新型コロナウイルスの感染拡大防止策として、全国の大学がオンライン授業を活用している。東大も全授業をオンライン化し、対面での課外活動を禁止した。その結果、1日の中でパソコンなどの端末を利用する時間が大幅に増え、さらに外出の機会も激減して運動不足に陥っている学生が多いのではないか。そこで今回は、長時間のパソコンの使用や運動不足が学生の健康に与える影響と健康の保ち方について、目・肩・腰とメンタル面に着目して専門家に話を聞いた。(東大新聞オンラインより転載)
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パソコンで長時間作業すると、目にはどのような影響があるのか。眼科が専門の相原一教授(東大大学院医学系研究科)は「長時間のパソコン作業は、目のピント調節機能をつかさどる自律神経のバランスを崩します」と指摘。小さい画面で作業すると前傾姿勢になって目と画面の距離が狭まり、ピント調節機能を酷使する。その結果、目が疲れてかすんだり、画面に集中してまばたきが減ることで涙が出づらくなり、ドライアイになったりする。
自律神経の活動を和らげ目の状態を改善するには、心身共にリラックスし副交感神経の機能を高める必要がある。「休み時間には席を立ってストレッチをし、窓から遠くを見ましょう」。授業中も「自分の好きなタイミングでトイレに立ったり、飲み物を飲んだりしても良いのではないでしょうか」と提案。さらに、市販の目薬や目を温めるアイマスクも、目をリラックスさせピント調節機能や涙の出を改善する効果が見込めるという。
目に負担を掛けないための環境作りも重要。作業する際は、椅子に背筋を伸ばして足の裏全体が床に着くよう座り、目は画面から30センチメートル以上離し、目線をやや下に向けるのが理想だ。照明にも配慮が必要だ。「デスク周りと部屋全体の明るさをそろえ、パソコン付近だけ明るくならないようにしましょう」と相原教授。特に夏はエアコンにより目が乾燥しやすいとし、除湿運転の使い過ぎにも注意を呼び掛ける。自分にできる最大限の工夫を実践することが大切だろう。