ラスト・セクステット・イン・ロンドン1991
ラスト・セクステット・イン・ロンドン1991

ラスト・セクステットのロンドン・ライヴとイヴェントのお礼
Last Sextet In London 1991 (Cool Jazz)

 しばらく減速気味だったマイルスのブート攻撃も、盛夏が過ぎようとしている昨今、再び活発化してきた。その頂点が、現時点で「水曜」だけ発売されている「フィルモア・シリーズ」だが、近く登場するであろう「木曜」そして「金曜」「土曜」とつづくフィルモア全12種類を中心に、ますます盛り上がっていくものとみられる。ただし、あまり過剰かつ過激に盛り上がられても困るのですが。ちょうどいまくらいのペースがいいと思います。

 さてオリンピックも終わりましたが、マイルスとイギリスといえば、まっ先に挙げられるのが、ロンドンのロイヤル・フェスティヴァル・ホール。過去何枚も同ホールでのライヴが登場していますが、今回はマイルスにとって最後の同ホールでのライヴ、その名も『ラスト・セクステット・イン・ロンドン1991』ときては、これはもう泣きながら拝聴するしかありません(実際には泣きませんが。オトナなので)。

 しかし重要な点は、マイルスにとっての最後ということもさることながら、ラスト・セクステットのライヴがまた1枚、ここにこうして登場したということでしょう。うん、これに尽きます。いずれ正当に評価されるであろうラスト・セクステットの音源は、パッケージ時代の終焉が明らかに近づいている現代だからこそ、1枚でも多く地球上に残しておくべきなのです。そうは思われませんか? そうですか、まだそこまでは思っていませんか。うーむ。

 これもまたクール・ジャズ盤ではおなじみの典型的なオーディエンス録音。最上・最良とはいいがたいものの、十分に迫力のあるサウンドが楽しめます。思うに、おそらくはこれがロイヤル・フェスティヴァル・ホールで実際に鳴っていた音に近いものなのでしょう。一方、演奏はいかにもラスト・セクステットらしく、1曲目が《パーフェクト・ウェイ》であるにもかかわらず、ピシッと引き締まった演奏に思わず頬も緩むマイルス者のナカヤマなのでした。

 最後にお礼を。拙著『ローリング・ストーンズを聴け!』に関するイヴェントに来ていただいたみなさま、どうもありがとうございました。おかげさまで両会場(新宿オーディオユニオン、渋谷タワーレコード)とも満員札止めをいただきました。ストーンズについては、今後もさらに探求していきたいと思っています。というところで、それではまた来週。

【収録曲一覧】
1 Perfect Way
2 Star People
3 Hannibal
4 The Senate / Me And You
5 Human Nature
6 Time After Time
7 Penetration
8 Amandla
9 Wrinkle
10 Unknown Title (drum solo)
(2 cd)

Miles Davis (tp, synth) Kenny Garrett (as, fl) Deron Johnson (synth) Foley (lead-b) Richard Patterson (elb) Ricky Wellman (ds)

1991/7/19 (London)