼ真ん中に位置する、国内有数の湧出量を誇る温泉地。肌の角質をとる美肌効果が期待でき、肌にやさしいアルカリ性単純泉。「果物と温泉の郷」と呼ばれる石和では、夏はもも狩り・ぶどう狩りでフレッシュな果物を味わえるほか、近隣にはワイナリーが点在し、大人も子供も楽しむことができる。


●渋温泉 夏祭りイベント/渋温泉(長野県)/8月1日~8月26日
渋温泉一円が毎晩歩行者天国になり、昔懐かしい屋台や地元の人の手作りイベントがいたるところで開催される。古き良き時代の日本を思い起こさせるヨーヨー釣りや輪投げ、ドミノ倒しや積木など、今となっては貴重な体験をしながら楽しいひとときを過ごすことができる。

<渋温泉>
全ての旅館と外湯は100%源泉掛け流し。源泉によって成分が異なり、鉄分が多く褐色を帯びたもの、白濁の湯、緑がかったもの、無色透明など地中から湧き出たままの温泉を味わうことができる。泉質、効能が異なる9つの共同浴場をすべて巡れば、苦(九)労を流し、厄除け・不老長寿にご利益があると言われている。


●下呂温泉合掌村 ふるさとの夏祭り/下呂温泉(岐阜県)/7月14日~8月26日
国重要文化財「旧大戸家住宅」を中心に、白川郷や五箇山から移築した合掌造りの民家で集落を再現した「下呂温泉合掌村」で行われる夏祭り。陶芸や木工体験から大道芸人ショーまで、多彩なイベントが楽しめる。合掌集落の生活文化を体験できる民族資料館や、影絵劇場として注目を浴びている影絵昔話館「しらさぎ座」など観光ポイントも充実。

<下呂温泉>
飛騨川の流域に湧く県下屈指の名温泉郷は、江戸初期の御用儒学者である林羅山が詩文集に書き記した"日本三名泉"のひとつとして知られている。河原を石で囲んだだけの野天風呂「噴泉池」や、大正15年開業の共同浴場「白鷺の湯」、点在する無料の足湯など気軽に立ち寄って、天下の名泉を存分に味わうことができる。


週刊朝日