「蚯蚓出(みみずいずる)」初夏、大地から這い出すアレの正体は…

2015/05/10 11:00

「蚯蚓出(みみずいずる)」は七十二候・立夏の次候。その通り、春になると前年の冬に生みつけられた卵からミミズが孵り、目に付くようになります。 「大地の腸」「大地の鍬」とも言われ、土壌の腐敗物(生物の死骸や落ち葉、糞など)を食べて分解し、土壌のph値を調整したり保水性や酸素含有量を高めたり、更には死んだ後には土壌に窒素養分をもたらすなど、地中で八面六臂の大活躍をしている農業の益虫だということは、よく知られていますよね。

雨上がりの公園で足元を見ると…
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ホームビターホーム ですが、じめっとした温かい雨の日、いつもの通り道にミミズが這い出てきて、のたうったり潰れたり水溜りで浮いているのを見たことはありませんか? しかもよく見たら足の踏み場もないほどあっちにもこっちにも何百匹も。ちょっとしたホラーです。 地面の中でがんばってくれてるのはわかるけど、君たちのホームは土の中だろう。何でわざわざ出てくるの? それも大量に。気持ち悪いと思うのも仕方ないですよね。 でも、彼らだってわざわざ自ら苦しむために地上に這い出てくるわけではないはず。 原因はいくつかあります。 大雨が降り気温が上がった後(台風のあと)などに、降雨と高温で地中の有機物がいっせいに分解(腐敗)して硝酸性窒素の生成が過剰になります。すると土中のミミズは酸欠状態(チアノーゼ)となり、苦しくて地上に逃れてくるらしい、といわれています。人にとっても寝苦しい夜はミミズたちにとっても居心地が悪いのです。 また、日照りで土壌が乾燥して住みづらくなり、別の場所に移動しようとして徘徊している、という場合や、天敵であるモグラやヒルなどから逃れるために地上に逃げ出してくることもあります。 特殊な例では、西日本の山間部に生息するシーボルトミミズという巨大なミミズが、山の斜面をぞろぞろと大量移動するソーメン流しのような現象が知られています。見て見たいような見たくないような? さまようジュリエット それ以外に繁殖のための地上徘徊もあります。ミミズは雌雄同体で、色の薄いリングのような箇所は環帯といい、このリングの腹部に雌の生殖器があり、この箇所で抱卵します。雄の生殖器は、環帯より上の頭の側にあります。 雌雄同体なら繁殖相手はすぐ見つかるはずです。ところが種類によっては(ヒトツモンミミズ、ハタケミミズ等)雄の生殖器を持つ個体が一割に満たず、従って身近に雄の生殖器を持つ個体がおらず、雌のミミズが、雌雄同体のアンドロギュヌスを探して別の場所に移動しようと出てくることがあるのです。 いずれにしても、アスファルトやコンクリートに覆われた箇所の多い現代の環境では一旦外に出ると他の場所に行きつけずに死んでしまうことが以前より増えていて、そのために人の目に留まることも多くなっているようです。人間達が土をふさいでしまうことが、少なからずミミズたちの不幸を招いているという事ですね。 ミミズ=ねじ上げ、しょっぴく者? ところでミミズを漢字で書くと「蚯蚓」。中国語で「ねじり、ひきずる」というミミズの振る舞いをあらわしています。この蚯蚓という字から虫偏を引くと丘引。時代劇によく登場する江戸時代の町奉行・火付け盗賊改め方の末端私警団「岡っ引き」の由来は実はミミズなのです。因みに岡っ引きというのは江戸庶民が「お上の犬」を揶揄した蔑称で、正式には「御用聞き」「口問い」「手先」といいました。庶民をねじ上げ、しょっぴいた岡っ引きに喩えられるのは、ミミズには不本意なことかも。 現代の私達と同様、江戸時代の人もミミズをあまりいいイメージで見てなかったのでしょうか? でも、ミミズが土壌改良にもたらす好影響は近年の研究でますます知られてきています。嫌がらせで外に出てきているわけでもないことを知れば、応援する気持ちになるのではないでしょうか。彼らが生きやすい環境は、きっと人間にも心地よい環境のはずですから。

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