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ゴールデンウィーク最終日は"おバカ"を真剣に考える~『爆笑!世界のバカニュース』
ゴールデンウィーク最終日は"おバカ"を真剣に考える~『爆笑!世界のバカニュース』  世界に目を向けると、おバカなニュースはたくさん転がっているもの。そして、昨年『爆笑!世界のバカニュース』(宝島社)の編集に携わったケロジャパンの吉河さんは、「宝島社の『VOW!』シリーズは昔から人気があって、私も大好き! そして今のネット時代、そういった"ネタ"は溢れんばかり。生活のなかに"ユーモア"といううるおいは絶対に必要なんじゃないでしょうか」といいます。  アカウントさえ作れば、誰でも全世界に「発信」できるようになってきたため、ネットがなかった時代よりも"ネタ"が日の目をみる機会は確実に多くなっている今。おもしろネタは多いはずなのに、ネットニュース編集者で集まっていたときに出てきたのは、「昔のCMやテレビ番組は良かった」という話題。「今って何か、いろいろ自主規制とか、厳しくなってない!?」  おもしろネタなのか、炎上・クレームネタなのか、その境目は――。  それを考察すべく、5月6日、ネットニュースのまさに現場にいる編集者が集結。下北沢の本屋B&Bにて「物議をかもしたCM・番組」「放送禁止になってしまったCM」を振り返り、「何がダメだったのか」「どうして今はいろいろキビしくなってきたのか」を考察するイベントを開催します。  見る側ではなく、「クレームを受ける側」「放送中止になった理由を知る立場」として大討論! お見逃しなく! 【関連リンク】 ネット編集者大推薦!「ときめき!動画倶楽部」2013年4月の掘り出し物 ~しょんぼりGW最終日にキラキラ動画を見るっきゃナイト(昼)!~ http://bookandbeer.com/blog/event/20130506_bt/
早稲田大学教授も注目! 『回転』するバンドが初の書籍を発売
早稲田大学教授も注目! 『回転』するバンドが初の書籍を発売  音楽とアートの融合という果てしない野望を、どのくらい前の時代から多くの芸術家・音楽家たちが試みてきたでしょうか。    そんな音楽を実験と捉え、音楽の技法の一つでもある"回転"に取り憑かれ、アートの域まで昇華させたバンドOpen Reel Ensemble。彼らが録音機の遺産「オープンリール」をデジタル機器と組み合わせて合奏しようと導きだした「USBオープンリール」という発明から4年。ついに、彼らの「取扱説明書」とも呼べる書籍『回典』が刊行されました。  録音メディアの歴史を辿りながら、超豪華ゲストと対話していく第一章。これまで語られる事のなかった結成秘話や機構システム・奏法を解説する第二章。 「オープンリール」のまだ見ぬ未来の可能性を探る第三章。さらには、Open Reel Ensembleが本作限りOpen Reel Orchestraとなって四楽章構成の新曲を披露するドキュメント+ライブDVDがセットになって制作されました。  4月27日には、下北沢の本屋B&Bにて、本著の発売を記念したトークイベントが開催されます。ゲストには、『回典』にコラムを寄稿した早稲田大学教育学部教授の原克氏が招かれ、深い音楽と回転の未来が語られます。 【関連リンク】 Open Reel Ensemble「回典 ~En-Cyclepedia~」発売記念トークイベント:http://bookandbeer.com/blog/event/20130427_open-reel-ensemble/
ありふれた風景を「写真」で変えようとする、渡辺兼人の眼
ありふれた風景を「写真」で変えようとする、渡辺兼人の眼 (C)Kanendo Watanabe (C)Kanendo Watanabe (C)Kanendo Watanabe  第7回の木村伊兵衛写真賞の受賞作家でもある渡辺兼人の写真展、「真菰は」が、東京・神保町のGALLERY mestallaで開催されている。  真菰(まこも)は、日本各地の沼や河川、湖などの水辺に群生しているイネ科の植物。大型の多年草で、大きいものになると人の背丈ほどに成長する。葉は編まれて、むしろなどに利用される。  渡辺は、この真菰を追いながら、荒川や利根川、相模川沿いを丹念に歩いた。被写体は、ただ、「草と空と土」だ。  街のスナップでは、写真に収めるものは、はっきりしている。被写体との距離感や、人々の表情、仕草などだ。しかし、真菰が群れなす川岸では、どこも似たような風景が広がっている。  スナップと違い、どこでシャッターを切るのかが難しい、と渡辺はいう。そのため、被写体との距離、絞りやシャッタースピードについても、あえてルールをつくって撮影を続けた。  水辺でよく見られるありふれた風景が、渡辺に切り取られることで、違ったものに見えてくる。曖昧に感じられた風景が、写真なることで、何か、明確なものに見えてくる。精緻なモノクロームプリントだからこそ浮かび上がる、「写真の力」。ぜひ自分の目で確かめてほしい。 (*「アサヒカメラ」2013年5月号には同タイトルのグラビアが掲載されています。) 渡辺兼人写真展 真菰は 開場名:GALLERY mestalla(ギャラリーメスタージャ) 開催期間:2013年4月22日~5月11日 営業時間:13時~19時 住所:東京都千代田区西神田2-3-5 千栄ビル1F TEL:03-6666-5500 最寄り駅:神保町、水道橋 休館日:日祝 【関連リンク】 GALLERY mestalla http://www.gallerymestalla.co.jp/
ジャズの本質を探る珠玉編
ジャズの本質を探る珠玉編 『ザ・ジャズ・イヤー』ベン・ラトリフ著  ジャズ・ミュージシャンは、即興演奏の真髄を失くすのではないかと危惧し、彼らの技術や技巧について論じることを避ける傾向がある。  そこで、ニューヨーク・タイムズ紙の音楽評論家ベン・ラトリフが、ジャズの核心をつかむべく、ソニー・ロリンズ、オーネット・コールマン、ダイアン・リーヴス、ブランフォード・マルサリスを含む現代の偉大なアーティスト15名と膝を交え、彼らの心をもっとも動かし、影響を受けたレコーディングに関して語り合う。  著者ラトリフは、このパフォーミング・アートとアーティスト自身のきわめてはかなくわかりづらい本質に対する深い解釈を巧みに引き出している。本書『ザ・ジャズ・イヤー』は、音楽を創る上での独創性が表出する、興味深く洞察力に優れた探求である。 ●「あなたのことは、すべてわかるわ」(第5章より抜粋:オーネット・コールマンの母親の言葉)  オーネット・コールマンはまず第一に、ウクライナ出身のカントール(聖歌の朗唱者)、ヨーゼフ・ローゼンブラットのレコードをリクエストしていた。ローゼンブラットは、1911年にニューヨークに移住した後、エンターテイナーとして高い人気を博した。彼はまた、自らの信念を貫く象徴的な存在にもなった。  私は1916年録音の数枚のレコードを持参した。私たちは、安息日の礼拝で歌われた《Tikanto Shabbos 》に耳を傾けた。ローゼンブラットは、低音域で音吐朗々としたヴォイスを、高音域では驚異的なコロラトゥーラを聴かせた。  コールマンが私に言った。「20何年か前にシカゴで若い奴にこう言われた。『俺の家にちょっと立ち寄ってください。聴かせたいものがあるんです』と。そこで私は、地下にある彼の家に行った。彼はヨーゼフ・ローゼンブラットのレコードをかけたんだ。私は、赤ん坊のように泣き出してしまった。彼がかけたレコードは、泣きながら、歌いながら、祈っていた。同じブレスの中で同時にだ。それがどれも、邪魔をしあわない。すべてが共存していた。私は、『ちょっと待てよ。ノートがまったく見当たらない。これは、"ノート"じゃない。ノートがまったくないんだ』と思った」  彼は、ローゼンブラットのレコードにさらに耳を傾けた…… 「ちょっと聞きたいことがある」とコールマンが言った。「彼が歌っている言葉は、リゾルヴ(解決)しているのかい? メロディーじゃないよ。つまり、彼はリゾルヴしているが、"メロディー"を歌ってはいない」 「少なくとも各小節をモードに応じて歌っていると言えなくもない」と私が答えた。 「彼はまったくスピリチュアルに歌っていると思う」とコールマンが言った。「彼は人として経験していることをサウンドにし、彼の声質でそれを表している。彼が歌っているのは、彼が語ろうとしているものだ。私たちは、"歌"として聴くが、彼は何かを語っているんだ。私にはそれが何かわからない。だが、最高だ」
壇蜜は女子高生に人気? “絶食系男子”には刺激が強すぎる?
壇蜜は女子高生に人気? “絶食系男子”には刺激が強すぎる?  もうずいぶん長い間にわたって、政治に無関心な若者が増えつつあると言われている。が、実際のところ本当にそうなのだろうか? というのは学習書や辞書などを発行する大修館書店がこの3月に現役高校生を対象に調査を行ったところ、著名人の意外な認知率が明らかになったのだ。  『イマドキ高校生の書けそうで書けない言葉』と題して行われたこの調査では、テレビやインターネットなどで頻繁に取り上げられる人物や言葉にフォーカス。実際に名前や言葉について“書ける”か、“顔を思い浮かべられる”のかどうかを質問した。  言葉に関しては、70%の高校生がTPP「かんたいへいようせんりゃくてきけいざいれんけいきょうてい(環太平洋戦略的経済連携協定)」を漢字で“書ける”と答えたのをはじめ、アベノミクスの柱である「きんゆうかんわ(金融緩和)」についても69%が“書ける”と回答。高校生の政治・経済への知識の高さをうかがわせた。一方で、2月に竣工した「かぶきざ(歌舞伎座)」や招致が話題の「オリンピック(olympic)」の綴りは正確に書くことができないなど、メディアで話題になったことへの認知はあまり高くないようだった。  また意外な結果となったのが著名人の名前。CMやドラマで人気の「剛力彩芽」の名前を“書ける”としたのは約55%だったほか、マンチェスター・ユナイテッドFCで活躍する「香川真司」は45%程度と、エンタメ系、スポーツ系の人物は意外に低調。“顔を思い浮かべられる”については剛力が80%、香川が60%となった。最近、話題をふりまくことの多い「エッチなお姉さん」こと壇蜜も、“書ける”が全体で47%程度、“顔を思い浮かべられる”は65%ほど。意外なことに、そんな芸能人らを抑えて第1位となったのが「安倍晋三」首相。“書ける”で62%、“顔を思い浮かべられる”で83%と、どちらの分野でも断トツの認知率。この結果だけをみると、最近の高校生は「政治離れ」より「エンタメ離れ」しつつあるのかもしれないと思わせられる。  ところで、壇蜜に関してはさらに意外な事実が発覚。調査結果を男女別で見たところ、女子が“書ける”57%、“顔を思い浮かべられる”76%と比較的高めの割合だったのに対し、男子が“書ける”38%、“顔を思い浮かべられる”59%とかなり低めの結果に。壇蜜は、男子よりも女子高生の方によく認知されていた。男子が伸び悩んでいるのは、昨今の“絶食系”男子にとっては少々刺激が強すぎるからだろうか? 【関連リンク】 大修館書店 http://www.taishukan.co.jp/index.html
第18回 『ライヴ・イン・トーキョー』サラ・ヴォーン
第18回 『ライヴ・イン・トーキョー』サラ・ヴォーン 『ライヴ・イン・トーキョー』サラ・ヴォーン Sarah Vaughan Live In Tokyo [Complete Edition] (Jazz Lips [Mainstream])  女性ジャズ・ヴォーカルの御三家といえば「エラ、サラ、カーメン」のはずだったが、近頃は「ビリー、エラ、サラ」という困った記述も見かける。別格のホリデイを入れてはマズいだろう。おまけに語呂がよくない。カーメンを入れて四天王なら我慢したのだが。来日が早かったのはJ.A.T.P.ツアーで訪れた1953年11月のエラで、コンサートの模様は連載の初回でとりあげた。次が1964年7月のカーメンで、最後が1969年9月のサラだ。本作は1970年12月に続く三度目の来日時に録られた。まずは第一部のすべてと第二部の一部を収めた『ライヴ・イン・ジャパン』(2枚組)が発表され、第二部の残りを収めた『アンコール!』が続いた。CDも2枚構成で、バラ売りには英Mainstream盤(1991年)、2枚組には米Mobile Fidelity盤(1990年)、米Legacy [Mainstream] 盤(1993年)、日Sony盤(1998年)などがある。入手が容易なのは上掲のJazz Lips盤(2009年)だ。  Disc1には第一部の14曲が収められ、12曲はお馴染みのスタンダード・ナンバーだ。のちにスタンダードになる《ウエイヴ》はさておき《ある愛の詩》は時代を感じさせる。紹介に続く拍手喝采のなかサラが登場、ファスト・テンポの《霧深き日》でコンサートは幕を切って落とす。わずか2コーラスで聴き手を自らの世界に引き込む鮮やかな快唱だ。このあとは情感を込めて歌いあげる長めのスロウと、一気に駆け抜ける短めのファストがほぼ交互する。二、三のMCを除いて58分ブッ通しだ。そのMCがなかなかユーモラスで、2曲目を終えて「みなさん、私をご存じないでしょう。私はカーメン・マクレエです」と言ってのけたり4曲目を終えて「どーもどーも」と感謝したり、大物ぶりを実感できる。欲を言えば、ファストはチト素っ気なくバラードは感情移入が過ぎて、いま一つ説得力に乏しいことだろう。ここまでなら好唱+αどまりで、強いて薦めるほどのものではない。  しかしここで投げては損をする。第二部は変化に富み文句なしの快唱が連続するのだ。Disc2には第二部の13曲(幕開けのトリオ演奏を勘定すると14曲)が収められ、11曲はスタンダードだ。《ウォッチ・ホワット・ハプンズ》はさておき《雨の日と月曜日は》は時代を感じさせる。ほぼ緩急が交互する構成は変わらないが、活気と寛ぎに満ちた快唱を繰り広げて遺憾がない。ファストでは全員にソロを回したりスキャットで渡り合ったり、鮮やかなばかりか楽しい聴き物になっている。なかでもスロウが断然いい。肩の力が抜け感情移入に過不足がなく《雨の日》は感動的ですらある。この曲からリクエストに応じて即席の歌詞とスキャットで綴る《バイ・バイ・ブラックバード》で終える下りが圧巻だ。アンコールの《トゥナイト》《テンダリー》は軽く流して心地よいクールダウンに導く。同じツアー時にベオグラードで録られた追加曲《おもいでの夏》も好唱だが蛇足に思える。  ロックが台頭した1960年代、多くの歌手が活動の停滞を余儀なくされた。ジャズ界でも歌手は大衆人気を得やすい稼業だっただけに落差のほどは奏者の比ではなかっただろう。御三家も例外ではなく同年代に見るべき作品はさほどない。サラなら『ザ・ディヴァイン・ワン』(1960年10月/Roulette)と『サッシー・スイングス・ザ・チヴォリ』(1963年7月/Mercury)くらいだ。ともに40歳前後の女盛りだったことを思えば不調とするのは妥当ではなく時代のせいとするほかなかろう。それが証拠に、1970年代の初めにジャズが息を吹き返すと彼女らも大活躍の契機となる快作をものした。エラは『ライヴ・アット・カーネギー・ホール』(1973年7月/CBS)、カーメンは『ザ・グレート・アメリカン・ソングブック』(1971年11月/Atlantic)、サラは本作だ。サラの諸作中、上位五傑は無理にせよ七番手は下るまい。記念碑的な名盤が我が国で録音されたことを誇りに思う。 【収録曲一覧】 [Disc 1] 1. A Foggy Day 2. Poor Butterfly 3. The Lamp Is Low 4. 'Round Midnight 5. Willow Weep For Me 6. There Will Never Be Another You 7. Misty 8. Wave 9. Like Someone In Love 10. My Funny Valentine 11. All Of Me 12. Love Story (Where Do I Begin) 13. Over The Rainbow 14. I Could Write A Book [Disc 2] 1. The Nearness Of You 2. I'll Remember April 3. Watch What Happens 4. I Cried For You 5. Summertime 6. The Blues 7. I Remember You 8. There's No Greater Love 9. Rainy Days And Mondays 10. On A Clear Day 11. Bye Bye Blackbird 12. Tonight 13. Tenderly 14. The Summer Knows [bonus track] パーソネル Sarah Vaughan (vo), Carl Schroeder (p), John Giannelli (b), Jimmy Cobb (ds) 録音場所・年月日 Recorded At Nakano Sun Plaza Hall, Tokyo, September 24, 1973. [bonus track] Recorded in Belgrade during the same tour.
浅草から築地へ。レビューの聖地がお引っ越し
浅草から築地へ。レビューの聖地がお引っ越し  歌あり、踊りありの「レビュー・ショー」といえば、日本では宝塚歌劇団と松竹歌劇団がその双璧だった。その後、時代と進むとともに衰退し、現在まで続いているのは、宝塚歌劇団だけということになる。  SKDとよばれた松竹歌劇団が本拠地としていたのは、浅草の国際劇場であったが、1982年に閉館。SKDも1996年には解散してしまい、かつて映画と並んで浅草の賑わいを演出していたレビューの灯は消えてしまった。  さて、ここにレビューを愛するひとりの人物がいる。名前は、神崎順。彼は「レ・ミゼラブル」などの舞台にも出演する俳優だ。  彼は、浅草にかわって、築地から再びエンターテイメント・レビューの魅力を発信しようと計画している。  神崎は、少年時代に宝塚の舞台を見ての想いは消えることなく、現在もレビューを愛し、自ら主催し、出演までしている。  今年は、築地で年4回のレビュー公演を予定している。場所は、築地本願寺の中にあるブディストホール。このホールは、宮本亜門が、1987年に 『アイ・ガット・マーマン』で演出家デビューしたホールとしても知られている。  神崎は「このホールは、ヨーロッパのミュージック・ホールを思い起こさせる。」と言っており、ここを拠点に、築地を東日本における「レビュー聖地」としたいとの夢を持っている。  今年最初の公演は、生きる博多人形、松井誠と宝塚のトップスターOGの郷ちぐさ、高汐巴、高嶺ふぶき、美雪花代、紫城るい、などが出演する「Legendary Ⅲ」 【公演情報】 3月14日(木)より築地本願寺ブディストホールにて 詳細:神崎順 公式サイトhttp://jun-kanzaki.la.coocan.jp/index.htm
第26回 『洪水 ライヴ・イン・ジャパン'75』ハービー・ハンコック
第26回 『洪水 ライヴ・イン・ジャパン'75』ハービー・ハンコック 『洪水 ライヴ・イン・ジャパン'75』ハービー・ハンコック  1975年6月、ハービー・ハンコック(ピアノ、キーボード)は信仰に関わる私的来日は別にして3度目の来日を果たす。意外に少ないがマイルス・グループに加わっての初来日(1964年7月)からグループを率いての再来日(1974年7月)まで10年も空いていた。その再来日も『ヘッド・ハンターズ』(1973年/Columbia)の空前のヒットがあったればこそだろう。我がファンは初来日後の新主流派の旗手で鳴らした時代とエレクトリック・フリーの時代をライヴで体験することなく、一足飛びにエレクトリック・ファンク路線に転じたハービーにふれたわけだ。前年に来日したベニー・モウピン(ソプラノ、テナー、サクセロ、フルート、パーカッション)、ポール・ジャクソン(エレクトリック・ベース)、マイク・クラーク(ドラムス)、ビル・サマーズ(コンガ、パーカッション)は不動で、ファンク畑からブラックバード・マクナイト(エレクトリック・ギター)が加わっていた。  これは初のライヴ作だ。このあとの公式ライヴで純粋に自己名義と呼べるのは『ニューポートの追想』(1976年/同)と『ディレクションズ・イン・ミュージック』(2001年/Verve)くらいしかない。それに加えてハービーが凄味を発揮したことでも貴重な記録だ。最初はLP二枚組で我が国でのみ発表され、その後も2006年の米盤を除いて我が国でのみ出されてきた。ハービーの生涯をも代表するライヴ名盤は我々が独占してきたに等しい。アコースティック・サイドの《処女航海》は『処女航海』(1965年/Blue Note)から、《アクチュアル・プルーフ》は『突撃』(1974年/Columbia)から、ファンク・サイドの《スパンク・ア・リー》《バタフライ》も『突撃』から、新《ウォーターメロン・マン》《カメレオン》は『ヘッド・ハンターズ』から選ばれ、《ハング・アップ・ユア・ハング・アップス》は帰国後に録音され新作『マン・チャイルド』(1975年/同)に収められた。  幕開けは《処女航海》、ソロ・ピアノが延々と続く。水面のきらめきを思わせる知的でクールな快演がピークに達したあとフルートとリズム隊が加わってテーマをひとしきり、そのまま《アクチュアル・プルーフ》に滑り込む。フルートが導くアンサンブルのあと、ハービーが独走態勢に入る。アグレッシヴなんてもんじゃない。ジャクソンとクラークが付かず離れず絶妙の呼吸で絡むなか、めくるめくパッセージを奔流さながらに繰り出して鳥肌ものだ。これ一曲で買っても損はない。ハービーの凄味が知れる生涯屈指の名演だ。《スパンク・ア・リー》はリズム隊が先発、モウピンがテナーでファンキーに歌いあげ、ハービーのご機嫌なコンプが加わると次第にヒートアップ、上々のテナー・ソロが続く。ホイッスルが始まると歓声が沸く《ウォーターメロン・マン》はモウピンをフィーチャー(エッヂの立ったソノリティからサクセロでは)、ハービーの出番がなくて物足りない。  ハービーの滑らかな日本語の挨拶に続く《バタフライ》はエレピのイントロに始まり、モウピンがソプラノとバスクラの同時吹奏でテーマを奏し、エレピのロングソロが続く。最初は優美に漂い、次に妖しい夢の中を彷徨い、最後はファンク色を強めて軽やかに歩むイマジナティヴな快演だ。エレベがヴァンプを始めると再び歓声が沸く《カメレオン》はイントロかと思ったヴァンプを繰り返す。グルーヴ本位、これはこれでご機嫌な演奏だ。いかにもシンセなソロ(というよりミサイルや洪水を思わせるエフェクト)は古臭いが。ラストの《ハング・アップ》はリズム隊が先発、マクナイトのカッティングが心地よい。アンサンブルを経てハービーが先発、これも凄いことに。淀みなし、知的でクールなのにファンキーでホット、個性全開の名演だ。モウピンのソロ(これもサクセロでは)を経てグループは怒涛の勢いで終曲に向かう。再び日本語で謝辞、名コンサートの幕が降りる。 Flood / Herbie Hancock (Sony [CBS/Sony]) Recorded At Shibuya Koukaido on June 28, Nakano Sun Plaza on July 1, Tokyo, 1975. 1. Introduction/Maiden Voyage 2. Actual Proof 3. Spank-A-Lee 4. Watermelon Man 5. Butterfly 6. Chameleon 7. Hang Up Your Hang Ups Herbie Hancock (p, el-p, clavinet, syn), Bennie Maupin (ss, ts, saxello, bcl, fl, per), Blackbird McKnight (el-g), Paul Jackson (el-b), Mike Clark (ds), Bill Summers (cga, per). ※このコンテンツはjazz streetからの継続になります。
空前のブーム! グルメな缶詰、缶詰バーが人気
空前のブーム! グルメな缶詰、缶詰バーが人気  世は空前の缶詰ブームなのだ。  平日の夜7時すぎ。缶詰バー「mr.kanso(ミスターカンソ)」神田店は、すでに仕事帰りの会社員らでにぎわっていた。高さ2メートルほどの棚には、150種類もの缶詰がぎっしり。「サンマのかば焼き」や「サバのみそ煮」などおなじみの缶はもちろん、おしゃれなデザインの缶やハングルなどが書かれた海外製のものもあり、200~2千円の値段が貼ってある。好きな缶詰を選ぶと、店側が温めたり焼いたり、ひと手間加えて出してくれる。  このmr.kanso。「缶詰倉庫」と、システムが「簡素」というのが店名の由来だ。2002年に大阪・なんばに1店目をオープンして以来、珍しさや気軽さがうけて、現在8都府県に18店舗を展開している。  地味なイメージだった缶詰がここ数年、見直されてきている。グルメもうなる「おつまみ缶」や「総菜缶」なども開発され、缶詰を使ったレシピ本も毎月のように出版されている。  食品・酒類卸売大手の国分が一昨年から酒の肴さかなとして販売している「K&K缶つま」シリーズは、「広島かき燻製油漬け」が500円、「ムール貝の白ワイン煮」が400円、「霧島黒豚角煮」が800円(いずれも税抜き)など、ちょっとお高めだが大ヒットしているという。  同社によると、1年目は14アイテムで100万缶、2億円弱を売り上げ、2年目の昨年は24アイテム、売り上げは180万缶、3億5千万円とほぼ倍増。  今年はスペインバルで出される料理をイメージした「小鰯のオリーブオイル漬け」「マテ貝の塩漬け」など新たに15アイテムを加え、300万缶、5億円以上の売り上げを見込んでいる。  同シリーズの生みの親で、商品開発を担当する森公一さんは、 「缶詰のつまみというと、『おじさん、しょぼい、カップ酒』のイメージでしたが、その逆を突く、おしゃれでプレミアム感のある商品を目指しました」  イメージアップに成功し、酒の売り場にも置かれるようになった。ABCクッキングスタジオと連携して女子向けのレシピを開発し、女子会イベントを頻繁に開催している。 ※AERA 2012年11月26日号
『鋼鉄番長』休演のお詫びと再開へのエール
『鋼鉄番長』休演のお詫びと再開へのエール  劇団☆新感線公演『鋼鉄番長』が休演を重ねていることを、劇団に関わる人間の一人としてお詫び申し上げます。  40を越えた役者達が身体を張って全力投球する。そういう無茶をやるから面白いと、以前このコラムでも書きました。  もちろん、役者はその無茶を支えるために身体に気を遣い、スタッフはケガがないようにケアしていく。体調管理に関しては、いつも以上に気をつけていたと思います。  それでも、こういうことは起こってしまう。  楽しみにしていたお客様や、関係者のみなさんに多大な迷惑をかけたことは間違いありません。  ケガで降板した池田成志や、現在療養中の橋本じゅんもそのことはよくわかっているでしょう。    池田成志がケガをした回は、僕も客席で観ていました。  ラスト近く、何気なく階段を降りた時彼の動きが不自然で「あれ、ひょっとしたら」と思ったら、アキレス腱を切っていました。  その日の終演後、代役を河野まさとにして公演を続行するという方針を聞いて帰ったのですが、後日、橋本じゅんが腰を痛めて動けないので休演するという連絡を受けて驚きました。  大変なことになったなと思いましたが、今回は自分の作品ではないので、僕も部外者と言えば部外者。  それじゃなくても各方面への対応で大わらわであるだろう制作チームには、こちらから「どうなったか?」という問い合わせを入れるのも気がひけていました。  じゅんが演じた兜剛鉄は、とにかくテンションの高いよく動く役です。腰の痛みがひいたとしても、ごまかしながら出来るような役ではない。代役を探すにしても、動けてギャグセンスがある。しかも主役を支えられる役者はそう簡単にはみつからないだろう。かといって、全部休演にするにはいろいろな意味で、影響が大きすぎる。  そんなことを考えながら、一人でやきもきしていました。    ですので、三宅弘城くんが橋本じゅんの代役で出てくれるということを聞いた時には、正直ホッとしました。  彼はナイロン100℃に所属していますが、新感線にも二度ほど出ています。 『直撃ドラゴンロック轟天2』の鉄腕イワンと『髑髏城の七人 アオドクロ』の刀鍛冶カンテツ役。  ネタ物もいのうえ歌舞伎も体験している。  身体も動くし、笑いもとれる。 『アオドクロ』のカンテツは、いのうえ歌舞伎史上で一番笑わせてもらったキャラだと思っています。  グループ魂のドラマー石鹸としても活躍している彼のスケジュールがよくあいていたなと、これは演劇の神様に感謝しなければなりません。  もちろん、この役を受けてくれた三宅くんにも最大の感謝を。  大変だとは思いますが、今、10/30の再開に向けて、全員一丸となって稽古していることでしょう。  今後のスケジュール、チケットの払い戻しなどに関しては劇団☆新感線のサイトでご案内をしています。  急な休演で多くのお客様にご迷惑をおかけしたこと。予定されていたキャストが降板してしまうこと。その事に関しては、本当にお詫びしなければなりません。 それは踏まえた上で、今は、舞台の幕をあけようと頑張っている『鋼鉄番長』のキャストやスタッフ、治療に専念している橋本じゅんや池田成志に、心から「頑張れ」とエールを送りたいと思います。 ▽『鋼鉄番長』公式ホームページ
「日刊闇株新聞」発行人が提言 「消費増税にダマされるな」
「日刊闇株新聞」発行人が提言 「消費増税にダマされるな」  近ごろ、金融業界の関係者だけでなく、個人投資家までもが注目するブログがあるという。それは、『日刊闇株新聞』。昨年公になった、オリンパスの損失隠し事件でも経済界の裏事情を次々と暴露。サイト運営者の正体は不明だが、業界内では「知る人ぞ知る」存在だという。彼をX氏と呼ぶことにしよう。  X氏は、「財務省は増税のため、意図的に国民の危機感をあおっている」「日本はギリシャではない。すぐに財政が破たんすることはない」という。国民に対して、財務省のシナリオに「騙されるな」と警告する。  消費税増税は不況を呼ぶ危険があるとし、その前にやらねばならない策の一つに、銀行に「不労所得税」を課すことを提案している。  超低金利の現在、預金者への利息は0.03%ほど。一方、銀行が国債を買うと10年債なら1%弱の利息が得られる。預金には年利0.084%の保険料がかかるが、国債には企業への貸し付けと違い与信審査が必要なく、人件費を含むコストは非常に低いという。  例えて言うと、3円(預金金利0.03%)で仕入れたもの(預金)に8円の保険をかけて、100円(10年国債の金利1%として)で売っているようなもの。銀行は国債金利の大半を預金者から"ピンハネ"している構図になる。「この『不労所得』こそ、課税対象にふさわしい」とX氏はいう。  また、預金と貸付金の差額(=遊休資産)に課税することも一つのアイデアだと話す。遊休資産の額は2008年12月末から2011年12月末までの3年間で52兆円増加。「消費税10%が実施される3年後には、このペースなら『遊休資産』はもう50兆円増えて200兆円を超え、日本経済へのマイナスは計り知れない」(X氏)。ここに仮に5%の税をかけると、増加分が50兆円なら2.5兆円の税収となり、消費税1%程度は賄える計算になるのだという。  大手銀行は過去の不良債権処理で多額の繰り越し欠損金を抱え、最近はほとんど法人税を払っていない。「昨年3月期に三菱東京UFJ銀行が10年ぶりに法人税を納めたが、3メガバンクでは三井住友銀行、みずほ銀行がまだ納税を再開していない」とX氏。 「政府・財務省の言い分を鵜呑みにすると、この国は大変なことになる」  X氏はこう締めくくった。 ※週刊朝日 2012年1月27日号

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