東日本大震災からもうすぐ5年。
震災の記憶を風化させないのはもちろんですが、あの経験から何を学び、後世に伝えるかが問われているように思います。
そこで今回、取り上げたいのが「流言」や「デマ」。
災害時は多くの人が不安を感じ、また十分な情報を得られないため、流言やデマが広まりやすくなります。
大量の流言やデマが飛び交うと「救助活動に支障をきたした」など、二次災害を生む要因にもなるのです。
流言やデマを見破る方法、拡散しないための対策について、この機会に考えてみませんか。

流言・デマには、世界共通のパターンが
流言・デマには、世界共通のパターンが

●流言・デマの「定番」を知って、情報の確実性を見きわめる

「流言」とは、根拠が不確かなのにもかかわらず、大勢の人に広まってしまう情報。
そして「デマ」は、相手を貶めるために意図的に流される情報のこと。

どちらにも、定番ともいえるパターンがあります。災害のたびによく似た流言・デマが発生していることを知れば、実際に見聞きした時に「これってデマ?」と疑問を持つことができます。

例(1)「○○日後に、再び大きな揺れが起きる」(さらなる恐怖を予見するような流言・デマ)
例(2)「△△勤務の知人からの情報で、□□は危ないと言われた」「○○大学からの情報で、家族を避難させろと言われた」(内部からの情報を装った流言・デマ)
例(3)「○○人(外国人)がこんな悪いことをしている」(不安や恐怖を「外国人のせいにする」流言・デマ)

いかがでしょうか?
どれも、どこかで見た(聞いた)ことがありますよね。憶測や伝聞、心の奥底にある不満や差別意識……災害時には、こうした感情が流言・デマとなって表面化するようです。
「犯人が誰かはともかく、災害時は犯罪が増えるのでは……?」と心配する声も聞きますが、実際の災害時には、空き巣など「混乱に乗した犯罪」は増えますが、凶悪犯罪は増えないのだそうです。

例(4)「○○で救援物資を募集しているそうです」
例(5)「△△が寄付を呼びかけています」

このような情報には、「誇張して伝えられている」「時間が経過し、すでに事実ではなくなっている(物資や寄付を必要としていない)」などの可能性があります。
「自分が直接聞いた」あるいは「確認をとることができた」情報以外は、鵜呑みにしないことを心がけましょう。

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