2010年に文化庁芸術祭新人賞やNHK新人演芸大賞を受賞した期待の若手落語家・春風亭一之輔さん(34)。今年3月、先輩の噺家を21人抜きして「真打ち」に昇進した。周囲の期待は高まるばかりだが、当のご本人は、「ちょっと早いだけで、なってからがスタートでしょ」とどこ吹く風。落語に出会った当時についてご本人にうかがった。

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 落語に出会ったのは高校時代。ラグビー部をやめ、ブラブラしていたときに、浅草演芸ホールにフラリと入って寄席を見た。

 ラグビーは練習が厳しくて、イヤになってやめちゃいました。そもそも僕は運動神経なし、協調性なしで、団体スポーツに向いてない。なんでラグビーをやろうと思ったのか、自分でもよくわからんのですが、かといって落語になんでハマったのかもよくわからない。聴いてみておもしろかったし、なんとなくやってみたいなと思ったんです。

 ちょうど高校に20年以上活動してない落語研究部の部室があったので、「僕にください」と先生に言って、ほとんど部室目当てで落研を始めました。一人だと寂しいので、生物部の部長をやっていた高木くんという同級生を「生物なんてつまんないだろ」と無理やりやめさせて、仲間に引き込んだんですよ。

 進学した日大でも落研に入ったんですが、スキンヘッドの女性とか変な人が多くて、世の中にはこんなにいい加減な人たちがいるんだなって価値観が変わりましたね。(笑い)

※週刊朝日 2012年4月13日号