年用意(お正月準備)も大詰め、何かと慌ただしい時期ですね。
門松は29日は「苦立て』31日は「一夜飾り」といわれ、現代では30日までに飾れば縁起がよいとされています。
江戸時代は太陰暦だったため、大晦日は今より一足早く29日か30日でした。年末の風物詩、『年越し蕎麦』はそんな江戸時代にはじまったと言われています。
今回は、意外な蕎麦の栄養価から、具材ランキング、年越し蕎麦の5つの由来まで諸々ご案内します。

意外!? 疲労回復効果抜群!! 蕎麦の優れた栄養価たち

低カロリーでヘルシーなイメージのお蕎麦ですが、白米や小麦に比べてタンパク質の含有率が高いのです。
そのうえ、蕎麦のタンパク質を構成しているアミノ酸のバランスがよく、大豆100に対して、蕎麦92という非常に高いスコアを有しています。(白米は62、小麦は37)
アミノ酸が不足すると、体の疲れや体力の衰え、脂肪蓄積などを招くことになります。
さらに蕎麦にはビタミンAやビタミンCは含まれていない代わりに、ビタミンB1、B2が豊富に含まれています。
ビタミンB1は「疲労回復ビタミン」と呼ばれ、糖分やでんぷんなどの糖質をエネルギーに変換するのに不可欠な存在です。
ビタミンB2には、たんぱく質や脂質、糖質などの代謝に関係する酵素を助けるはたらきがあります。栄養素の代謝を助け、成長、発育を促すのがビタミンB2です。また皮膚や粘膜を保護し、肌・爪・髪の発育や体全体の抵抗力を強めてくれます。
そんな栄養が魅力のそば粉は、日本だけでなく様々な国で食されてきました。韓国ではチヂミやおのお菓子に、フランスではガレットとして食されています。フランス・ブルターニュ地方で生まれた郷土料理といわれブルターニュ流は、片面だけを焼いて、フライパンの上でハムやチーズ、卵・野菜などを載せて飾るのが特徴で、日本でもファンが増えてきましたね。
大掃除、買い出しなどの年用意や帰省の移動など疲れやすい時期、年越し蕎麦は疲労回復にもってこいですね!

年越し蕎麦人気具材ランキングNO.1は何!?

ランキング2位は「かまぼこ」で26%、
3位は「海老以外の天ぷら、かき揚げ」で23%、
4位は「みつば」で15%、
5位は同率「肉(鶏肉、鴨肉など)」と「ほうれん草」で12%でした。
さて1位は…………?
「海老の天ぷら」で41%と断トツでした。
地域別では「肉(鶏肉、鴨肉など)」は北海道が飛びぬけて高く、「かまぼこ」は中国・四国と九州で非常に高く、「海老以外の天ぷら、かき揚げ」は関東がほかの地域に比べて高いという特徴がありました。
また、「油揚げ」「とろろこんぶ」はいずれも関西が突出して高くなっていました。
「ニシン」 は北海道、京都に多く、わんこそばは岩手、へぎそばという海藻を含むものは新潟、かまぼこ、しいたけ、卵焼きなどのトッピングで顔をあしらい、おかめをあらわした「おかめ」は関東など、地域別の特徴もいろいろですね。
また年越し蕎麦を食べる時間のランキングでは、年配世代では早い時間に、若い世代では24時以降も食べる人の割合が高いです。全年代とも「大晦日18~19時台」という回答が最も多く、皆さん前日の夕飯に食べているケースが多いようです。
あなたの今年の年越し蕎麦は!?

お米に精米、胚が米 玄米とあるように、そばの実を、どの状態で粉にしたのかによって、そばの種類が変わってきます
お米に精米、胚が米 玄米とあるように、そばの実を、どの状態で粉にしたのかによって、そばの種類が変わってきます

年越し蕎麦の由来、5つの有力説とは?

江戸時代の暦は太陰歴でした。太陰歴は、満月から次の満月になるのは29.53日を1か月の基準としています。
そして小数点以下の0.53日分については、30日(大の月)と29日(小の月)の月に割り振ることで調整をしていました。このため、暦通り3日に三日月、15日に十五夜(満月)をむかえていました。
江戸時代の晦日(月末)は新月に近く、月の光がほとんどささないないため暗く静かな月末でした。
しかし、大晦日(1年最後の月末)ばかりは、町人たちが歳末商戦の後、除夜の鐘がなる時分にも帳簿付けをし、
高張提灯をかがげて未支払いの代金の取り立てに走り回り大変にぎやかだったそうです。
忙しい最中、一杯ひっかけるついでに年越し蕎麦をいただいていたのかもしれませんね。
さて、年越し蕎麦の由来には5つの有力な説が存在します。
【延命・長寿祈願説】
蕎麦は細く長く伸びるので、「長寿延命」「家運長命」などの縁起を担いで食べるようになったというもの。引越し蕎麦の「末永く宜しく」という意味にも通じます。
【金を集める縁起物説】
金銀細工師が散らかった金粉を集めるために使っていたのが蕎麦粉。そこから、「金を集める縁起物」「金運を呼ぶ」という意味合いが生まれ、新年の金運向上のために食される様になったという説です。
年越し蕎麦を残すと翌年金運に恵まれないと言われています。

【旧年の苦労や借金を切り捨てる説】
蕎麦は切れやすいことから、旧年の労苦や災厄をきれいに切り捨てて新しい年を迎えることを願ったとする説です。「縁切り蕎麦」「年切り蕎麦」とも言います。借金を打ち切る意味で「借銭切り」「勘定蕎麦」とする説もあり、この場合も必ず残さずに食べなければいけません。

【健康祈願説】
蕎麦は風雨に叩かれても、再び日光を浴びると元気になる植物です。そこから健康の縁起を担ぐのに最適とされました。また、蕎麦の実が五臓の毒を取ると信じられていたことに由来するとの説もあります。

【「世直し蕎麦」由来説】
鎌倉時代、博多の承天寺では年の瀬を越せない町人に「世直し蕎麦」として蕎麦餅を振る舞ったところ、翌年から皆に運が向いてきたという伝説があります。
そこから、大晦日に「運蕎麦」を食べる習慣が生まれました。「運気蕎麦」「福蕎麦」とも呼ばれます。
年越し蕎麦にはたくさん人々のそれぞれの願いがこめられているのですね。
皆様が健やかで願いをかなえる運気を呼び寄せますように!