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第55回 ただいまビータ中  その7 南相馬~青森~浜松~豊橋~大網~東御~山形~仙台~金沢 回遊魚は泳ぎ続ける

文・谷川賢作

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梅野記念絵画館にて望月画伯ライブペインティング けっこうくすぐったい (撮影/谷川恵)

梅野記念絵画館にて望月画伯ライブペインティング けっこうくすぐったい (撮影/谷川恵)

東北文教大コーラス部の面々と指導の加藤隼人先生と (撮影/東北文教大コーラス部)

東北文教大コーラス部の面々と指導の加藤隼人先生と (撮影/東北文教大コーラス部)

 このコラムを書き始めて二回目の秋のコンサート&ライブシーズンです。毎年、秋は片時も止まることなく泳ぎ続けております。ワーカホリック? はい。どうやらそのようです。スケジュール表に「白い一日」があると、どうにも落ちつかなくて、なんとか打ち合わせやリハや仕事を入れようとしている自分がいます。

 朝のホテルでチェックアウト前の時間に必死に書いている(ほめちぎ第12回参照)という状況も2年前と変わらず。う~む。私の辞書には進歩とか改善とかいう言葉はないらしい。

 しかしこれだけ動いていると、いつも「お家にはいつ帰るんですか?」「一年のうち家にいるのは何日なのですか?」と、よく聞かれますが、実は帰れると判断したら、すぐに自宅に戻るようにしています。“腰痛君”はそれがいやらしいのだけど。

 今回は実際の公演内容にはあえて触れずに、私の“移動の妙技”をきいてください。って別にえばるものでもないですが。ひたすらあくせく動いていて、泣けてくる。。。

 9/9(金)新中野駅、朝7時半集合。劇団TAICHI-KIKAKUの皆様と車で南相馬へ。常磐道も整備され11時には南相馬着。前乗り日なので、公演会場のお寺さんで仕込みとリハをし、翌日9/10(土)本公演。9/11(日)5時42分原ノ町発の常磐線で仙台へ。一部区間、相馬駅から亘理駅まではまだ不通なのでバスに乗り換え。8時6分仙台発「はやぶさ1号」で新青森に向かうが、ここで大誤算。指定席満員。「立ち席特急券」なるもので仙台から新青森まで約2時間デッキに立っている私。喜ぶ“腰痛君”。そして、目の前にはぐずる少年をビシバシ叱る母親。がんばれ少年!

 9/11(日)は青森・浪岡の森の中での、こどもたちとのワークショップ&詩人の藤田晴央さんとの野外ステージコラボ。森林浴で束の間ホッとするも、9/12(月)は朝9時52分新青森発「はやぶさ14号」で自宅直帰。もちろん指定券はあらかじめ購入。

 9/16(金)、13時26分東京発「こだま659号」で浜松へ。「こだま」なのになんでこんなに混んでるんだ!JR東海の一人勝ちな現在をあらためて痛感。この夜はDiVaでライブ。翌9/17(土)は豊橋公演なので、移動距離が短くチェックアウト後時間を持てあます。仕方ないのでネットカフェ「快活CLUB」で映画『ボーイソプラノ』を見て過ごす。“エゴ丸出し少年”の改心話。ちょっとしらけるが、音楽がきれいなのですべて許す。ゆるゆると豊橋に動きDiVaライブ。

 9/18(日)8時47分豊橋発「ひかり508号」で東京へ。総武線の快速&外房線に乗り継ぎ大網駅へ。DiVa応援団千葉支部の「studio:b」で熱狂ライブ&打ち上げ後、20時54分大網発の「わかしお24号」東京駅経由で自宅へ。

 9/19(月・祝)8時44分東京発「はくたか555号」で上田駅経由、しなの鉄道、田中駅へ。「東御市梅野記念絵画館」にてオヤジと染織家の望月通陽さんとワイワイがやがや。望月さんに白いTシャツにライブペインティングで絵を書いて頂く。線が動いているのを見ているだけで快感。18時34分上田発「はくたか572号」で自宅へ。

 9/21(水)12時東京発「つばさ137号」で米沢駅経由、米坂線、羽後小松駅へ。川西町「jam」alto saxの名雪祥代バンド公演。終演後、drummerの今村陽太郎君の車に便乗して仙台へ。9/22(木)名雪バンド仙台公演。もちろん※音符もりあがって、うちあがった後、制作の小山田和則さんの車に便乗して山形へ。

 9/23(金)「河北町総合交流センターサハトべに花」にて、東北文教大学短期大学部開学50周年記念曲「母のまなざし父のひとこと」をレコーディング。学長先生はじめ教職員の皆さんも参加してくださる感動の仕上がりに皆で喜びをわかちあいつつ、プロデューサーの早坂実さんに車で山形空港まで送って頂き、19時山形空港発JAL178便で自宅へ。

 9/24(土)13時24分東京発「はくたか565号」で金沢へ。旧知の「茶房・犀せい」でボーカルの小野榮子さんのライブ。翌9/25(日)は7時50分金沢発「かがやき502号」で大宮経由、南浦和駅へ。「さいたま市文化センター」で行われる「きょうはみんなでラボまつり」で講師担当。

 一つ一つの活動がすごく充実しているにもかかわらず、余韻に浸ったりすることはまったくできずに、ドライに次の仕事へ向かう。誤解しないでほしいのですが、これは全然かっこいいことなんかじゃありません。スケジューリングはもちろん自分の都合で決めていくものですが、大勢のミュージシャンやプロデューサー、その他関係者の皆さんとの協議で決まっていくものでもあり、網の目のような人的交流を考慮すると、結果、このような毎日をおくることになる。別に「売れっ子!」とか言ってほしいのではなく、毎日きちんと体調を整え、音楽家としてベストな状態を維持できるかが、一番肝心なことです。引っこんでてね“ 腰痛君”! [次回10/11(火)更新予定]


(更新 2016.9.26 )


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プロフィール

谷川賢作

谷川 賢作(たにかわ・けんさく)作/編曲家 ピアニスト

1960年東京生まれ。ジャズピアノを佐藤允彦に師事。演奏家として、現代詩をうたうバンド「DiVa」、ハーモニカ奏者続木力とのユニット「パリャーソ」に所属。また父である詩人の谷川俊太郎と、朗読と音楽のコンサートを全国各地で開催。80年代半ばより作・編曲の仕事をはじめ、映画「四十七人の刺客」「竜馬の妻とその夫と愛人」、NHK「その時歴史が動いた」テーマ曲等を手がける。88、95、97年に日本アカデミー賞優秀音楽賞受賞。2014年度船橋市文化芸術ホール芸術アドバイザー。音楽を担当した最新映画は「カミハテ商店」「SAYAMAみえない手錠をはずすまで」。最新刊『げんきにでてこい』(カワイ出版)、最新CD『うたがうまれる』 谷川賢作オフィシャルサイトhttp://tanikawakensaku.com/