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第53回 『ヴォーカリーズ・ライヴ』マンハッタン・トランスファー
第53回 『ヴォーカリーズ・ライヴ』マンハッタン・トランスファー 『Vocalese Live』The Manhattan Transfer  1986年は前年から32組、実に35%増しの延べ103組が来日した。ハービー、チック、キースなど8組は2度は訪れている。バブル期の開始は同年12月とされるが、来日ラッシュからは既に始まっていたと言えそうだ。主流派が33組と大躍進、19組のフュージョン/ニュー・エイジ系、16組の新主流派/新伝承派、各13組のフリー系とヴォーカル、4組のディキシー/スイング系、3組のクラブ/ファンク系、2組のビッグバンド(スイング、モダン)が続く。野外フェスでは「ライヴ・アンダー・ザ・スカイ」「ニューポート・ジャズ・フェスティヴァル・イン・斑尾」「マウント・フジ・ジャズ・フェスティヴァル」などが開催され延べ30万人もの観客を動員、「富士通コンコード・ジャズ・フェスティヴァル・イン・ジャパン」もこの年に始まっている。空前のジャズ・ブームだったが、転勤~引っ越し、長男誕生、倒産~就活と、それどころではなかった。  作品数は前年から3作増しの32作にとどまる。スタジオ録音とライヴ録音は半々で、日本人との共演は前者が13作(6作は和ジャズ)で後者は5作(4作は和ジャズ)だ。和ジャズ、カーメン・マクレエ『ライヴ・イン・トーキョー』、マンハッタン・ジャズ・クインテット『ライヴ・アット・ピット・イン』、ロン・カーター『ザ・パズル』、ステップス・アヘッド『ライヴ・イン・トーキョー1986』、アウト・オブ・ザ・ブルー『ライヴ・アット・マウント・フジ』は躊躇わず、ラウンジ・リザーズ『ビッグ・ハート』、ラスト・イグジット『ザ・ノイズ・オブ・トラブル』、ミルチョ・レヴィエフ『ジ・オラクル』は粒揃いではなく選外とした。スティーヴ・レイシーの『ザ・キッス』は未聴だ。というわけで1986年はマンハッタン・トランスファー『ヴォーカリーズ・ライヴ』、マキシン・サリヴァン『スインギン・スウィート』を取り上げる。今回はマントラ盤だ。  結成は1969年だが、多くが知るのは再編された73年の二代目からか、シェリル・ベンティーンが加わる79年の三代目からだろう。昨年、リーダーのティム・ハウザーは他界したが、三代目だけで35年も続いた。離合集散の激しい音楽界では稀有なことだ。技巧を超える魅力に乏しいそれぞれにとって最適の居場所だったということではないか。二代目は低空飛行だった。演目がジャズ、ドゥー・ワップ、ポップス、シャンソンほかに及ぶとくれば、大方の印象は「おシャレなグループ」を超えるものではなかったと思う。大ブレイクしたのは1979年の『エクステンションズ』だ。ディスコ・ブームに乗った《トワイライト・ゾーン》とウェザー・リポート《バードランド》のカバーが大ヒット、人気グループに躍り出る。1985年にはヴォーカリーズに挑んだ『ヴォーカリーズ』を発表、最高度の評価を受けて当代ジャズ・コーラス・グループの頂点に立ったのだった。  初来日は人気上昇中の1980年6月で、82年2月、83年10月と来日を重ねる。推薦盤は4度目の来日時、1986年2月の「ヴォーカリーズ・ツアー」中に録られた。レーザーディスクとビデオカセットが同年に、CDとLPは翌年にリリースされている。コンサートをフルに収録した映像版のほうが6曲多い。とはいえ、音声版もコンサートで取り上げた『ヴォーカリーズ』からの曲は余さず収録している。タイトルに偽りなしだ。コンサートは、ほぼ『ヴォーカリーズ』収録曲で通した第1部(CDでは1~7曲目)、ドゥー・ワップが中心の第2部(8~10曲目)、フュージョン系と懐メロ・ポップスを取り上げた第3部(11~13曲目)で構成される。第2部からはヒットパレードだが、『ヴォーカリーズ』収録曲で異質の《ザッツ・キラー・ジョー》を第2部に、《レイズ・ロックハウス》を第3部に持ってきたのは正解だ。なんと言っても第1部がすばらしい。  ジミー・ジュフリー作《フォー・ブラザーズ》で幕開け。アンサンブル・パートといいアドリブ・パートといい、ウディ・ハーマン楽団の古典に則ったスリリングな畳みかけに端からゾクゾクしっぱなしだ。ここから6曲、目玉の『ヴォーカリーズ』収録曲が続く。J.J.ジョンソン&ベイシー作《ランボー》ではベイシー楽団流に軽快にバウンスし、クインシー・ジョーンズ作《ミート・ベニー・ベイリー》では日本人好みのマイナー調をファンキーにグルーヴさせ、ロリンズ作《エアジン》では高速連射の超舌技?で圧倒し、サド・ジョーンズ作《トゥ・ユー》では美しいハーモニーでコーラスの醍醐味に浸らせ、クリフォード・ブラウン作《シング・ジョイ・スプリング》では高難度の歌唱で唸らせ、デンジル・ベスト作《ムーヴ》ではマシンガン・スキャットものかはマシンガン・ヴォーカリーズで攻め立てるといった案配で、一気呵成、息をも付かせぬステージ運びなのだ。  全員一丸で突き進んだ活気と緊張感の漲る第1部を聴いたあとでは、第2部と第3部は聴き劣りする。ヒットパレードとあって寛いだ好演とも言えるが、手慣れた感は否めず、ポップ・フュージョン系の《オン・ザ・ブールヴァード》などはむしろ古びて聴こえる。そんななかでは、アカペラで多彩な表現を見せるバーバーショップ系《デューク・オブ・ダビューク》、腰も揺れだすラテン・フュージョン系《シェイカー・ソング》が快唱だ。  3度目の来日時の録音も『バップ・ドゥー・ワップ』『マン-トラ! マンハッタン・トランスファー・ライヴ・イン・トーキョー』で聴けるが平均点、推薦盤には及ばない。  音声版は27年前に発売されたきりだが入手難ではなさそうだ。もちろん、再発が続いた映像版のほうが入手は容易だろう。ただ、一般に映像版では聴覚より視覚が働きがちで、一度観ると手が伸びにくい嫌いもある。YouTubeでチェックしてから決められるといい。[次回8/17(月)更新予定] 【収録曲】 『Vocalese Live』The Manhattan Transfer 1. Four Brothers 2. Rambo 3. Meet Benny Bailey 4. Airegin 5. To You 6. Sing Joy Spring 7. Move 8. That's Killer Joe 9. The Duke of Dubuque 10. Gloria 11. On the Boulevard 12. Shaker Song 13. Ray's Rockhouse Recorded at Nakano Sun Plaza Hall, Tokyo, on February 20 & 21, 1986. The Manhattan Transfer: Tim Hauser, Alan Paul, Janis Siegel, Cheryl Bentyne (vo). The Manhattan Transfer Band: Yaron Gershovsky (key, dir), Wayne Johnson (g, el-g), Alex Blake (b, el-b), Buddy Williams (ds), Don Roberts (ts). 【リリース情報】 1986 LD/VC Vocalese Live 1986 / The Manhattan Transfer (Jp-Columbia/Jp-Videoarts) 1987 CD  Vocalese Live / The Manhattan Transfer (US-Atlantic)    CD/LP Vocalese Live / The Manhattan Transfer (Jp-Atlantic)    LD  Vocalese Live 1986 / The Manhattan Transfer (US-Pioneer) 2000 DVD  Vocalese Live 1986 / The Manhattan Transfer (US-Image Entertainment) 2004 DVD  Vocalese Live 1986 / The Manhattan Transfer (Jp-Columbia) 2004 DVD  Live In Tokyo / Carmen McRae + Vocalese Live / The Manhattan Transfer       (It-Eagle Rock) 2008 DVD  Vocalese Live 1986 / The Manhattan Transfer (Jp-Columbia) 2010 DVD  Vocalese Live 1986 / The Manhattan Transfer (Jp-Columbia)  映像版では、音声版の10曲目と11曲目の間に《Heart's Desire》《Birdland》が、12曲目と13曲目の間に《Java Jive》《Blue Champagne》《How High the Moon》《Boy from New York City》が収録されている。 ※このコンテンツはjazz streetからの継続になります。
豚の丸焼き、DJ派遣…思わずうなる大人のバーベキュー事情
豚の丸焼き、DJ派遣…思わずうなる大人のバーベキュー事情 子豚の丸焼きができるバーベキューはいかが!?  夏レジャーといえば、家族や友人と集まってバーベキュー。これはこれで楽しいものだが、大人だからこそ、少し贅沢に楽しみたい。実は今、エンタメ性やオシャレ感重視、女子向けなど、さまざまなタイプのバーベキューが登場しているのだ。参加者をうならせる、大人のスペシャルバーベキューをご紹介しよう。  まず紹介するのは、いつものバーベキューにエンタメ要素をプラスする、特別な食材。“子豚の丸焼き”だ。肉のオンラインショップ「ザ・ミートガイ」(www.themeatguy.jp/app/ja/)では、子豚丸ごと1匹、約3万円で購入することができる。子豚は内臓などを取りのぞいた「中抜き」、体毛処理済みで届く。あとは現場で焼くだけでOK。ローストや塩釜、グリル焼きはもちろん、海外のお祭りのように、スキューアに通して、炭火の上でぐるぐると回転させながら焼けば、いつものバーベキューが一大イベントへと様変わり。中まで火が通るまで目が離せない点は大変だが、仲間たちと焼けばそれも楽しみのひとつ。子豚一匹の大迫力に、参加者のテンションも上がること間違いなしだ。(※価格は変動する可能性があるので購入時にはサイトで確認を)  エグゼクティブなバーベキューを堪能したいなら、東京・台場にあるホテル日航東京の「ablaze(アブレイズ)」がオススメだ。昼間は海辺の心地よい風、夜はレインボーブリッジや東京タワーの夜景が一望できる席で、ロース肉や国産牛の牛タンやオマール海老など、料理長が厳選した高級食材の炭火焼きとともに、種類豊富なワインを楽しむことができる。また、1日4テーブル限定の『プレミアムBBQコース』では、眺めの良い特等席で、A4ランクの和牛や骨付き鶏などの特選素材を味わえる。接待やデートで利用してもウケがよさそうだ。  女子ウケを狙うなら、ドラマ『失恋ショコラティエ』のロケ地にもなった、東京・豊洲にある「CAFE;HAUS」。1名4980円から、おしゃれにガーデンバーベキューが楽しめる。カジュアル、飲み放題、デラックス、エグゼクティブの4つのプランから選べるが、注目すべきはエグゼクティブプランだ。伊勢海老や熟成肉などの特別食材が味わえるだけでなく、このプランでは「BBQインストラクター」なるものが常駐している。おいしいバーベキューのコツをレクチャーしてくれるので、失敗して男の株を下げる、なんて心配はご無用だ。マシュマロもオーダーできるので、焼きマシュマロを使った流行のスイーツ「スモア」を作れば、女子からの評価も急上昇することだろう。  屋上で夜景を眺めながら音楽を楽しむ――。そんな「クラブ感覚」でバーベキューを満喫できるのが、今年の4月に代官山にオープンした、「REAL BBQ PARK daikanyama」。屋上の空間を1組(8~15名)限定で貸し切りが可能。周りに気がねすることなく、親しい仲間とワイワイ楽しむことができる。予算は1名当たり4000円~4500円。バーベキューメニューが豊富なのはもちろんだが、こちらの特徴は何と言っても音楽設備が充実していること。BRIGTON STUDIO by jazzy sportとの提携で、DJ機材やプロジェクターもレンタルできる。さらにはDJの派遣にも対応してくれるなど、都会ならではのオシャレなバーベキューが楽しめるのだ。  子豚一匹以外は、手ぶらOKなので、仕事帰りでも立ち寄ることが可能だ。これまでとはひと味違う、スマートかつエンターテイメント性に富んだ大人のバーベキューで、夏を満喫してみてはどうだろう。 (ライター・渡辺 恵理)
こころ揺さぶる妖しい美しさ。織作峰子の「SAKURA」
こころ揺さぶる妖しい美しさ。織作峰子の「SAKURA」 (C)Mineko Orisaku (C)Mineko Orisaku (C)Mineko Orisaku (C)Mineko Orisaku  写真家・織作峰子の写真展「SAKURA」が、長野県・軽井沢ニューアートミュージアムで開催される。今回は、昨年に東京・銀座のArt Gallery M84で開催された写真展「Premonition」に、新作を加えてあらたに構成された展示となる。  撮影で長年外国を巡る中、日本を感じたいという思いが湧いたという織作は、桜の中に、妖しさや怪しげな雰囲気に魅力を感じ、撮影を続けている。時には、ファインダーを覗くと背筋がぞくっとすることもあったという。 桜の中に潜む、美しいような、怖いような、得体のしれない何か。そんな魅力を求めて、奈良の吉野山や大字陀、山梨の王仁塚、和歌山の会津川、東京の千鳥ヶ淵など、各地で桜と向き合ってきた。 「美しいだけの桜を求めているのではない。儚くとも危うい桜に自身の心の揺れと葛藤とを重ね合わせ、写真特有の光効果で生まれた新たな表現をご覧ください」(同展に寄せた作者の文章より)  今も昔も人の心を揺さぶる桜。その美しさとその裏に潜むものを、織作は表現している。 おりさく・みねこ 1950年石川県生まれ。京都文教短期大学初等教育学科卒業。1982 年 ミス・ユニバース日本代表選出後に大竹省二写真スタジオ入門。 2000年ウォーターフォードウエッジウッドライフスタイルアウォード受賞。 2007年“Galerie Baudo in Lebon”と“Galerie DOWNTOWN”(フランス・パリ)で展覧会を同時期開催。2009年、日本ハンガリー国交樹立140周年記念特別招待作家としてブタペスト写真博物館にて展覧会開催。 同年、金沢21世紀美術館で個展開催。作品集に『DIMENSIONS』『光彩上海』『SWISS 光と風』ほか。 ■織作峰子写真展「SAKURA」 会場:軽井沢ニューアートミュージアム KaNAM Gallery3 開催期間:2015年5月8日(金)~6月8日(月) 開館:10時~17時(最終日は15時まで。入館は閉館30分前まで) 休館日:火曜 住所:長野県北佐久郡軽井沢町軽井沢1151-1 TEL:0267-46-8691 トークイベント「桜に想う」 日本画家・千住博×織作峰子 開催日:2015年6月7日(日) 開催時間:14時~ (入場無料)
第50回 『コンプリート・ライヴ・イン・ジャパン’84』アート・アンサンブル・オブ・シカゴ
第50回 『コンプリート・ライヴ・イン・ジャパン’84』アート・アンサンブル・オブ・シカゴ 『コンプリート・ライヴ・イン・ジャパン’84』アート・アンサンブル・オブ・シカゴ 『Live in Japan』Art Ensemble Of Chicago  1983年は前年から5組減の延べ73組(5組は二度)が来日した。20組のフュージョン/ワールド系が首位に返り咲き、15組の新主流派/新伝承派、14組の主流派、12組のヴォーカル、5組のフリー系、4組のスイング・ビッグバンド、2組のモダン・ビッグバンド、1組のスイングが続く。野外フェスは「ライヴ・アンダー・ザ・スカイ」「ニューポート・ジャズ・フェスティヴァル・イン斑尾」、大盤振る舞いが祟ったのか? 4回目のこの年で幕を閉じた「オーレックス・ジャズ・フェスティヴァル」が催された。観たのは5月のベイシー楽団、9月の「オーレックス」、10月の「マントラ」だけだ。11月のジョージ・アダムス=ドン・プーレン・カルテットだけは今更ながら気になる。  来日数は微減にとどまったが録音数は45作から30作と、大幅減となった。スタジオ録音は19作ある。日本人と共演したリーダー作/ゲスト参加作は13作で、うち7作は和ジャズだ。ライヴ録音は11作ある。日本人との共演作は2作で、1作は和ジャズだ。和ジャズ、ライヴ録音が2曲しかない「ウェザー・リポート」の『ドミノ・セオリー』、同年の録音が1曲しかないスティーヴ・レイシー(ソプラノ)の『デュエッツ』、入手が絶望的な「オーレックス」の4作を外すと、候補作はスコット・ハミルトン(テナー)の2作(同日)、JATP、マントラの計4作しか残らなかった。いずれも贔屓目に見ても好ライヴどまりなので見送る。なお、入手難で外した「オーレックス」の4作も同様だ。  1984年は前年から10組減の延べ63組(4組は二度)が来日した。前年に続いて20組のフュージョン/ワールド系が首位に付き、14組の主流派、11組の新主流派/新伝承派、10組のヴォーカル、5組のフリー系、2組のモダン・ビッグバンド、1組のトラッドが続く。野外フェスは「ライヴ・アンダー・ザ・スカイ」「ニューポート・ジャズ・フェスティヴァル・イン斑尾」「UMKフェニックス・ジャズ・イン」が催された。前年末に転職、未経験分野1年目の身に余裕はなく、4月のリンダ・ロンシュタットしか観ていないと記憶する。それも、終演後に寝台急行列車で東京本社に向かう有様だった。心残りは5月のカーラ・ブレイと、またも11月のアダムス=プーレン・カルテットだ。  来日数はまずまずにせよ録音数は22作と、さらに減った。1982年の半分もない。スタジオ録音は16作、日本人と共演したリーダー作/ゲスト参加作は14作にのぼり、8作は和ジャズだ。ライヴ録音は6作しかない。日本人との共演作は1作で和ジャズだ。同作と、どうも感心しないアート・ブレイキー&ザ・オール・スター・ジャズ・メッセンジャーズの『スーパー・ライヴ』、キャロル・スローン(ヴォーカル)の『ア・ナイト・オブ・バラード』は外し、「アート・アンサンブル・オブ・シカゴ」の『コンプリート・ライヴ・イン・ジャパン’84』と、ジュニア・マンス(ピアノ)の『ザ・ファースト』『ザ・セカンド』をとりあげる。今回は「アート・アンサンブル・オブ・シカゴ」盤だ。 「アート・アンサンブル・オブ・シカゴ」は1965年に組織されたAACM(※)を母体として、1968年に結成された。レスター・ボウイ(トランペット)、ロスコー・ミッチェル、ジョセフ・ジャーマン(リード)、マラカイ・フェイヴァース(ベース)、ドン・モイエ(ドラムス)からなる、フリー系のブラック・ミュージック・グループだ。初来日は1974年11月、その先鋭性と娯楽性に感銘を受けたという方が少なくない。1984年4月に10年ぶりに再来日、東京は五反田の簡易保険ホールでの公演がライヴ録りされた。1985年に一枚ものの抜粋盤(写真下)が、1988年に長尺5曲を追加収録した二枚組の完全盤(写真上)がリリースされている。完全盤にそって見ていこう。  一枚目は丸ごと完全盤への追加曲だ。おかげで、やんわりスタートしたことが知れる。闘牛場のファンファーレが祭りの始まりを告げ、華やいだパレードがいつしかアフリカの村に辿り着く《スパニッシュ・ソング》、スピリチュアルからシュールな懐メロに転じる《アンセストラル・ヴォイセズ~オールド》と、寛いだ印象なのだ。あとが凄いことに。《オーネダルース》はブラック・ミュージックの精髄をこれでもかとばかりにブチ込んだ怒涛の力演だ。パーカッション・アンサンブルとドラム・ソロの緊迫感に満ちた8分余が何かが起こる予感をいや増す。然り。三管がバップ風テーマをトップ・ギアで切り出し、ロスコーの激走を経て集団即興でひた走る。これに興奮しない者は音楽に縁はなかろう。  大興奮のあとは、いきなりの歓声と熱狂のワケが知れず悔し泣きする? パフォーマンス《ビギニング》、童心と諧謔が交錯する《ワルツ》と、チェンジ・オブ・ペースが続く。このあと、ノリのよさに心浮き立ちポリリズミックな競演に魅せられるパーカッション・アンサンブル《ビルディング・ザ・ミッド》、《パリの舗道》のシカゴ版と言うべきか、昔の貧民街の喧騒を描き出す《オール・タイム・サウスサイド・ストリート・ダンス》、一癖も二癖もあるグループ流マイナー・ハードバップ《ゼロ》、腰も揺れだすノリノリの《ファンキー・エイコ》と続き、同曲のクールダウン版《オドゥワラ~テーマ》を奏して、ブラック・ミュージックの一大テーマパークを思わせる大満足コンサートは幕を下ろす。  無数の楽器と演劇的な要素を含む手段を駆使した多彩な音楽は前衛性と娯楽性が両立、頭デッカチにもゲテモノにも堕さず、ダレず飽かさず簡明で快適、このうえなく楽しい。アフリカにつらなる「グレート・ブラック・ミュージック」を標榜したグループの諸作中、優にベスト・スリーに入る。31年の時を経て強度と鮮度が少しも落ちていないことこそ傑作の傑作たる証しだ。そんなジャズ史上の傑作が日本で生まれたことを誇らしく思う。今のところ入手が容易なのは初出の一枚ものに準拠した復刻盤(2010年)だ。確かにベストの選曲だが、やはり全貌にふれておきたい。iTunesで入手できるが、デジタル版に大枚をはたくこともなかろう。気長に探せば納得のいく価格の中古盤が見つかるはずだ。[次回5月11日(月)更新予定] ※ Association for the Advancement of Creative Musicians:創造的音楽家振興協会。1965年にリチャード・エイブラムス(ピアノ/作曲)を中心にシカゴで設立された、商業主義を排しアフリカン・アメリカンの独創性を目指す音楽家を支援する非営利組織。 【収録曲】 The Complete Live in Japan / Art Ensemble of Chicago (Jp-DIW) [Disc 1] 1. Spanish Song 2. Ancestral Voices - Old [Disc 2] 1. Ornedaruth 2. The Beginning 3. Waltz 4. Building the Mid 5. Ol' Time Southside Street Dance 6. Zero 7. Funky Aeco 8. Odwalla - The Theme Recorded at Kan'i-Hoken Hall, Tokyo, on April 22, 1984. Art Ensemble of Chicago: Lester Bowie (tp, flh, per), Roscoe Mitchell, Josef Jarman (saxes, fls, cls, per), Malachi Favors (b, per), Don Moye (ds, per). 【リリース情報】 1985 LP/CD  Live in Japan (Jp-DIW) 1988 2LP/2CD Complete Live in Japan (Jp-DIW)        ※[Disc 1] 1, 2 [Disc 2] 2, 4, 7を追加収録 2010 CD   Live in Japan (Jp-Think!) ※このコンテンツはjazz streetからの継続になります。
入園・入学がきっかけでしゃべれなくなる!? 場面緘黙(ばめんかんもく)経験者が語る「真実」
入園・入学がきっかけでしゃべれなくなる!? 場面緘黙(ばめんかんもく)経験者が語る「真実」  家では普通に話せるのに、保育園や学校に行くと全くしゃべれない......200人に1人の割合で存在する「場面緘黙(ばめんかんもく)」という症状をご存知でしょうか? 場面緘黙とは、家では普通に話せるのに、保育園や学校など特定の"場面"では、話せない状態が、1カ月以上の長期にわたって続く症状で、米国精神医学会の診断基準では「不安症」に分類されています。また、自閉症スペクトラムなどの発達障害、あるいは吃音(きつおん)症など、言語発達の問題が絡んでいる場合もあるそうです。 発症のきっかけは人によってさまざまですが、保育園・学校への入園・入学で、大きく環境が変化したことを要因に挙げる人もいます。場面緘黙の子どもは、新しい環境に慣れるのに時間がかかり、不安や緊張のために、話したくても話せない状態に陥っていますが、クラスメイトや先生など周囲の人からは「自分の意思で話さない」と誤解されることも。しかし、「『あ』って言ってみて!」「どうして話さないの?」など、しゃべることを強要する言葉は、その子を追い詰めることにもなりかねません。 本書『私はかんもくガール: しゃべりたいのにしゃべれない 場面緘黙症のなんかおかしな日常』の著者、らせんゆむさんも、そんな場面緘黙を経験した1人。家ではうるさいぐらいしゃべるのに、幼稚園や学校に行くと「しゃべっているのを見たことがない、とーっても大人しい子」でした。幼稚園入園から「話をしないキャラ」のパターンが固定されてしまい、そこから抜け出すのが難しくなり、話せない状況が習慣化してしまったといいます。 その後、環境の変化と、何よりも自身の努力により、少しずつ話せるようになり、普通の人と何ら変わらないコミュニケーションを取れるまで改善します。しかし、社会人になって就職してから、社会にとけこめないことで孤立感を深めます。 らせんゆむさんは、不眠をはじめ鬱病の症状が出始めたことをきっかけに、子ども時代を振り返り「もしかしたら、ほかにもおなじような人がいるのかも?」と、話せないことをインターネットで検索。そこでヒットした言葉こそ、「場面緘黙(ばめんかんもく)症」だったのです。これまで苦しんできたことは、自分の性格のせいではなく、れっきとした名前がある「症状」だったことを知り、もっと早く知っていれば!と愕然となったそうです。 そして、自身の経験談が、同じ症状に悩む人の役に立てば......と思いついたのが、本書の出版でした。読みやすいコミックエッセイで、場面緘黙の体験はもちろんですが、成人後に話せるようになってから直面した「後遺症」の実体験まで綴られた本書は、場面緘黙経験者に限らず、多くの人の共感を呼ぶ1冊になっています。【関連リンク】かんもくネットhttp://kanmoku.org/
富山県が北陸新幹線開業でPR動画を公開、15市町村・県民3000名の参加で
富山県が北陸新幹線開業でPR動画を公開、15市町村・県民3000名の参加で 富山県北陸新幹線開業PRホームページ  富山県は、2015年3月14日の北陸新幹線開業を記念したPR動画を公開した。タイトルは『待ってたよ 北陸新幹線 富山県Ver.』で、県内全15市町村・72箇所にて県民3000名が参加して撮影。世界遺産の五箇山合掌造り集落や降雪の景色も交えて、地元にとっての喜びや、県外からの来訪者を歓迎する気持ちを込めた。  制作監督は地元富山の映像制作企業タオカンドリームの市川徹氏。映像は富山駅で開業当日に行われる記念イベント等でも放映される予定だ。  映像は上記ショートバージョンのほか、標準バージョン(約8分)、ロングバージョン(約15分)を用意した。関連情報は以下PRホームページから参照可能となっている。 富山県北陸新幹線開業PRホームページ
第34回 振付師・竹中夏海さんインタビュー パート4<「いろんなひとがアイドル・ファンになってくれたら、アイドルの世界全体ももっともっと盛りあがると思うんです」>
第34回 振付師・竹中夏海さんインタビュー パート4<「いろんなひとがアイドル・ファンになってくれたら、アイドルの世界全体ももっともっと盛りあがると思うんです」> 竹中夏海さん 竹中さんの最新刊『アイドル=ヒロイン~歌って踊る戦う女の子がいる限り、世界は美しい~』 竹中さんの前作『IDOL DANCE!!!~歌って踊るカワイイ女の子がいる限り、世界は楽しい~』 アップアップガールズ(仮)「富士山 山頂頂上決戦(仮)」 登山、富士山頂での熱唱、下山を収めた感動のドキュメンタリーDVD アップアップガールズ(仮)「サードアルバム(仮) 初回限定盤」 ※3月17日発売。初回限定盤は伝説のノンストップ・ライヴ「ハイスパートキングダム」最終日、名古屋公演の模様を約2時間収めたDVDつき  振付師、竹中夏海さんへのインタビューも大団円を迎えた。名ダンス誕生のエピソード、教え子アイドルたちへの思い、アイドル・ライヴの楽しみ方、そして1月20日に発売されたばかりの著書『アイドル=ヒロイン~歌って踊る戦う女の子がいる限り、世界は美しい~』に込めたメッセージ等、アイドルを全身全霊で愛する竹中さんのエモーションを受け止めていただきたい。 ――竹中さんの振り付けは、とても歌詞と密着している印象を受けます。振りをつけるにあたって、歌詞の解釈についてメンバーと一緒に話し合ったりするんでしょうか? 竹中 グループによって違いますね。PASSPO☆では割とメンバーと話しながら、「この歌詞はどういう意味だと思う?」みたいな感じで盛り上がったりするんですけど、アップアップガールズ(仮)の場合は筋書きを与えられたものをまんまできる子たちなので、私が考えてきたものを「こういう風にしようと思うんだけど」って提案して踊ってもらう感じですね。 ――アプガの《Beautiful Days!》の振りには、ものすごくエモーショナルなストーリーがあると聞いたことがあります。 竹中 もともとの歌詞の主人公はひとりなんです。主人公の目線で言うと、「友達が夏の終わりに失恋をした。その子を元気づけるためにみんなで集まろうよ」って誘い出す曲。でもアプガは7人組なので、どうしたら7人で自然になるかなって考えて。「いろいろ関係性を考えよう」と思って、とりあえず1番と2番で失恋した子を変えた。1番であやのちゃん(佐藤綾乃)、2番でせっきー(関根梓)が失恋したという設定にした。ただ、失恋した相手は同じ人なんです。同じ男の子にふたりとも失恋している。  あやのちゃんがその人のことを好きで失恋したってことは皆わかってて、「どこかへ行こうよ」って誘い出す。けど2番で実は、もうひとり失恋した子がいたことがわかる。それがせっきー。でもせっきーはあやのちゃんの手前、その人のことを好きなことをずっとひた隠しにしているんです。ただその彼に、結局彼女がいたことがわかってしまう。だからあやのちゃんが失恋したと同時に、せっきーも失恋したということです。だけどせっきーは、あやのちゃんに(同じ男の子を好きだったということを)気を使って知らせていないので、隠しつづけるしかない。だけど元気がないのは隠しようがない。で、そのことにこなっちゃん(古川小夏)だけが気付いているっていう(笑)。でも、その男の子が誰とつきあっているのかということは誰もわかっていない。もりさきちゃん(森咲樹)もそのひとりなんですけど、もりさきちゃんが実はその男の子の彼女という裏設定なんです。でも、もりさきちゃんが別に悪女というわけではないんです。まさか自分の彼をみんなが好きだったとは気づかないまま、失恋した友達を励ましてるんです。 ――《ワイドルセブン》の動きも、見るごとに研ぎ澄まされています。 竹中 最初の頃はメンバーも「難しい」って言ってたんですけど、だんだんゲームっぽくなってきましたね。 ――コントローラーを動かすのは森さんと、最初から決めていた? 竹中 そうですね。「ここはさきちゃんのイメージだな」と思いました。アプガって、パワー型で力強く押し切るイメージがあるんですけど、その中でちょっと一歩引いた目線で見てるのがさきちゃん。みんな超人みたいな中で、我々寄りというかちょっと人間界寄りなんですよ(笑)。《ワイドルセブン》では、ほかの子はテレビゲームのキャラみたいな感じなんで。だけどそれをプレイしているさきちゃんは人間。そういうイメージですね。中立の役割をやってほしい場合は、いつもさきちゃんにしてます。《アッパーカット!》では審判をやってもらったりとか。 ――《Next Stage》で、森さんの両脚の間を新井愛瞳さんがくぐりぬける振り付けも、前代未聞だったと思います。 竹中 さきちゃん(森)が真ん中に立つというイメージはあったんですけど、最後までまぁなちゃん(新井)の位置が決まらなくて、どうしようかと思っていたんです。さきちゃんの下からちょこっとのぞくのは、まぁなちゃんぽい行為だなと思って。 ――テレ朝動画オリジナル番組『上々少女's』で竹中さんは、アプガの中野サンプラザ公演(2014年6月)の名場面として、新井さんの筋トレについての長時間MCを挙げていました。3回しかできなかった腹筋が120回できるようになったという…… 竹中 まぁなちゃんは発展途上だし、無垢ですよね。はじめの頃は後半になると体力がなくて、歌もダンスもガタガタだった。六本木(2012年12月のアップアップガールズ(仮) 2nd LIVE 六本木決戦(仮))ぐらいまでは死にそうになりながらやってましたね。でも、今、すごいですよ。「まぁな成長したな」ってことがアプガの成長物語にもつながっているかなと思います。 ――最近、すごく「発見」されているように思います。群馬県の観光特使に選ばれたり、グラビア雑誌をソロで飾ったり…… 竹中 どんどんかわいく、きれいになってて、アイドルファン以外でも「青い子がいい」というひとがすごく増えてます。 ――竹中さんとは「なでksジャパン」の仲間であるモデルの日笠麗奈さんは、2014年のTOKYO IDOL FESTIVALで新井さんを「妹キャラ」と言っていました。それを受けて新井さんは「私は長女だし、妹キャラではない」と返していましたが。 竹中 キャラじゃなくて、本当の妹ですよ。すごい甘え下手で、余計なタイミングで余計なことを言って怒られるところも含めて。アプガの7人は子供の頃からの付き合いだから、幼なじみみたいな感覚だと思うんですけど、本当の姉妹げんかみたいな感じになってるときがありますね。まぁなちゃんがしつこいんですよ、怒られてもしょうがないんですよ、よくわかんないタイミングでべターってして、あやのちゃんに払われていたこともあったんですけど、最近は払われなくなりましたね(笑)。 ――新井さんとは逆に、最初から体力があったのは? 竹中 あかりちゃん(佐保明梨)! 体力の使い方がじょうずなのはせっきー(関根梓)。みーこちゃん(仙石みなみ)も意外とあります。こなっちゃん(古川小夏)はまぁなちゃんの次ぐらいに体力がなかったと思います。自分でも言ってますけど、彼女、すごく線が細いんです。関節がちっちゃかったりとか肩や腰の幅が狭かったり、背の割に足も小さいし、筋肉がつきにくい体質ではあったんですけど、最近はすごくパワーがつきました。あかりちゃんは、アプガの中ではいちばん超人に近い。 ――空手経験者というのも理由なのでしょうか? 竹中 それはわからないですね。空手をやっているひとが皆、あの体力というわけでもないでしょうし……。リズム感もいいですね。《チョッパー☆チョッパー》のエンディング、“チョップ”って言ってから“ピシッ”って音が入るじゃないですか、あそこはすごいリズムがとりにくいんですけど、絶対にずれないんですよ。「よくできるね」ってみんな言ってて。“チョップ”と“ピシッ”の間が空いたらだめじゃないですか。“チョップ” “ピシッ”ってすぐ来なきゃいけない。それが毎回できる。 ――あらかじめ音響トラックに入っている“ピシッ”に対して、その都度ナマで見事に合わせていますね。エンディングの音が止んで、ステージ中央に移動してきた佐保さんが“チョップ”と言った後に、音響スタッフがボタンを押して“ピシッ”という音を出しているわけではない。すごいリズム感です。 竹中 あの子は天才肌だけど大変な努力家でもあって、努力をするのが当たり前だと思ってるところがありますね。ちょっと無茶な振りが入ったときもあかりちゃんは「できない」とは言わない。 ――アプガ、いい関係性だと思います。インフルエンザで休養したメンバーがいるときも、ほかのメンバーが、寝込んでいるその子に届けというぐらいの勢いで猛烈に歌って踊るんです。 竹中 チームワークは、お客さんの前に立つ時間が長ければ長いほど、ごまかしがきかなくなります。長時間のワンマンに接すると、そのグループの関係性がはっきりわかる。アプガもPASSPO☆も、とてもいい状態を保っていると思います。 ――最近はアイドル・ライヴにも女性のオーディエンスが増えてきました。関係性のいい現場に、いろんなひとが集まるといいなあと感じます。 竹中 本(『アイドル=ヒロイン~歌って踊る戦う女の子がいる限り、世界は美しい~』)では、女性が女性アイドルに惹かれる理由について、私の目線で語らせてもらいました。私は振付師ですけど、女の子のアイドルが好きということが原点なんです。そこに触れながら、「アイドル・ファンとしての立場」「アイドルを育てる側の立場」という両方の視点で書きました。 ――著書の中には、先ほど触れた「なでksジャパン」一同でアイドル・ライヴにいく場面もあります。 竹中 私たち(なでksジャパン)の中でもアイドル好きの度合いは違っていて、「ガッツリ好きな子」もいれば、「もともとロックが好きで、最近アイドルがロックバンドと対バンしたりとかロックバンドに曲提供をしてもらったりすることによってアイドルに興味が出始めた」タイプの子もいるんです。その辺のところも含めて、「女友達どうしでアイドルを見に行くのも楽しいよ」ってことを本にまとめました。女性のアイドル・ファンに「友達を巻き込むことって、今、すごくしやすいんだよ。セーラームーンが好きだったりとかロックが好きだったりという入り口からでも、女の子アイドルの現場を楽しむことはできるんだよ」ということを伝えたい。軽い気持ちからでもいいのでいろんなひとがアイドル・ファンになってくれたら、アイドルの世界全体ももっともっと盛りあがると思うんです。[次回4/6(月)更新予定] ・公式ブログ 「チロリアンぶろぐ」http://ameblo.jp/takenakanaketa/ ・公式Twitter @723takenaka
第49回 『ツインズⅠ』『ツインズⅡ』ジャコ・パストリアス・ビッグ・バンド
第49回 『ツインズⅠ』『ツインズⅡ』ジャコ・パストリアス・ビッグ・バンド [Twins I] [Twins II]  1982年2月頃、ジャコ・パストリアスは約6年在籍した「ウェザー・リポート」を円満退団する。この年はグループの活動は休止、個人の活動にあてることになっていた。ところがマネジメントが春のツアーを決める。前年に公演をキャンセルしたことで数件の訴訟を抱えていたザヴィヌルとショーターは新たな火種を恐れて応諾するほかなかった。個人活動中の残る3人が呑めるはずもない。12月に「ワード・オブ・マウス・ビッグ・バンド」を旗揚げ、ツアーをスタートさせていたジャコは退団を選び、「ステップス」のツアーで来日中だったアースキンが続いた。ボビー・トーマス(パーカッション)だけは人づてに解雇を知ったという。こうして、最後の「ウェザー・リポート」が編成される。  退団前の様子は拙稿(http://com-post.jp/index.php?catid=7&subcatid=58)をご覧いただきたいが、ジャコの退団は潮時だったと言うべきだ。1980年夏に第2作『ワード・オブ・マウス』(Warner Bros.)にとりかかってからは個人プロジェクトに注力し、尻に帆を掛けた状態だったから渡りに船だったと見ていい。  晴れて自由の身になったジャコ率いるビッグ・バンドは全米ツアーの余勢を駆って来日、8月31日から9月5日まで仙台、東京、福岡、広島、大阪、横浜の6都市を巡演した。推薦盤は東京、大阪、横浜で催された「オーレックス・ジャズ・フェスティヴァル」での演奏を収める。自ら選曲・編集にあたり、この年の暮れに『TWINS I』『TWINS II』として日本でのみ発売された。2枚からなるアルバムのタイトルは同じ9月にジャコが授かった男子の双子に由来し、二人に捧げられている。米欧では1983年暮れに2枚から抜粋・編集された『Invitation』が発売された。あとは【リリース情報】をご覧いただきたい。  ジャコがこのビッグ・バンドで狙ったのは伝統と革新の融合だろう。それはユニークな編成とプログラムからも窺える。編成で注目すべきは頭数よりも中身だ。低音系のバス・トロンボーンにチューバにフレンチ・ホルン、打楽器系のパーカッションにスティール・ドラム! それにハーモニカ!が追加され、ジャコのベースギターを除いてキーボードやギターなど、単独でハーモニーを担える楽器は一掃されている。標準編成(4-5tp, 3-4tb, 5reed, 3-4rhythm)と重なるものを伝統、追加・一掃したものを革新と見ていいだろう。  プログラムの半数をジャコのオリジナルが占める。《コンティニューム》《コンコレ・イ・トロンパ》は『ジャコ・パストリアスの肖像』(Epic)から、《リバティ・シティ》《スリー・ヴューズ・オブ・ア・シークレット》は『ワード・オブ・マウス』から、《ソウル・イントロ》《レーザ》《ツインズ》はこれが初出だ。  ジャズメンズ・オリジナルがそれに次ぎ、エリントンの《ソフィスティケイテッド・レディ》、コルトレーンの《ジャイアント・ステップス》、ショーターの《エレガント・ピープル》、ギル・エヴァンスの《イレヴン》が選ばれている。これらにスタンダードの《インヴィテイション》、ピー・ウィー・エリス(JBズのテナー)の《ザ・チキン》、トラディショナルの《アメリカ》、バスター・ブラウン(ブルース歌手)の《パックマン・ブルース》と、ユニークな一群が加えられた。ヴァラエティに富むを超え、ジャコの狙いと美意識が窺えるプログラムだ。  コンサートと同様に、『ツインズⅠ』は《インヴィテイション》で幕開けする。哀感はそのままに疾走感に満ち、サスペンス・ドラマの追跡シーンにでも使えそうだ。ジャコのグルーヴィーなベースラインにゾクゾクする《ソウル・イントロ~ザ・チキン》、優雅にたゆたいナチュラルにスウィングする名曲《コンティニューム》、ジャズとR&B、伝統(ホーンズ)と斬新(ハーモニカ&スティール・ドラム)が見事に融け合う《リバティ・シティ》、胸キュンだけに終わらせず劇的な起伏に富む名曲・名演《スリー・ヴューズ・オブ・ア・シークレット》と続けて、ジャコとトゥーツ・シールマンス(ハーモニカ)の心の通じ合ったデュオをフィーチャーした《ソフィスティケイテッド・レディ》で閉じる。  『ツインズⅡ』はアメリカの第2の国歌《アメリカ、ザ・ビューティフル》に基づいたジャコのソロ・ピース《アメリカ》で幕開けする。イントネーションの美しさが際立つ。ジャコ、フレンチ・ホルン、パーカッションからなる異な編成で広遠な音絵巻を描きだす《コンコレ・イ・トロンパ》、疾風怒涛から史上の名演に違和感なくつなげる圧巻の名演《レーザ~ジャイアント・ステップス~レーザ》、演奏するジャコの歓びが伝わる愛奏曲《エレガント・ピープル》、入念にして壮大なオーケストレーションに感嘆しっぱなしの《ツインズ》、一転してジャコのブルース魂が弾けるご機嫌このうえない《パックマン・ブルース》と続けて、ビッグ・バンド革新の先達に敬意を表した《イレヴン》で閉じる。  当時は「斬新だ!」「こんなものビッグ・バンドじゃねえ!」と褒貶半ばしたが、今の耳には決して際物ではないばかりか、真にクリエイティヴな証しで鮮度も失っていない。滞日中、ジャコは数々の奇行を残したが、生涯の絶頂に照らせば武勇伝とすべきだろう。本当の奇行とは才能をスリ減らし破滅型ジャズマンを地で行ったこのあとの振る舞いだ。推薦盤にはジャコが才能のありったけと心血を注ぎこんで追い求めた夢が結実している。ここではオリジナル盤に準拠した最新盤を紹介したが、それ以前の2枚組も入手可能だ。[次回4月6日(月)更新予定] 【収録曲】 『Twins I』Jaco Pastorius Big Band (Jp-Warner) 『Twins II』Jaco Pastorius Big Band (Jp-Warner) 『Twins I』1. Invitation* 2. Soul Intro. - The Chicken 3. Continuum 4. Liberty City 5. Three Views of a Secret 6. Sophisticated Lady 『Twins II』1. Amerika 2. Okonkole' Y Trompa 3. Reza - Giant Steps - Reza (reprise) 4. Elegant People 5. Twins 6. Pac-Man Blues (Fannie Mae) 7. Eleven Recorded at Budokan, Tokyo, on September 1, 1982. Recorded at Festival Hall, Osaka, on September 4, 1982. Recorded at Yokohama Stadium, Yokohama, on September 5, 1982. Word of Mouth Big Band: Jaco Pastorius (el-b, arr), Don Alias (per), Randy Brecker (tp), Peter Erskine (ds, tympani, gong), Bobby Mintzer (ts, ss, co-arr*), Othello Molineaux (steel drum), Special Guest: Toots Thielemans (hca). Elmer Brown, Forrest Buchtel, Jon Faddis, Ron Tooley (tp), Wayne Andre (tb), David Bargeron (tb, tu), Peter Graves (btb, co-cond), Bill Reichenbach (btb), Mario Cruz (ts, ss, cl, afl), Randy Emerick (bs, cl, afl), Alex Foster (ts, as, ss, cl, picc), Paul McCandliss (ts, oboe, ehr), Peter Gordon, Brad Warnaar (frh). 【リリース情報】 1982 LP Twins I / Jaco Pastorius Big Band (Jp-Warner)    LP Twins II / Jaco Pastorius Big Band (Jp-Warner) 1983 LP/CD Invitation / Jaco Pastorius (Warner)    ※Twins I-5, Twins II-2, 4, 5を除く9曲を収録、Twinsより収録時間は短い 1999 2CD Twins I & II - Live in Japan 1982 / Jaco Pastorius Big Band (Jp-Warner) 2013 CD Twins I / Jaco Pastorius Big Band (Jp-Warner)    CD Twins II / Jaco Pastorius Big Band (Jp-Warner) ※このコンテンツはjazz streetからの継続になります。
アサヒカメラ3月号には、桜をきれいに撮る秘訣が盛りだくさん。今年いちばんの桜、河津桜はじめ、伊豆へ桜を撮りに出かけよう!
アサヒカメラ3月号には、桜をきれいに撮る秘訣が盛りだくさん。今年いちばんの桜、河津桜はじめ、伊豆へ桜を撮りに出かけよう! 河津町の河津桜の様子 ライトアップされ河津桜。約150軒の露店が出店する 稲取につたわる華やかな「つるし飾り」 宝福寺には、ゆかり深い坂本竜馬の像がある 「ペリーロード」には貴重な「なまこ壁」が今も残る イタリアンレストラン「アンティカ トラットリア ダル ピラータ」【上】、 観音温泉の、星空の満天露天風呂(女湯)【下】  伊豆地区最大の観光イベントのひとつである河津町の「第25回河津桜まつり」と、伊豆半島の南端にある南伊豆町の「第17回みなみの桜と菜の花まつり」が3月10日までともに開催中だ。  河津桜まつりでは、河津川沿いの約8千本の桜が、3月上旬に見ごろに。約150軒の露店が出店するほか、静岡県東部・伊豆一円から集まった13店舗がご当地グルメ25品を販売するイベント、「第5回B級ご当地グルメ大集合!」もあわせて楽しめる。  伊豆急行では、河津桜まつりが開催されている3月10日まで、伊東市の伊豆高原駅に車を止めて電車で会場に向かう「パーク&トレインきっぷ」を発売、伊豆高原駅から会場最寄りの河津駅までの往復乗車券と、伊豆高原駅駐車場の一日無料券のセットを通常金額より820円安い1320円で販売。車を駐車場に止めてから、駅構内の窓口で購入する。 河津町周辺には撮影スポットがあれこれ。東伊豆町の稲取温泉「雛のつるし飾りまつり」では、艶やかな雛人形がそろい踏み  「雛のつるし飾りまつり」は、メイン会場の「文化公園 雛の館」と「むかい庵」ほかにて3月31日まで開催。文化公園 雛の館の入口正面にあるジャンボつるし飾りは、約100対(=約11,000個)ものつるし飾りが展示され圧巻。むかい庵では約70対=約7,700個)が展示と、こちらも豪華だ。  稲取温泉に伝わる雛祭りは、娘の成長を願う母や祖母が手作りした、江戸時代後期さかのぼる「つるし飾り」の風習から始まった。雛人形を購入できる家庭は裕福な家庭のみだった当時、雛人形の代わりに、手作りの雛のつるし飾りで初節句を祝おうという、切ない親心から生まれたのだという。  今回、文化公園 雛の館には「日本三大つるし飾り」うちののふたつ、福岡県柳川の「さげもん」、山形県酒田の「傘福」も展示され華やかさを競っている。 (問い合わせは、稲取温泉旅館協同組合 0557-95-2901へ) 「幕末ゆかりの地」下田を散歩。坂本竜馬が脱藩を許された「宝福寺」「唐人お吉」の墓も  宝福寺には正面に大きな木彫りの坂本竜馬像が立っている。いわれは、土佐藩を脱藩した竜馬が勝海舟と江戸へ向かう途中、嵐のため下田に寄港。ちょうど土佐藩主山内容堂が江戸から船で上洛の途、嵐にみまわれ、やはり下田の宝福寺に投宿していた。容堂に酒宴に招かれた勝海舟は、竜馬の脱藩の罪をとくよう懇願、飲めない酒をすすめられるままに飲み、その心意気に打たれた容堂が自らの白扇に「瓢箪」を描き、その中に「歳酔三百六十回 鯨海酔侯」と記し、竜馬の脱藩を許す。宝福寺にはそのエピソードを生んだ部屋が残っている。  また、下田奉行所支配頭取・伊佐新次郎の命で、17歳で初代アメリカ総領事ハリスの侍妾(じしょう)となったお吉(斉藤きち)の墓がここにある。「唐人」とののしられ不遇な生涯を送った彼女は乱に満ちた短い一生をこの地で終えた。毎年3月27日の命日には「お吉祭り」として宝福寺で法要を行っている。 情緒たっぷりの「ペリーロード」は、川沿いになまこ壁の建物が並ぶ小道  「ペリーロード」は黒船でやってきたペリー提督が日米和親条約の付属条約である下田条約締結のために、「了仙寺」まで行進したという道。了仙寺から下田公園へ続く平滑川をはさむ石畳の小道沿いには、なまこ壁や伊豆石造りの風情ある家並みが続いている。なまこ壁は、古くから松崎一帯と下田周辺にかけて多く見られたが、昭和30年代あたりを境に大幅に減り、今ではわずかを残すのみに。貴重な建造物「伊豆石」を使った建物と柳並木が相まって、風情ある通りは絵になる撮影ポイントになっている(伊豆急下田駅より徒歩10分)。 *その他、注目の立ち寄りスポット ●Antica Trattoria Dal Pirata (アンティカ トラットリア ダル ピラータ) イタリアンレストランの「アンティカ トラットリア ダル ピラータ」は、テラスから海を望み、背景に山をいただく絶好のロケーションに、なまこ壁の蔵を改造してつくられた趣深いトラットリア。地元産の滋味豊かな食材を洗練されたイタリアンに仕立てる。 静岡県賀茂郡河津町谷津484 TEL:0558-34-1788 http://www.dal-pirata.com/index.html ●観音温泉 伊豆奥下田の温泉旅館施設「観音温泉」は湯量豊富で、アトピーなどにも効果的という美肌温泉。強アルカリpH9.5で飲用にも適している。客室は、眺望のよい部屋とかけ流しの客室風呂付の客室棟「ピグマリオン」をはじめ、趣の異なる4つの館があり、温泉水充填工場、農園ハウスなども併設。すべての調理に“観音温泉水”を使い、伊豆奥下田の山海の旬味が楽しめる。 静岡県下田市横川1092-1  フリーダイヤル:0120-01-9994 TEL:0558-28-1234 FAX:0558-28-1235 http://www.kannon-onsen.com/spa
第33回 振付師・竹中夏海さんインタビュー パート3 <《ENJOY!! ENJO(Y)!!》は、「四羽の白鳥」のイメージなんです>
第33回 振付師・竹中夏海さんインタビュー パート3 <《ENJOY!! ENJO(Y)!!》は、「四羽の白鳥」のイメージなんです> 竹中夏海さん アップアップガールズ(仮)「富士山 山頂頂上決戦(仮)」 登山、富士山頂での熱唱、下山を収めた感動のドキュメンタリーDVD アップアップガールズ(仮)「サードアルバム(仮) 初回限定盤」 ※3月17日発売。初回限定盤は伝説のノンストップ・ライヴ「ハイスパートキングダム」最終日、名古屋公演の模様を約2時間収めたDVDつき 竹中さんの最新刊『アイドル=ヒロイン~歌って踊る戦う女の子がいる限り、世界は美しい~』 竹中さんの前作『IDOL DANCE!!!~歌って踊るカワイイ女の子がいる限り、世界は楽しい~』  今月も引き続き、振付師の竹中夏海さんへのインタビューをお届けしたい。これまでPASSPO☆、アップアップガールズ(仮)、夢みるアドレセンス、南波志帆、寺嶋由芙、虹のコンキスタドール、predia、セクシー☆オールシスターズ、6代目ミスマリンちゃん、ミスiD、小桃音まい、HKT48、大森靖子、藤井隆・椿鬼奴・レイザーラモンRGのユニット“Like a Record round! round! round!”等の振り付けを担当。いきものがかりやチームしゃちほこ等のMV、さらにCM、テレビ、ステージの演出にも携わっている。多方面で才能を発揮する竹中さんが語る、アイドルの魅力とは。 ――アップアップガールズ(仮)との出会いは? 竹中  2011年ですね。アプガにまだオリジナル曲がなくて、ハロプロ(ハロー!プロジェクト)の曲を歌ってた頃です。私が初めて関わったのは汐留AXで行なわれた「アップアップガールズ(仮)黒船LIVE」というステージです。(アプガが所属している)事務所が、外部のひとを起用しようというときに、まだPASSPO☆(当時の表記は、ぱすぽ☆)の振付師というイメージが強かった私に声をかけてくださった。私はハロヲタ(=ハロー!プロジェクトの大ファン)だから嬉しかったですね。“ハロー好きの人が考えたハロプロ・カヴァー・セレクション”みたいな感じでやらせてもらったのが最初です。でも私が考えたのはセットリストと衣装ぐらいで、振り起こしはメンバーが全部自分たちでしました。アプガはハローのどの曲もできるので、私の好きなハローの曲をワーッと選んだ記憶があります。「夢フィフ」(スマイレージの《夢見る15歳》)、DEF.DIVAの《好きすぎてバカみたい》、モーニング娘。の《リゾナント ブルー》とか。冬にはクリスマス・ソング縛りをやったり、そのあとは春ソング縛りもやりましたね。 ――初対面当時のアプガの印象は? 竹中 PASSPO☆と全然違う、何もかも違う(笑)。良くも悪くも本当にすごい対極にいると思いました。アプガは基礎がすごいしっかりしている。でも、バックダンサーぐせがすごくついていたんです。PASSPO☆ってどんなにへたくそでも最初から自分たちのライヴをやってたけど、それに対してアプガはずっと(主役のシンガーの)バックだった子たちだから。最初の頃はワンマンライヴを見てても、「これ、誰のステージなんだっけ?」ってちょっと思っちゃうようなところがありましたね。今は本当に自分たちのステージをしているけど、最初の頃は「前へ前へ、私たちが」という強さがなかった。おりこうさんというか。あと、これは今でもですけど、フリーが苦手。 ――そうですか! 竹中 PASSPO☆は逆にはフリーしかできない(笑)。台本通りとか本当にへたくそで、「こういうふうにやってごらん」と言うと急にぎこちなくなるんですけど、「自由にやりな」って言ったらウワーッって(勢いが出る)。アプガに「自由にやりな」と言うと固まっちゃって、「なんでもいいから(振りを)つけてください」ってなるんですけど、ただ「やれ」といったことは絶対にちゃんとやる。面白いんです、違いが。 ――2012年春にアプガは初のオリジナル曲《Going my ↑》を出します。竹中さんは最初の著書『IDOL DANCE!!!: 歌って踊るカワイイ女の子がいる限り、世界は楽しい』で、Berryz工房の《付き合ってるのに片思い》をテレビで見て感激したことがアイドルの振り付けを志すことにつながった、と書いていました。初めてアプガのオリジナル曲に振りを付けるときに、同じ人数であるベリを意識しましたか? 竹中 ベリは特殊部隊じゃないですか。私は「アベンジャーズ」と言っているんですけど、意識してもしょうがない。それよりは、「背の高い子ふたり、ちっちゃい子が3人、中くらいがふたり」というバランスを生かして、奇数として並びをきれいにしたいなと考えましたね。 ――以来、現在まで多くのアプガ楽曲に振りをつけていらっしゃいますが、それに関して音楽プロデューサーのmichitomoさんや、マネージャーさんから指示を受けることはありますか? 竹中  マネージャーさんとは打ち合わせもするし、振り付けをつくる前にイメージをメモでいただくこともありますね。michitomoさんから前もって指定されたことはないんですけど、あとから「あそこはイメージどおりでした」「あそこは意外でした」とか感想をもらうことはあります。 ――振りをつける段階で、その音源は完パケなのでしょうか? 竹中  本人じゃなくてデモの歌声だったり、アレンジが完成版じゃなかったりということはしょっちゅうあります。振りを作り終わってからアレンジがガラッと変わることは結構あります。テンポが変わることはさすがにないかな。 ――昨年末に行なわれた「ハイスパートキングダム」3公演で、アプガは約2時間、会場内の4つのステージを走り回りながら、ほぼ歌い踊りっぱなしというすさまじい世界を見せてくれました。 竹中 「もう、どこに向かっているんだ」っていう……。富士山(の山頂ライヴ)や自衛隊(の教練体験)もあって……。 ――無我夢中で何かに向かい、何かと戦っていることが、何か熱いものとして心をゆさぶるんです。 竹中 だんだん(仮)が(狩)に見えてくる。狩猟民族みたいな。そっちに向かっていくのかなって、なんとなく思ってます。 ――レッスンをつけているとき、竹中さんもあの激しい動きをメンバー分、実際になさっているのですか? 2時間踊りっぱなしで踊って、「私を見て覚えて!」という感じですか? 竹中 全然違います。振付師ってそんなに世間から思われているほど動かないので(笑)。自分が動いちゃうと見えないじゃないですか、メンバーが。たとえばレコーディング・スタジオでアイドルが歌っているところに、プロデューサーが立ち会って指示を出しますよね。そのダンス版です。私が指示して、メンバーが踊る感じです。 ――「とんでもなく運動神経の良いひとが振り付けたのだろう」と、ぼくはアプガのダンスを見るごとに思ってきたのですが。 竹中 体育はめっちゃ苦手です。体育大出身なんですけど、球技はぜんぜんできないです。そもそも世の中で勘違いされているんですよ、ダンスと運動神経って実はそんなに直接的に結びつかない。運動神経や反射神経が高いということは、たとえば予期せぬところからボールが飛んできてパスを受けるとか、瞬間瞬間替わっていくことに対応していく能力が高いということだと思うんですけど、ダンスは予期せぬことが起きないものだから。基本的には、音楽に合わせて反復練習で何度も同じ動きをして、もっと見せ方だったりとか、表現力を高めていくということなので。あずちゃん(関根梓)はダンスがすごい上手で表現力もあって、体の隅々まで動かすことができるんですけど、「運動は全然できない」って言ってましたね。よく見ると《アップアップタイフーン》でも下でメンバーを支えていないし、《Next Stage》の馬とびにも参加していないんです。 ――ファンが踊るのも、アプガのライヴの特徴のひとつだと思います。振りコピだけじゃなくて、《バレバレI LOVE YOU》の通称“バレバレサークル”とか。 竹中 いま、もう会場全体がおしくらまんじゅうみたいに一体化してますよね。 ――後ろのほうからもファンがかけよってきて一か所に密集するんですけど、“バレバレサークル”が終わった後、最前に割り込んだりすることなく、みんな元にいた位置に戻るんです。“安全な現場”だなあと思います。 竹中 アプガのファンは本当にお行儀がいい。紳士なんですよ。 ――「ファンが振りコピする」ことを意識して、振りをつけているのでしょうか? 竹中 意識はしていますね。でもその前に「まずメンバーができるかな」というのがありますね。アイドル本人ができない振り付けじゃ意味がないから。その先に、「ファンのひとが真似できるかな、いやできないかな、もうちょっとここをこうしようか」ということは考えています。 ――《ENJOY!! ENJO(Y)!!》では、メンバーが3人と4人に分かれて交差する振りが印象的でした。 竹中 あれは「四羽の白鳥の踊り」(バレエ「白鳥の湖」第2幕から)のイメージです。曲を聴いているうちに、3―4でつながって移動する場面が浮かんできた。でも最初、足元の部分は「さすがに歌いながらできないかな」と思ってもうちょっと簡単な振りにしてたんですよ。でもマネージャーさんに「あそこは四羽の白鳥のまんまやってください」って言われて、「マジですか、じゃそうします」って変えました。けっこう歌のことを考えて楽な振りにすることも多いんですが、マネージャーさんにはよく「もうちょっときつく」みたいな感じで言われます。 ――マネージャーさん、強力ですね…… 竹中 鬼軍曹ですよ……(笑)。《全力!Pump Up!!》も最初どう振りを付けようか悩んでしまって。EDMでも、あのタイプのEDMって実際煽りがメインの曲じゃないですか。イントロの振り付けでは今、トレーニングみたいなことをしているんですが、最初はすごい激しい動きにしてたんですね。ひとりひとりが音に合わせてすごく素早く動くみたいな感じだったんですけど、「トレーナーの先生にここだけ振りをお願いしてみましょうか」ってなって、今の形ができたんです。[次回2/23(月)更新予定] ・公式ブログ 「チロリアンぶろぐ」http://ameblo.jp/takenakanaketa/ ・公式Twitter @723takenaka
俳優・永瀬正敏 甲子園映画で中年体形に
俳優・永瀬正敏 甲子園映画で中年体形に ...代表チームが出場したことがあった。映画「KANO─~1931海の向こうの甲子園~」は、そんな実話をもとに制作され、昨年、台湾で大ヒットを記録した。永瀬正敏さんはこの映画で、台湾チームの監督を務めた日本人・近藤兵太郎を演じている。 「僕が子供の頃、地元である宮崎の都城高校は、甲子園の常...
第32回 振付師・竹中夏海さんインタビュー パート2 <振り付けは、ドラマにおける演出のようなもの。50を100にしていく作業です>
第32回 振付師・竹中夏海さんインタビュー パート2 <振り付けは、ドラマにおける演出のようなもの。50を100にしていく作業です> 竹中夏海さん 竹中さんの最新刊『アイドル=ヒロイン~歌って踊る戦う女の子がいる限り、世界は美しい~』 竹中さんの前作『IDOL DANCE!!!~歌って踊るカワイイ女の子がいる限り、世界は楽しい~』 PASSPO☆ PASSPO☆のアルバム『TRACKS』(ファーストクラス盤) 夢みるアドレセンスのアルバム『第一思春期。』  前回に引き続いて振付師・竹中夏海さんのインタビューをお届けする。20日と21日に行なわれた2冊目の著書「アイドル=ヒロイン~歌って踊る戦う女の子がいる限り、世界は美しい~」(ポット出版)のリリースイベントも大盛況。アイドル愛を熱くみなぎらせたトークの数々をお楽しみいただきたい。 ――竹中さんの振り付けを見ていると、「なんだ、このフォーメーションは!」とびっくりさせられます。たとえばアップアップガールズ(仮)のパフォーマンスを、ぼくは上手でも下手でも2回でも3回でも見たことがありますが、そのつど新しい発見があるんです。 竹中 もともと私はチアダンスをやっていたんです。チアダンスは割とフォーメーションがくるくる変わっていくジャンルなんですね。フォーメーションを考えることは私にとって大前提で、正面から見たときには気付かない演出が上から見たときに気づいてもらえるとか、そういう発見があったらいいなと思いながら振りをつけています。(ファンは)何回も繰り返し同じ曲を見ることになると思うので、1回では気づかないけど何回か見ているうちに気づいてもらえたらいいな、という場面を入れたりもしますね。 ――PASSPO☆は、けっこう小道具も使っています。 竹中 小道具は好きです。用意は大変ですけどね。そこは運営との戦いです(笑)。提案してもらうこともあるんですが、結局やっぱり私が、作る側の気分が乗ってるほうがいいものができますね。でんぱ組.incの《でんでんぱっしょん》の、リボンを使った振り付けがものすごくいいなと思って、振り付けの先生に尋ねたことがあるんですよ。「指定があったんですか、それとも先生が考えたんですか」って。やっぱり先生の提案だった。女子流ちゃん(東京女子流)も小道具使うんですけど、それも、ほぼ振り付けの先生の提案だった。「やっぱりそうだよな」と思って。振りをつける側が乗って考えたもののほうが、お客さんもメンバーもやりやすかったり乗りやすかったりするんだろうなとは思いますね。 ――《でんでんぱっしょん》の振りは新体操風というか… 竹中 振り付けの先生が(新体操を)やってたらしいんですよ。ほんとだったら演技中にはしない、リボンをしまうためにクルクルクルって床で回して、リボンをすくう振りがあるんですけど、それを振り付けの中に入れてて、「これは新体操の経験がないと浮かばない振り付けだな」と思った。みりんちゃん(でんぱ組.incメンバーの古川未鈴)も新体操の経験がありますよね。 ――小道具ではないですけど、その曲や派生ユニットだけの特別な衣装というのもいいですね。PASSPO☆の派生ユニットの“はっちゃけ隊”(森詩織、安斉奈緒美、岩村捺未、藤本有紀美)の《気分はサイコー!サイコー!サイコー!》は、曲とダンスと衣装のマッチ具合が尋常ではないと思います。この歌のリフレインを聴くと、やはり竹中さんが振り付けを担当された爆乳ヤンキーの《ブラを探して》(2010年)を思い出すんですが… 竹中 彼女たち(爆乳ヤンキー)もPASSPO☆と同じ事務所なんですよ。「こういうユニットあるんですけど、振り付けしませんか」といわれて、「やりますやります」と答えて。姉妹ユニットではないんですけど、曲を作ってる人たちもPASSPO☆とは近いんです。こういう悪乗り系も好きですね。 ――2013年からは、夢みるアドレセンスの振り付けも担当されています。 竹中 夢アドはかりんちゃん(荻野可鈴)が、割とちゃんとしたリーダーなんですよね、リーダーらしいリーダーというか。 ――PASSPO☆のキャプテン(リーダー)である根岸愛さんは? 竹中 最初は全然だめだったんですよ。静かな子で、もともと仕切るようなタイプじゃなかったので。でも彼女はすごく努力家で、ステージ上で言わなきゃいけないことだったりとか、締めるところで締めたりという経験をちょっとずつしていくことによってメンバーからの信頼も大きくなって、それでだんだん成長した感じですね。意識がもともと高かったからキャプテンに指名されたということではあるんですけど、始めの頃は、今となっては信じられないほど頼りなかった。ステージ以外のメンバーまわりのことは、なおみさん(安斉奈緒美)がやってくれています。 ――夢アドの荻野さんは前面に出てガンガンまとめていくタイプですか? 竹中 「なんで自主練してこなかったの?」というようなこともちゃんと言うんですね。それができるリーダーはあんまりいないんで、「すごいなあ」と思って。メンバーの仲はすごくいいんですけど、ちゃんとしなきゃいけないところはかりんちゃんが緊張感を持たす。それに彼女は頭の回転がメチャクチャ速い。振り覚えもいちばん早い。夢アドには、かりんちゃんとゆうちゃん(志田友美)という2種類の違うタイプの天才がいるんです。ゆうちゃんはムラがあって、何が飛び出すかわからないみたいな感じ(笑)。  あと、すごくきれいなふたりがいるんですが、れいちゃん(小林玲)もあかりちゃん(山田朱莉)も、いい意味で凡人なんですよ。ものすごい普通の感覚を持っているというか。れいちゃんはメチャクチャ努力する子なですね。でも努力をあんまり努力だと思ってない。努力するのが当たり前だと思っていて、静かに努力している感じです。あかりちゃんはあんなにきれいなのに、「自分なんかが人前に立っていいのか」みたいに思ってるところがある。そういう気弱な面もかわいいんです(笑)。あのルックスで自信満々だったら逆にアイドルヲタはひいちゃうじゃないですか。そして最年少がきょうちゃん(京佳)。すごくいいバランスだと思います。 ――夢アドも曲のパターンがどんどん増えています。年末の東京国際フォーラム公演でも感じたのですが、振付のバリエーションもものすごく豊かになったと思います。竹中さんが携わった他のグル―プのライヴを見ていても思うのですが、「どうしてこんなにたくさんのタイプの異なる楽曲の振り付けを考え出せるのか」と驚くばかりです。 竹中 曲と歌詞が違えば、振り付けも違ってくるんです。私は、「振り付けとは50を100にする作業」だと思っています。曲を作る方たちは0の段階からそれを50にしていく作業。そっちのほうがすごいなと思います。振り付けはドラマや舞台でいうと演出みたいなもの。脚本を書く方があってこその、演出なんです。<第3回に続く>[次回2/16(月)更新予定] ・公式ブログ 「チロリアンぶろぐ」http://ameblo.jp/takenakanaketa/ ・公式Twitter @723takenaka
第48回 『メイド・イン・ジャパン』ライオネル・ハンプトン・アンド・ヒズ・オーケストラ
第48回 『メイド・イン・ジャパン』ライオネル・ハンプトン・アンド・ヒズ・オーケストラ 『メイド・イン・ジャパン』ライオネル・ハンプトン・アンド・ヒズ・オーケストラ  10年ほど前までNHK―FMに「オールデイ・ジャズ・リクエスト」という年一度の特番があった。ファクス、メール、ホームページで寄せられたリクエストを、昼過ぎから深夜におよぶ生放送中にかけるというものだ。たしか1999年から2004年までで、当初は「体育の日」に、のちに「文化の日」や「勤労感謝の日」に放送されたと記憶する。何回目のことだったか覚えていないが、ライオネル・ハンプトンの畢生の名演で知られる1947年の《スターダスト》が最多得票に輝いたことがあり、「なるほど」と思った。というのも、およそジャズとは無縁の先輩たちが《スターダスト》について熱っぽく語る場面に二度は出くわしていたからだ。いまや70代から80代の先輩方にとっては青春の血を滾らせた一曲と言えるのではないだろうか。ハンプトンが自身の役どころで出演した伝記映画『ベニー・グッドマン物語』も一般的知名度の向上に一役買ったと察せられる。  1963年4月に大編成コンボを率いて初来日、67年1月はトリオを、69年4月は中編成コンボを率いてのものだった。1981年9月に「オーレックス・ジャズ・フェスティヴァル」出演でビッグバンドを率いて来日、観衆を熱狂の渦に巻き込んだとされる。おかげで翌年5月に早くも来日が叶う。推薦盤は東京と横浜での記録だ。翌1983年にLPで発表され、91年にCD化された。あとは【リリース情報】をご覧いただきたい。  コンサートと同じくオープナーは国内盤のタイトル曲《エアメイル・スペシャル》だ。《フライング・ホーム》と並ぶ十八番とあって最初と最後の全合奏を除いて御大が独走、終盤には同音を叩き連ねて煽ること煽ること。いやはや、恐るべきリズム感と即興魂だ。 《アドヴェント》はトランペットのジョン・ウォーカー作の哀調を帯びたスインガーだ。自らテーマをリード、均整のとれたソロを披露する。ジョン・コリアンニの活力に溢れるピアノ・ソロ、御大の歌心豊かなソロ、全合奏を経てウォーカーのリードで締めくくる。 《スターダスト~ムーングロウ》はコンサート終盤のハンプトン大会!を飾った十八番メドレーだ。どちらも瑞々しい情感でうっとりさせるが、それだけでは終わらなかった。後者の2コーラス目からは急行→特急と乗り継ぎ、手練れのマシンガン奏法で圧倒する。 《メス・イズ・ヒア》は御大自作の十八番だ。コンサートでは上記のメドレーに続いて演奏されたとあってか推薦盤では4曲目に置かれている。御大の軽快で嬉々としたソロ、やがてブレイクする我がマルタの古めかしいアルト・ソロに頬もゆるむ、楽しい演奏だ。 《インタープリテイションズ》は《アイ・ガット・リズム》《ジョイ・スプリング》に基づく、テナーの俊英リッキー・フォード作のミディアム・ファスト系だ。御大の快調は言わずもがな、フォードが師ローランド・カーク譲りの豪放なブロウで大いに気を吐く。 《マイナー・シーシス》はピアニスト、ジェームズ・ウィリアムス作のファスト系だ。トランペットのヴィンス・カトロ、ジョン・マーシャル、バリトンのグレン・ウィルソン、コリアンニ、御大、テナーの異才ポール・ジェフリーと、好演~快演の連続に心も踊る。 《ジョードゥ》はフレディ・ハバード作のモーダルなファスト系だ。これまたカークの衣鉢を継ぐ鬼才トム・チェイピンの熾烈なアルト、御大の耳を疑うほど清新なヴァイブ、一糸乱れぬサックス・ソリ、バリー・ライズの烈火噴き出すトランペット、ジェフリーのドス黒く渦巻くテナー、迫力の全合奏と、聴き所が満載! 本作のベスト・トラックだ。 《ヴァルヴ・ジョブ》はフランク・コモなる人物作の軽快なミディアム・ファスト系だ。テーマはトロンボーン部隊が合奏でリード、トロンボーンの三者それぞれ、コリアンニ、御大の達者なソロが続き、再びトロンボーン陣のリードで終える。快適なスインガーだ。  前年のライヴ盤は熱狂がデマに思えるほどかったるくて見送ったが、これは文句なし。成功の所以は第一にメンバーが前年より実態に近かったことにある。バンドのまとまりと迫力は前年を軽く凌ぐ。第二に御大の出来だ。自身はスイング派で周りはモダン派だが、違和感はなく清新ですらある。最後に選曲だ。我がジョージ川口との果たし合いを外し、御大の十八番より若手の作品に重きを置いて「お祭り」を免れた。晩年の代表作に推す。[次回2月23日(月)更新予定] 【収録曲】 『Made in Japan』 Lionel Hampton and his Orchestra (Ho-Timeless) 1. Air Mail Special 2. Advent 3. Stardust - Moonglow 4. Mess Is Here 5. Interpretations Opus 5 6. Minor Thesis 7. Jodo 8. Valve Job Tracks 1, 2, 4, 5: Recorded at Kosei Nenkin Hall, Tokyo, on June 1, 1982. Tracks 3, 6-8: Recorded at Kanagawa Kenmin Hall, Yokohama, on June 2, 1982. Lionel Hampton (vib), John Marshall, Barry Ries, John Walker, Vince Cutro (tp), Chris Gulhaugen, John Gordon, Charles Stephens (tb), Yoshi Malta (as), Tom Chapin (as, fl), Ricky Ford, Paul Jeffrey (ts), Glen Wilson (bs), John Colianni (p), Todd Coolman (b), Duffy Jackson (ds), Sam Turner (cga, per). 【リリース情報】 1983 LP Air Mail Special / Lionel Hampton All Stars Live in Japan '82 (Jp-Paddle Wheel)   ※《Mess Is Here》《Valve Job》を除く6曲を収録 1984 LP Made in Japan / Lionel Hampton and his Big Band (Ho-Timeless)   ※全8曲を収録 1984 LP Made in Japan / Lionel Hampton & his Big Band (Glad-Hamp)   ※《Advent》《Interpretations Opus 5》《Minor Thesis》《Jodo》と    渋谷公会堂で録られた《Evidence》《Sans Souci》を収録 1991 CD Air Mail Special / Lionel Hampton All Stars Live in Japan (Jp-Paddle Wheel)   ※全8曲を収録 2000 CD Made in Japan / Lionel Hampton and his Orchestra (Ho-Timeless)   ※推薦盤、曲順変更:8曲目《Mess Is Here》を4曲目とし、以降順次繰り下げ 2001 CD Jazz Legends in Japan / Lionel Hampton & Benny Carter   ※Benny Carter Jazz Allstar Orchestra Live in Japanとの2in1    《Mess Is Here》《Valve Job》を除く6曲を収録 ※このコンテンツはjazz streetからの継続になります。
第31回 振付師・竹中夏海さんインタビュー パート1 <PASSPO☆は、メンバーの「ずっと続けていきたい」というモチベーションが高いんです>
第31回 振付師・竹中夏海さんインタビュー パート1 <PASSPO☆は、メンバーの「ずっと続けていきたい」というモチベーションが高いんです> 竹中夏海さん 竹中さんの最新刊『アイドル=ヒロイン~歌って踊る戦う女の子がいる限り、世界は美しい~』 竹中さんの前作『IDOL DANCE!!!~歌って踊るカワイイ女の子がいる限り、世界は楽しい~』 PASSPO☆ PASSPO☆のアルバム『TRACKS』(ファーストクラス盤) 夢みるアドレセンスのアルバム『第一思春期。』  年末年始、アイドルライヴを浴びるように見た。 12月27日:アップアップガールズ(仮)@大阪BIG CAT 12月28日:アップアップガールズ(仮)@名古屋DIAMOND HALL 12月29日:夢みるアドレセンス@東京国際フォーラム ホールC 1月1日:PASSPO☆@東京ドームシティホール 1月11日:虹のコンキスタドール@新宿BLAZE  どれも個性豊か、見ても聴いても踊っても楽しいステージだった。以上全グループのダンスに関わっているのが、振付師の竹中夏海(たけなか・なつみ)さんだ。しかも20日には2冊目の著書『アイドル=ヒロイン~歌って踊る戦う女の子がいる限り、世界は美しい~』(ポット出版)もリリース。これがまた、読みやすくて楽しい内容なのだ。大まかにいえば「アイドル・シーンの盛り上がりを女性の視点で読み解く」「女性ファンが実際にどのようにアイドルを楽しんでいるのかを紹介する」というコンセプトなのだが、ぼくのような男にとっては目からウロコの記述も多々あり、なんだかすごく勉強になった。  これはもう、お話をうかがうしかないだろう。1月にしては暖かな午後、貴重な時間を割いていただいた。 ――2年ぶりの新著、ご出版おめでとうございます。前作『IDOL DANCE!!!: 歌って踊るカワイイ女の子がいる限り、世界は楽しい』が初めて店頭に並んだ時はどんな気分でしたか? 竹中 すごく嬉しかったです。ヴィレヴァン(ヴィレッジヴァンガード)で並んでるのを見て「あー、ほんとに売られているんだな」って。タワーレコドでは教え子の(アイドル達)のCDと一緒に置いてくれたりもして……思い出しますね。 ――最新作『アイドル=ヒロイン~歌って踊る戦う女の子がいる限り、世界は美しい~』では大森靖子さん、日笠麗奈さん、児玉雨子さんとの「セーラームーン妄想キャスティング会議」にも興味しんしんでした。「アイドルをセーラームーンの登場人物に当てはめたら」という内容です。ぼくはセーラームーン世代ではないのですが、自分が子供時代に流行った戦隊もの、たとえば「秘密戦隊ゴレンジャー」に当てはめて読みました。アカレンジャーは誰だろう、キレンジャーはこのアイドルかな、とか。 竹中 男の子向けのヒーローものはずいぶん昔からありますよね。でも女の子向けのものはセーラームーンまでなかった気がします。21日の出版イベント(※後述)ではセーラームーン世代だけじゃなくて、プリキュアだったり、おじゃ魔女どれみ世代も集まるので、いろんなキャラクターにアイドルのメンバーを当てはめる企画を考えています。 ――ところで1月1日のPASSPO☆、約6時間半のフライト(ライヴ)には驚きました。いきなり元旦から、すごい世界を体験しました。 竹中 あれはすごかったですね……。私は“ぽすぽ(仮)”の頃から振り付けを担当しているんですが、最初は2曲から始まったのかな? そのあとプラス2曲で4曲になって、5曲になったんですが、当時はすぐ息切れしていましたね。それがライヴを重ねることによって、だんだん体力をつけていった。 ――このフライトは結成5周年ツアーのファイナルでもあったんですが、「もう5年も経ったのか」と驚きました。そして、グループの歩みはまだまだ続くぞと思いました。 竹中 PASSPO☆は「はかなげな少女のどうのこうの」みたいなところに魅力を置いていないし(笑)、ファンの皆さんも、メンバーがみんなでキャッキャッして、ワイワイワチャワチャしてる姿を見るのが楽しいと思うんです。個人個人の少女としての美しさを見せるグループではないから、「これって別に何歳になっても通用していくんじゃないかな、長くやってけそうだな」とは以前から感じていましたね。それにPASSPO☆は、メンバーの「ずっと続けていきたい」というモチベーションが高いんです。ただ70曲近くのライヴをするようになるとは思いませんでしたね。終わった直後にメンバーに会ったんですが、思ったより疲れてなさそうでした(笑)。 ――アンコールで、パッセンジャー(ファン)がサイリウムで滑走路を作って。 竹中 あれはすごかったですね。まこっちゃん(奥仲麻琴)の卒業ライヴにふさわしいというか、別の道に向けて飛び立っていく感じがすごく出ていたと思います。 ――奥仲さん、最初の頃よりものすごく力強いダンスをするようになったと思います。「こんなにタフだったのか」と、びっくりしました。 竹中 意外とそうなんですよ。ほかのメンバーに引っ張られているうちに、力強くなっていったんだと思います。それに、ふざけるようになりましたね。おとなしくしていれば「かわいい」で済むところを、おどけたりするようになった。そうすると、お客さんにしてもメンバーにしても「面白いね」って反応をするから、それが楽しくなって、だんだんキャラクターが確立していったんだと思います。(メンバーどうしで影響を受けあうことは)どのグループ・アイドルにもあるでしょうね。 ――中盤では、ロック・バンドのTHE GROUND CREWをバックに歌うパートも2時間ほどありました。曲によっては、HAWAIIAN6の安野勇太さんがゲストに加わって、計4本のエレクトリック・ギターが背後で鳴ります。あんなにハードでへヴィーな音の中で、よく歌って踊れると思うんです。 竹中 最初の頃は負けてましたよ。でもライヴを繰り返すうちに力をつけていった。今はリハーサルのとき、舞台監督から「君たちはどんどん体が暖まってどんどん声が出てくるようになるかもしれないけれど、THE GROUND CREWの人たちはどんどん体力が落ちてくるから、声を出しすぎないように」みたいなことを言われています(笑)。 ――THE GROUND CREWには、経験豊富なベテランの方がいらっしゃいますから。 竹中 どうやらPASSPO☆は後半につれて、より声が出てくるようです。「ちょっと抑えるように」って言われていましたね。 ――THE GROUND CREWの皆さんが、本当にニコニコしながら演奏している。ふだんコワモテであろうメタル系ミュージシャンの、あんな表情が見られるのも嬉しいところです。 竹中 すごいミュージシャンたちが集まったバンドだということをわかってないのかもしれません(笑)。親戚のおじさんみたいな感じでなついてますね。THE GROUND CREWの皆さんはリハの時もやさしく見守ってくれて、「PASSPO☆、かわいがられてるな」と思います。 ――《ダムダムフリーダム》は竹中さんではなくて、PASSPO☆のクルー(メンバー)の玉井杏奈さんが振り付けをなさったとうかがいました。 竹中 そうです。《夏空HANABI》(2012年)の頃かな、杏奈が靭帯をケガして、ひと夏ライヴに出られなかったんです。フラストレーションがたまっていたみたいで、「なんか新しいことやりたい」と言うんです。「じゃあ、1曲ふりつけやってみたら?」って提案して、そこからという感じですね。杏奈もずっとダンスをやってきて、バレエだったりチアダンスだったり私とジャンルが近いんです。「フォーメーションを考えるのも好き」とも言ってたので、自由(フリーダム)をテーマに、本当に自由にやらせてみようと思いました。 ――この曲では奥仲さんと増井みおさんがフィーチャーされていたので、奥仲さんが卒業した後、どうなるのか気になります。 竹中 今、ちょうど振り直しの最中です。それをしているとまこっちゃん(奥仲)がここをこんなに頑張ってたんだと思えたりとか、逆にあるパートを別のメンバーでやるとしたらこの子しかいないなという発想が出てきたりとか、役割を整理整頓している段階です。 ――9人が8人になるということは、奇数から偶数になるということでもあり、客席から見ていても目に入る印象がガラッと変わります。 竹中 ただ、もともと10人だったので、その頃を思い出すような感じではありますね。 ――元旦のフライトでは、20曲メドレーもあって、それぞれ1コーラスぐらいかなと思ったら、すごくガッツリやった。しかも「ピンクのパラシュート」はフルコーラスだし…… 竹中 あれはもうメドレーの領域じゃないですよ(笑) ――新たに振り付けをなさったんですよね? 竹中 はい。曲のつなぎのところの練習と、音をつなぐことによって増えた振り付けの部分だったり、ちょっとした演出の部分ですね。たとえば《No.1 Boy》は野球の曲なんですが、イントロ部分を長くしてもらって、そこで球拾いをしている子がいたり、ストレッチしている子が出てくるという演出をつけたり。 ――MCでメンバーが客席にいる竹中さんを紹介するところもありました。「ダンスの先生」に自分たちのライヴを見てもらえるのは、アイドル側にとってもすごく励みになると思うんです。 竹中 そのへんはよくわかんないんですけど、行かないと「なんで来なかったの!」とは言われますね(笑)。ツアーにはついていけないですけど、大きなワンマンとか、節目のものはどのグループも見に行くようにしています。[次回1/26(月)更新予定] ※竹中夏海イベント ●『アイドル=ヒロイン~歌って踊る戦う女の子がいる限り、世界は美しい~』トーク&サイン会 【日時】 2015年1月20日(火) 集合時間:午後6時30分 トークショー:午後7時~7時30分(予定) サイン会:午後7時35分~ご参加の列が途切れしだい終了 (※トークショー終了後にサイン会を開催) 【会場】 渋谷パルコパート1 B1F グリーンルームギャラリー横特設会場 ●『アイドル=ヒロイン~歌って踊る戦う女の子がいる限り、世界は美しい~』発売記念「アイドル=ヒロイン」妄想キャスティング会議 【日時】 2015年1月21日(水) 開場時間:午後6時30分 開演時間:午後7時30分 【会場】 お台場・東京カルチャーカルチャー(東京都江東区青海1丁目3-11 Zepp Tokyo2F) 【出演者】 酒井瞳(アイドリング!!!)、安斉奈緒美(PASSPO☆)、西七海(虹のコンキスタドール)+お目付役・近藤さん(「虹のコンキスタドール」美人マネージャー)、レナ(バニラビーンズ)、竹中夏海(振付師) 傍聴人:なでksジャパン(二宮なゆみ、小口桃子、日笠麗奈、渡賀レイチェル) ・公式ブログ 「チロリアンぶろぐ」http://ameblo.jp/takenakanaketa/ ・公式Twitter @723takenaka
ゆるキャラ「にしこくん」の美人作者・西尾有未さん 実は会社経営者だった 
ゆるキャラ「にしこくん」の美人作者・西尾有未さん 実は会社経営者だった  キモかわキャラ「にしこくん」と美人作者の西尾さん  いまや日本全国に2,000体以上存在するという「ゆるキャラ」。その中でも、誕生当初から「キモかわいい」と人気を誇っているのが、2011年「ゆるキャラグランプリ」で3位になった東京・西国分寺のゆるキャラ「にしこくん」です。にしこくんの生みの親は、西尾有未さんという26歳の若いアートディレクターで、普段はキャラクターデザインやパッケージデザインなどを手掛けています。大学在学時に西国分寺に住んでいたという西尾さん。キャラクターを作ったのは街への"恩返し"だったといいます。モチーフとなったのは、街中で偶然見かけた鐙瓦(あぶみがわら)。それにしもて、鐙瓦を見かけただけで、あのシュールなキャラクターを作り出すとは驚きです。 本書『いろいろ いろこくん』は、そんな西尾さんが上梓した絵本。12人のにしこくんの仲間が登場し、それぞれのキャラクターについてエピソードが描かれています。各エピソードの主人公は、別のキャラクターと関わることで新たな自分の一面に気付き、成長していくというストーリー。西尾さんは本書について次のように解説します。「この本は、"にしこくんの頭の中"という設定ですが、登場するそれぞれキャラクターは、にしこくんの性格の一部分を表現しています。例えば、熱血キャラのメラこくんは、にしこくんの"熱い心"を表現しています。この本を通して、にしこくんの魅力についてもっと知ってもらいたいです」 今月7日、西国分寺で開催された本書発刊記念のサイン会には、およそ60名が参加。また、会場にはにしこくんも登場し、即席の撮影会が行われるなど参加者は大喜びでした。なお、一部ネット上で西尾さんは、「美人すぎる」と話題になっているそうです。その点について、本人に感想を聞いたところ、「そのように言ってもらえることはとても嬉しいですが、にしこくんを応援してくれるともっとありがたいです」と照れながら答えていました。2年前に、デザインやプランニングを手掛ける株式会社 240 PLANNING OFFICEを設立し、"美人社長"としても活動している西尾さん。今後のにしこくんの活動についても気になるところですが、美人クリエイター兼美人社長の西尾さんについても注目してみてはいかがでしょうか。<関連リンク>■『いろいろ いろこくん』(http://www.hanmoto.com/jpokinkan/bd/9784591141458.html
文字総数1万9000字!「道重さゆみ年表」の製作者・相沢直氏 12月8日には関連イベントも
文字総数1万9000字!「道重さゆみ年表」の製作者・相沢直氏 12月8日には関連イベントも  11月26日、横浜アリーナで開催されたコンサート「モーニング娘。'14コンサートツアー秋〜GIVE ME MORE LOVE〜道重さゆみ卒業記念スペシャル」。同グループ史上最高のリーダーとも言われる道重さゆみさんの卒業コンサートとして、テレビやスポーツ紙、ネットニュースなどでも報じられ、ファンのみならず多くの人が彼女の"最後の雄姿"を目にしたのではないでしょうか。 AKBグループやももいろクローバーZなど、新たなアイドルグループが続々と誕生し、相対的にアイドル業界におけるモー娘。の存在感は一世を風靡した"全盛期"に比べ、失われているのは否めません。しかし、全盛期を知らない若い世代にも、同コンサートでのモー娘。や道重さんのパフォーマンスは大きな感動を与えたようです。実際にコンサートを訪れた10代の男性ファンはこう語ります。「本当にすべてが圧巻でした。特に道重さんのパフォーマンスには胸が震えました。彼女、コンサート中に、足がつってしまったんです。でも、その足をかばいながら必死にパフォーマンスを続けていた。隣の席にいたおじさんは人目もはばからず号泣していましたし、僕も思わず......」(港区在住の男子高校生) そんな道重さん、今年7月にはパーソナルブック『Sayu』を上梓しています。凡百のアイドル写真集的な本ではなく、2万字を超えるロングインタビューや彼女のプライベートに迫るページも掲載されるなど骨太の内容。 そして、メールマガジン『水道橋博士のメルマ旬報』50号に掲載されている、構成作家・相沢直さんがまとめた「道重さゆみ年表 増補版」が現在、ファンの中で話題を呼んでいます。道重さん自身がプロデュースした『Sayu』とは違い、第三者の視点からの「道重さゆみ像」が描かれています。さらに、「父は真面目な性格。道重がモーニング娘。に加入してからは単身山口県に住んでいる」など、約1万9000字にわたって、彼女の詳細な情報が書き綴られた年表。現在、同メルマガは期間限定で(~2014年12月9日まで)E-PUB版が無料ダウンロードできるキャンペーン実施中なのでダウンロードして損はないかもしれません。 ファンならではのアツ~い道重さゆみ論を語る相沢さんですが、来る12月8日、東京・下北沢の本屋B&Bで、イベントを開催。イベント名はズバリ「モーニング娘。'14 道重さゆみとは何だったのか。」。『エンタメアライブ』編集長の宮元望太郎さん、男の墓場プロダクションの劔樹人さんと鼎談を繰り広げる予定です。 B&Bのイベントに参加される際は、無料ダウンロード中のメルマガを読むことで一層、楽しむことができそうです。【関連リンク】相沢直×宮元望太郎×劔樹人「モーニング娘。'14  道重さゆみとは何だったのか。」http://bookandbeer.com/blog/event/20141208_morning14sayu/水道橋博士のメルマ旬報https://bookstand.webdoku.jp/melma_box/page.php?k=s_hakase
AKB48のブレイクは未歳(ひつじどし)生まれの賜物!? 未歳だけがもつ"超運"とは?
AKB48のブレイクは未歳(ひつじどし)生まれの賜物!? 未歳だけがもつ"超運"とは? 「世界は今、『未』を中心にまわっている。私たちは『未の時代』に生きている。だから、未歳の人の運気は2021年まで上昇し続ける」 こう語るのは本書『未歳生まれは、超運すぎる人』の著者・橋幸夫さん。デビュー曲「潮来笠」の大ヒット以来、55年もの長きに亘り芸能界の第一線で活躍してきた大御所として有名ですが、実は運命学「九星術」の研究家でもあります。自身も未歳生まれということもあり、熱心に未歳のもつ「超運」とその可能性を説いています。 橋さんによれば、超運とは「本人の想像を"超えて"ほかの人にまで運気を及ぼすことができる」という意味で、いわゆる強運よりもハイレベルなもの。未歳だけがもつ特性であり、なんとその効果は尽きることがないといいます。「もし自分の運気が衰えれば周りの人の運気が補ってくれるし、自分の運気が充実したら周りの人に与えられるという相互作用がつねに働いている」(本書より) 本書では、そんな未歳生まれの特性は、あの人気アイドルグループ「AKB48」のブレイクとも深く関係していると指摘しています。同グループの黎明期を支えた前田敦子さん、柏木由紀さん、高橋みなみさん、北原里英さん、板野友美さん、高城亜樹さん、成田梨紗さん、増田有華さんには、ある共通点があったというのです。「彼女たちはみな未歳生まれ。小劇場での下積みを重ね、ファンとの交流を深めつつ、地道な努力でAKB48のブレイクまで耐えた健気な少女たちだ。この真面目さ、ひたむきさはいかにも未歳である」(本書より) さらに橋さんはもし、彼女たちが1歳違いの午歳や申歳であれば、今日のようなブレイクはなかったと分析しています。「午歳生まれは瞬発力がありエネルギッシュであるものの、地道な努力の積み重ねがすこし苦手だからだ。申歳も利発で華やかな人が多いが、その活発さゆえに、他に楽しいことがあるとつい目移りしてしまう傾向がある。つまりどちらも下積みには適さない」(本書より) なお、本書によれば、12年ごとのサイクルで割り振られる各干支の"黄金期"のようなものがあるそうですが、なんと2010年から144年ぶりに「未の時代」が到来しているのだとか。特に2015年は、「未の時代」に未年がやってくるということから、「今後の人生を輝かすターニングポイント」と位置づけられ、脚光を浴びるチャンスの年だといいます。 2015年、未歳のメンバーによるAKB48グループのさらなる繁栄、もしくは未歳生まれの人物が彗星のごとくブレイクや躍進を果たすことになるのでしょうか。いずれにせよ未歳の活躍は間違いなさそう。未歳の芸能人はもちろん、身近な未歳にも注目です!http://www.sangokan.com/order/
「脱・カメラ女子」時代へ
「脱・カメラ女子」時代へ 11/29、京都・宇治の黄檗山萬福寺で行われた 祇園の舞妓さん撮影会に行ってきました。 主催は全日本写真連盟関西本部です。 http://www.photo-asahi.com/kansai/info/ 僕は冒頭で挨拶させていただき、 その後は撮影の様子を拝見。 時に参加者の方々とカメラ談義をしたり、 自分でも撮影してみたりして、 かなり楽しい時間を過ごしました。 紅葉も終わりかけでしたが、 名刹と舞妓さんの組み合わせは かなり絵になるなあとしみじみ思いました。 実は全日写連関西本部主催の舞妓さんの撮影会、 今夏にも行われたんですよね。 その時、僕は初めて参加したんですが、 男性のアマチュア写真愛好家の方々が 圧倒的に多かったのを覚えています。 まあ、わかる気もしますが(笑)。 ところが、今回の撮影会では ずいぶん女性の割合が増えていました。 撮影の際に男性が立ってしまうと 舞妓さんが見えにくいという声があり、 女性だけの撮影班を設けたことも奏功したようです。 素晴らしいことじゃないですか! で、実際にある女性の参加者に 撮影カットを見せてもらったのですが、 「カメラの設定が今ひとつわからないんですよね」 と言いながらも、舞妓さんの柔らかい表情を 引き出していて、実に見事な腕前でした。 そういえば、最近は写真コンテストでも 女性の台頭がめざましいんですよね。 以前、コンテスト審査員を務めるベテラン写真家に、 こう言われたことを思い出しました。 「男性はカメラの設定にこだわって撮るんだけど、  女性は感性で撮る傾向があるんだよねえ」 もちろん個人的な意見ではあるのですが、 僕もコンテスト審査に立ち会ってきた経験から 同じような感想を持っているんですよね。 そして今、僕が非常に注目している女性の団体があります。 全日写連のフォトサロン「彩(Sai)girls」です。 撮影会や技術指導はもちろんのこと、 写真雑貨の作成など、写真好きの女性たちのための団体です。 一眼レフやミラーレス機だけでなく、 スマホユーザーでもOKというのがいいじゃないですか! 詳しくはこちら↓ https://www.facebook.com/pages/彩girls/241647465990507 「カメラ女子」なんて言葉が 持て囃された時期がありましたが、 写真撮影を趣味とするのに 性別や年齢なんて関係ありませんからね。 もっと言えば、銀塩時代からカメラに 慣れ親しんでいるベテラン男性が、 デジタルで初めてカメラに触れた女性に 撮影ノウハウを教えてあげたらいいのになあ、と思っています。 それこそ「脱・カメラ女子」時代の幕開けになるでしょう。 僕もそんな機会を提供できるように知恵を絞りたいと思いました。
ナウシカになれる!?「ハコスコX」の恐るべき実力
ナウシカになれる!?「ハコスコX」の恐るべき実力 メディアアーティスト・八谷和彦氏の「きみはテト」のアプリをみれば、気分はナウシカ(写真・藍圭介) アプリに登場する10人の水着美女たち スタジオで鎌田紘子さんを撮影する堀江貴文編集長。  スマートフォン(以下はスマホ)を使って手軽にVR(バーチャルリアリティ/仮想現実)体験ができる「ハコスコX」が話題を呼んでいる。  ハコスコXは、堀江貴文氏が編集長を務めた週刊朝日ムック「X Reality」(朝日新聞出版)の付録キットで、理化学研究所の脳科学者、藤井直敬氏が開発したもの。  AppStoreやGooglePlayなどからハコスコX専用のアプリをダウンロードし、スマホをキッドに差し込むだけで、現実ではなかなか経験できないVRの世界をその場にいるかのようなリアルさで体験できる。  一番の注目は、メディアアーティストの八谷和彦氏が作成した映画「風の谷のナウシカ」に出てくる架空の飛行機具「メーヴェ」を飛行可能に再現し、大空に飛び回るというアプリだ。  「ゴオォー」という轟音とともに、機体が大空へフワッと舞い上がり、見る見るうちに緑の地上が小さくなっていく。首を上下左右に振れば、360℃、周囲の景色を見渡せるので、臨場感は圧巻だ。ナウシカはいつも肩にペットの「テト」をのせ、大空を自在を飛んでいたが、このアプリを体験すれば、テトの気分になれる。  男子の大注目は、日頃の妄想をかなえてくれるアプリの数々だ。「水着ギャル10人に囲まれたい!」をダウンロードすれば、モデル美女10人に囲まれ、ウホウホした気分になれる。  さらに、グラビアアイドルの鎌田紘子さんのビキニ姿を汗だくになりながら激写する堀江編集長の「僕が撮りたかったグラビア」。まるで自分がスタジオ撮影の現場に立ち会っているようなリアルさだ。  そして、彼女がほしい男子におすすめなのは、Panokano Project制作の「ぱのかの」。 かわいい女の子と人力車に乗って浅草をデートしたり、温泉で一緒に足湯に入ってホッコリしたり。  冗談を言いあったり、パンチラもありで、仮想世界へのトリップが、癖になる人が続出するかも…。
「VRぱるる」も登場? 堀江貴文のムック「xReality」発売イベント開催
「VRぱるる」も登場? 堀江貴文のムック「xReality」発売イベント開催 オキュラスを体験する鎌田紘子さん(撮影/写真部・工藤隆太郎) 堀江貴文さん(撮影/写真部・工藤隆太郎) 鎌田紘子さん(撮影/写真部・工藤隆太郎) 登壇した鎌田さん、堀江さん、藤井直敬さん、高橋建滋さん(撮影/写真部・工藤隆太郎)  堀江貴文さん(41)が編集長を務めた週刊朝日ムック「xReality」が発売され、記念のトークイベントが10月23日、都内で行われた。テーマはバーチャルリアリティー(仮想現実/VR)だ。その世界へうまく誘導する「付録」をつけてみようというコンセプトで今回のムックが誕生した。  これまでVRの世界は、Oculus VR社(米国)が開発したヘッドマウントディスプレイ「Oculus Rift(以下、オキュラス)」などを使って見ることが主流だった。オキュラスは、2012年にクラウドファンディングで240万ドルの開発資金調達に成功して注目を集めたベンチャーで、14年3月にはフェイスブックが20億ドルで買収。VR業界の草分け的存在として知られているが、日本でまだ2万~3万台しか輸入されておらず、高価格(4万円)だ。  そのため、今回のムックには理化学研究所(埼玉)の医学博士、藤井直敬さんが開発したオキュラスの簡易版といえる「ハコスコX」を付録につけたのである。 「ハコスコを組み立てて、スマートフォンを差し込めば、視覚的にはオキュラスと同じような効果が得られます。ご自分のスマートフォンからムック『xReality』が用意したアプリ(30種)をダウンロードしてもらえば、恐竜時代にタイムトリップできたり、憧れのアイドルとデートをしたり、世界遺産を360度パノラマで見られたりと、さまざまなVR体験が簡単にできる」(藤井さん)  イベント会場には、それらのコンテンツが多数、展示された。テレビ朝日メディアプレックス(東京都港区)から「ジュラシックアドベンチャー」。Panokano Projectからは憧れのアイドルと一緒に足湯に浸かったりできる「ぱのかの」。世界遺産をジェットコースターで走りまわる積木製作の「ファンズワースコースター」などの展示ブースが設けられた。 「これらの作品はもともとオキュラス用に作られたものでしたが、『ハコスコX』で見られるよう簡易版に作り直してもらいました。イベントで展示されたものはオキュラス用のVRなので、迫力はさらに増します」(同)  各展示ブースからは、時折、悲鳴とも取れる声が聞こえていた。港区から参加した楢崎綾子さん(30代・会社員)は興奮さめやらぬ様子でこう話してくれた。 「これがあれば自宅が遊園地のようになる。頭を動かすと360度自分の視点になるので、一度では味わい尽くせないです」  イベントでは、VR体験会とあわせてトーク座談会も開かれた。座談会には編集長の堀江さん、「ハコスコX」開発者の藤井さん、「xReality」のグラビアに登場するアイドルの鎌田紘子さん、オキュラス専門家の「オキュフェス」代表の高橋建滋さんが参加した。 「僕らの話なんて聞かなくていい。VRの体験ブースがあるので、そこで実際にVRの世界を体験してください」と、“ホリエモン節”でトークはスタート。  藤井さんも、「文字や絵で紹介されても、VRの魅力は伝わらない。でもオキュラスは高性能のパソコンが必要だし、価格もまだ高い。今回、付録つきのムックという形にした試みはVRを普及させる意味で重要だと思う」と話した。 「ハコスコX」の注目のコンテンツとして紹介されたのは、鎌田さんを3Dスキャンで撮影して作られた3Dアイドル動画だ。スマートフォン(現在はアンドロイド携帯のみ対応)を「xReality」の鎌田さんのグラビアページ(78ページ)にかざすと、CG化された水着姿の鎌田さんが雑誌から浮き上がって見える仕掛けになっている。 「こういうのは初めてだったので、できあがりを見てびっくりしました。今後、日本初のCGグラビアアイドルとして頑張っていきたいです」(鎌田さん) 「xReality」では、かねて堀江さんが大ファンだと公言するAKB48の島崎遥香さんとの対談も実現。  VRについてあまり詳しくない島崎さんに「近い将来、握手会はVRを用いたバーチャル握手会になる」という話で盛り上がった。VRについてあまり知識がない人でも、漫画家の西アズナブルさんが描いた漫画「VR入門」を読むと、VRの基礎的な話や今後どうなっていくのかが理解できるようになっている。 (本誌・竹内良介) ※週刊朝日  2014年11月7日号より抜粋

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