「月々に 月見る月は多かれど 月見る月は この月の月」といわれるように、月を愛でるのに一年中で最もふさわしい時季となりました。

 今宵27日は、「中秋の名月」。十五夜、芋名月、三五の月とも呼ばれ、皓々と冴えた月が日没後ほどなく東天に輝きます。さらに明日28日は、今年最も大きな満月となる“スーパームーン”の宵。中秋の名月から明日の満月まで、天候に恵まれれば連夜愉しめる観月のひとときとなり、本日雨模様の地域も、明日は晴れるかもしれません。あなたは誰と、どこで、麗しき秋の月を眺めますか?

 今宵の月の出は、東京だと16時58分。十五夜のお月さまは、東方の空に姿を現します

 高く澄み渡る青空に、吹く風に漂うきんもくせいの香りに、秋の深まりを感じるこのごろ。今日はいよいよ、心待ちにしてきた秋の季節のお楽しみ「中秋の名月」を迎えます。

 国立天文台のサイトによると……本日の日没時刻は、東京で17時32分。西の空を太陽が赤く染めたその後、入れ替わるように東方の空に忽然と月が現れ、23時ごろには一番高い南中に達し、明け方4時ごろ西方に沈んでいきます。

 お天気は全国的に少し微妙ですが、雲の切れ間からでも、美しい月が見えるといいですね。

 旧暦8月15日の十五夜の月がなぜ「中秋の名月」として、いにしえより愛でられてきたかといえば、低すぎず、遠すぎず、まさに人の眼をとらえ、心を惹きつけ揺り動かす程よい高さに昇り、輝きが美しく冴えわたるから。ふけゆく時を忘れ月を眺めるにもふさわしく、(見晴らしの良い場所なら)体の向きさえ少しずつ変えれば、その姿を存分に鑑賞することができる天空に、名月は一晩中かかっているのです。

●すすきをはじめ秋の七草、お団子、秋の味覚を供えて、お月見台のしつらえを

 中秋の名月を鑑賞する習わしは、中国唐時代より我が国に伝来。宇多天皇の御世、寛平9年(897年)に宮廷で月見の宴が催されたのがはじまりだとか。また、その以前からも夜空を照らす月は、私たち日本人の暮らしに深く関わり、例えば里芋の豊作を月に感謝するお祭りも行われていました。その風習に伝来の「中秋節」が重なり、お月見の行事が始まったとも考えられています。「芋名月」という別名も、こんなところから来ているのですね。

 さて、せっかく名月を愛でる晩ですから、自宅にお供えものを飾れば、よりいっそう気分も盛り上がって非日常感を演出できること間違いなしですね。

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