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〈2024年上半期ランキング ライフ編6位〉資産270億円cis×利益100億円テスタ対談「5年で1200万円を50億円に増やした特殊能力とは」
中島晶子 中島晶子 安住拓哉 安住拓哉
...024年上半期ランキング ライフ編6位〉資産270億円cis×利益100億円テスタ対談「5年で1200万円を50億円に増やした特殊能力とは」
cisさんとテスタさん(撮影/朝日新聞出版写真映像部・上田泰世)  早いもので、2024年も折り返しです。1月~6月にAERA dot.に掲載され、特に多く読まれた記事をジャンル別に、ランキング形式で紹介します。ライフ関係の記事の6位は「資産270億円cis×利益100億円テスタ対談『5年で1200万円を50億円に増やした特殊能力とは』」でした(この記事は5月30日に掲載したものの再配信です。年齢や肩書などは当時のもの)。 *   *   *  総資産270億円のレジェンド投資家・cisさんと利益100億円投資家のテスタさんの対談第1回(全4回)。初回はcisさんが株で成功できた理由(特殊能力?)をテスタさんが探る。メディア取材を受けないcisさんの話は貴重! (本記事はアエラ増刊「AERA Money 2024春夏号」から抜粋しています)  2024年2月16日、獲得総利益100億円を達成したテスタさん。これを祝うべく、スペシャル中のスペシャルゲストをお招きした。  テスタさん自身も熱望していたそのお相手は、ご存じcisさんだ。cisさんといえば現在の総資産270億円のレジェンドトレーダー。メディアにほとんど登場することのないお方だが、今回は特別だ。  対談の舞台は、お2人が日々、トレードに明け暮れてきた主戦場の東京証券取引所。2大カリスマ投資家の夢の対談が、ついに実現した。 【近況編】 (編集部)今回はテスタさんが総利益100億円を達成した記念対談としてcisさんをお招きしました。cisさんの総資産は現在、どれぐらいなんでしょうか? (cis)200億円から300億円ぐらい……かな? (編集部)今はもう数えるのもやめてしまわれましたか? (cis)いや、そんなことはないです。なんとなく把握してますよ。これから損するかもしれないし、税金もあるんで、250億円、いや270億円にしておきましょうか。 (テスタ)おお〜っ、増えてる、増えてる。(と小さな声でつぶやく) 東証に来たのは初 (cis)テスタ、100億円達成おめでとうございます。最近会ってなかったよね。ほんとに、おめでと。 (テスタ)お久しぶりですよね。最初にお会いしたのは、たぶん8年くらい前だと思います。 (cis)あの頃、ゲームセンターでスロットやって遊んだりしたよね。 (テスタ)ごはんも何回かご一緒させていただきました。僕、1回も、1円も払ったことがなくて、毎回、常に、cisさんに出してもらってるんですけど……。 東証に来たのははじめてですか? (cis)はじめてですね。 (テスタ)え〜、そうなんですか。って僕も2回目なんですけど(笑)。意外に来ないもんですよね。 (編集部)あまり知られていませんが、東証の施設は平日午前9時から午後4時半まで(最終入館時間は午後4時)なら誰でも無料で見学可能だそうです。 本記事が丸ごと読める「AERA Money 2024春夏号」はこちら cisさんはスリムな好青年だった(撮影/朝日新聞出版写真映像部・上田泰世)   (cis)昔は年末の大納会に東証へ行くと蕎麦がもらえたらしくて、自分の周りでも行く人がいましたが。12月30日でしょ。冬で寒いじゃない。わざわざ蕎麦もらいに寒さこらえて行くのか、って(笑)。 (テスタ)行ってみようと思ったことはなかったんですか? 1回ぐらい東証を見てみたいとか……。 (cis)ないですね。(サクッ) (テスタ)まあ、僕も用事がないから来なかった(笑)。来るところというより、取引でお世話になっているところだという目で見ていただけ。 板は目視で反応できた (cis)最近は、マイクロ秒とかナノ秒で自動的にバンバン注文が出るじゃない。アルゴリズムトレード(コンピューターシステムが数量やタイミングを決めて自動的に注文を繰り返す高速取引)で動いてるんで、東証の近くのどんな証券会社がそのアルゴのシステムを作っているのか、見に行きたいと思ったことはありますよ。 (テスタ)やっぱり、ナノ秒とかになってくると東証に近ければ近いほど約定(やくじょう)しやすいって理屈になるんでしょうかね。距離がモノをいう感じで。 (cis)そうです。 (テスタ)毎日取引していると、コンピューターの高速売買みたいなのって気になりますか? 昔は今より遅かったし。 (cis)めちゃくちゃ気になる。前は呼び値や板の更新時間を見ていれば楽勝で反応できるぐらいの速度でした。あれ、4秒に1回くらいだったんですかね。 (編集部)2010年にアローヘッドという高速売買システムが導入されました。それ以前は、正確に言うと「2秒に1回更新」という時代がありました。 (cis)2秒だったか。そのときから比べると様変わりしてしまって。パソコンの前に張り付いているから勝ちやすいってことはなくなった気がしますね。今はリスク管理のために決済注文だけはセットしつつ、モニターで取引状況を見てるみたいな感じですね。 【cisさん5年で50億円編】 (編集部)cisさんは元手いくらぐらいで株をはじめたんですか? (cis)最初に入れたのは300万円ぐらいでした。昼間働いて、残業もして、もらえる給料は手取り20万円ちょっとだったかな。当時は実家暮らしだったので5万円を家に入れて、残りは全部(証券口座に)入金してました。 さわやか笑顔のテスタさん、実は緊張もしていたそう(撮影/朝日新聞出版写真映像部・上田泰世)   (編集部)ということは毎月15万円を証券口座に入れていた、と。 (cis)そうですね。開始時点の元手が大した金額じゃないから給料を丸ごと突っ込んでたわけで。 (編集部)cisさんが株をはじめたのは、いつですか? (cis)金融ビッグバン(※)が2000年前後でしょ。そのときに証券口座を開いたのよ。株取引自体は2002年にはじめました。最初は短期トレードって感じじゃなくて「買ったけど失敗」みたいなのが多かったです。 ※金融ビッグバン…1996年に提唱され、2001年にかけて実行に移された金融制度の自由化、グローバル化などの金融システム改革 (編集部)そこから5年後の2007年には資産50億円を達成されていますね。 (テスタ)手取り20万円で、実家に5万円入れて、毎月15万円入金かぁ。最初に300万円を入れて、年間180万円の入金を5年ってことは、財布から出したお金が1200万円。それが5年で50億円って……とんでもないスピード……。 株の手数料1% (編集部)テスタさんが株をはじめたのはいつですか? (テスタ)僕は2005年からはじめました。 (cis)新興イケイケ〜からの、ライブドア・ショックの時期ですね。 (テスタ)ライブドア・ショックが2006年1月。それが株の売買をはじめて半年後ぐらいなんですが、そのときにはもうcisさんってカリスマトレーダーと言われてました。2007年になると、もう確実に有名人。 (cis)当時はメディアに登場するトレーダーが少なかったのもあるかも。株の売買手数料が自由化されて間もない時期だったし。1回の取引で売買手数料を1%とか(※)払ってたら、なかなか個人は勝てないよね。僕は金融ビッグバンのときに20歳になったから、自由化後のトレーダー1期生って感じで。 ※株式の売買手数料が1999年10月に完全自由化される前は約定代金100万円で1万1500円、500万円で4万7500円、1000万円で8万2500円などの固定だった 「cisさんとテスタさんの対談・撮影をさせてください(タダで)」というAERA担当編集の無茶なお願いを快諾。さらに涙モノの演出までしてくれた東京証券取引所さん、本当にありがとうございました!(撮影/朝日新聞出版写真映像部・上田泰世)   (テスタ)cisさんと僕がはじめて出会ったときは、まだデイ(トレード)やスキャ(ルピング)ばかりしていたと思いますが。cisさんから見て、僕はどういう印象でしたか? ※デイトレード…1日の間に売り買いして損益を確定させる取引、スキャルピング…数秒、数分単位の超短期取引 (cis)印象って? (テスタ)僕の中ではcisさんやますぷろさん、降臨さん、三空さんが第1世代なわけですよ。むらやんさん、武者修行中さん、けむ。さん、僕なんかが第2世代っていうイメージなんですけど。 (cis)テスタの印象か。なんとなくだけど、ファンダ(※)と需給(買い〈需要〉と売り〈供給〉の量で売買判断)のハイブリッドタイプなのかな、と。 ※ファンダ=ファンダメンタルズ…業績や指標などで投資判断をすること。直訳としては、経済の基礎的条件 cisさんは需給派 (テスタ)cisさん自身はどうなんですか? 需給だけで売買してますか、ファンダも見ますか? (cis)ほぼ需給だけ。ファンダの情報は倒産リスクとか、公募増資リスクとか、そういうリスク管理に使ってる感じです。あ、リスクとリターンの見積もり用に「同じ業種の銘柄がどのくらいの時価総額なのか」は見たりしますね。「これから業績が伸びそうかどうか」は、あまり気にしない。 (テスタ)それは、cisさんが相場の需給を読んでトレードするのが得意だから、需給メインにしてるんですか? それともcisさんの能力と関係なく「投資で一番効率的なのはファンダより需給だ」と思ってるからですか? (cis)一番効率的かどうかはわからないけど。需給で判断すれば「今買われてる株は現時点で確実に買われているわけだから、自分も買う。ダメそうなら、売る」ってことができるよね。何度も買ったり売ったりを繰り返せるじゃない。 (テスタ)はい。 (cis)でもファンダは……「これから伸びる」「来期の業績がいい」なんて、数年がかりの話だから何度もやり直せない。しかも判断をミスると足踏みになっちゃうでしょ。やっぱり何回も何回も売買して利益を出せたほうがいいと思って、需給のほうに特化したんだけど。 本記事が丸ごと読める「AERA Money 2024春夏号」はこちら 巨大ボードにも対談時だけお二人の名前を入れてくれた東証(撮影/朝日新聞出版写真映像部・上田泰世)   (テスタ)ファンダで売り買いする投資家の友達で井村俊哉くんという人がいます。井村くんはファンダ100%の人で、ここ何年かでバーッて世に出てきて、すごい速さで資産を伸ばしてるんです。いろんな上場企業の大株主に名前が出て、話題になってるんですが。井村くんのことは知ってますか? (cis)井村さん? 詳しくは知らない。ツイッター(現X)で見たことあるけど、真の投資家というか……この会社がいいと思って投資して、あとは信じて待つ、みたいな。 (テスタ)「王道」に見えますか? 僕はcisさんと同じように業績の情報をトレードにあまり使いません。井村くんほどファンダに特化した人を見たことがなかったので、新しいなと思って。 (cis)数年がかりとか、1年単位でもいいけど、「来期の見通しがすごくいい」とかを予想して、なおかつ株価の上昇も当てるっていうのは繰り返しできることじゃないと思う。業績を読んで大きな利益を上げる人が世の中にいっぱいいるかもしれないけど、それで大当たりを何回も出せるとしたら、時代もあるかな、と。 (テスタ)時代、かぁ。今と比べると2000年代はたくさんのトレーダーがいましたよね。その中でもcisさんの成績は飛び抜けてすごかったです。今もそうですけど。 (cis)そうね、数字的にはね。 cisさんの特殊能力 (テスタ)どうして最初からあんなにすごかったんでしょう。他の人とここが違うとか、分析されてますか? (cis)資金が少ない頃は信用取引でレバレッジをかけて売り買いして、それに成功したっていうのが結構大きいかな、スタートダッシュに成功したという意味では。あとは……あんまり銘柄にこだわらないで、一番上がりそうな銘柄に集中投資してた。『ちょっとどうなるかわかんないな〜、勢いがなくなったかな〜』ってなったら売って、さっさと他の値動きのよさそうな銘柄に乗り換えていくっていう感じ。銘柄に固執しなかったのがよかったんですかね。 (テスタ)そのスタイルは他の人がまねできなかったものなんですかね。『何かしら自分はこういう特殊能力を持ってるんじゃないか』と思ったことは? (cis)上がると思って1000円で買った株が950円になっちゃったら、明らかに損してますよね。自分の予想と逆に行っちゃってる。そこですぐに950円で売るっていう損切りができない人って、多いと思うんですよ。わかるけどね。精神的にもつらいし、950円になってるから金銭的にも痛いし、しょうがないけど。 (テスタ)損切り、早そうですね。 (cis)僕は、人の心を持ってないんで(笑)。損しても「次はどうしたほうが得か」ってことしか考えてない。 (テスタ)人の心がないって(笑)。 (cis)マイナスが出てしまっても「買った株が下がって失敗してしまったな」なんて思うことはない。それより「次、売ったほうがいいかな? 売らないほうがいいかな? 他の銘柄を買ったほうがいいかな?」って、そんなことばっかり考えてるんです。 (テスタ)本当に「次!」なんですね。 (cis)普通の人は「損したくない」「何パーセント儲けたい」「いくらぐらい利益が出たらいいな」って思ってるでしょ。でも僕はいくら儲けてもいくら損しても、『次はこれを売ったほうがいいのか、どの銘柄がいいのか』ってことばっかりなんで、その辺がちょっと違うのかもしれない。 期待値で考える (テスタ)最初からそういう考え方だったんですか? それとも、そう考えられるように訓練したからですか? (cis)う〜ん、どうなんだろうな(と考え込む)。もしかしたら、若い頃、アルバイト代わりにパチプロみたいなことをやっていたのが役に立ってるかも。 (テスタ)へぇ。 (cis)パチンコ台のスペックと1000円当たりの回転率から想定される時給と日当を自分なりに割り出すのよ、期待値として。当時13時間とかぶっ通しでパチンコを打って、日当感覚で稼いでたんだけど。日当の期待値が6万円から8万円のときなんて、もうず〜っと打ってました。期待値が高い台だと1回も当たらないってことはめったにない。 (テスタ)(無言で聞き入る) (cis)でも、当たらないときは本当に当たらなくて。日当の期待値が8万円と思っていた台で10万円損することもありました。結局、期待値が高い台をやり続けることが僕の唯一の必勝法になった。しまいには期待値8万円の台をず〜っと打って、10万円損してしまっても『いや〜、いいお店だったな』みたいな気持ちで店を出るようになった(笑)。 この記事をはじめ資産運用関連の記事がたっぷり読める「AERA Money 2024春夏号」が発売されました。ぜひこのページ一番下のリンクからどうぞ!   (テスタ)ほとんど修行ですね(笑)。 (cis)ほんと、そんな感じよ(笑)。若くて多感な時期に毎日、そんなことをパチンコ屋でやっていたのが修行になったのかも。 (テスタ)う〜ん、なるほど、なるほど。それは確かにありそうですね(と、かなり納得した表情)。僕も似たような感覚があって。期待値で考えるのは、たぶん株の世界でもパチンコの世界でも大事なことかなと思います。 ※第2回目(全4回)に続きます (構成/安住拓哉、中島晶子・AERA編集部) 本記事が丸ごと読める「AERA Money 2024春夏号」はこちら ***** cis(シス)/1979年3月生まれ。法政大学卒業後、会社員として働く傍ら、2002年に貯金300万円を元手に株式投資をはじめる。資産6000万円に到達した2004年に会社を辞め、専業トレーダーに。2007年に50億円の資産を築き、デイトレーダー界のスターになる。X(旧Twitter)のフォロワー数は62万人超(2024年4月現在)。2024年3月現在の資産は「270億円ぐらいかな」。メディア取材はほぼすべて断っているが、今回の対談は特別 テスタ/兵庫県生まれ。2005年に株式投資の世界に飛び込み、専業トレーダーに。最初はスキャルピング(超短期取引)を中心としたデイトレードからスタート。ITバブル崩壊、リーマン・ショックなど、幾多の市場暴落で退場するトレーダーが続出する中、寡黙に荒波を乗り越えてきた。2021年8月に総利益50億円を達成、2024年2月に同100億円を達成。投資先のメインは日本株、先物 編集/綾小路麗香、伊藤忍 ※『AERA Money 2024春夏号』から抜粋
AERA Moneyテスタ日本株新NISAアエラマネー2024年上半期ランキング
AERA 2024/07/05 17:00
資産270億円cis×利益100億円テスタ対談「(2人とも)金持ちなのになぜまだ稼ぐ?」最終回
中島晶子 中島晶子 安住拓哉 安住拓哉
資産270億円cis×利益100億円テスタ対談「(2人とも)金持ちなのになぜまだ稼ぐ?」最終回
cisさんとテスタさん(撮影/朝日新聞出版写真映像部・上田泰世)   総資産270億円のレジェンド投資家・cisさんと利益100億円投資家のテスタさんの対談最終回(全4回)。今回はcisさんの髪の毛が一時期だけ抜けたときの話、「なぜ2人とも十分お金があるのに、まだ稼ぐのか」について。 (本記事はアエラ増刊「AERA Money 2024春夏号」掲載対談の続編として未公開部分を載せています)   【cisさんはハゲたことがある編】 (テスタ)ところで、全然、相場を見ない日ってあるんですか? (cis)それはない。 (テスタ)旅行は行かれるんですか? (cis)海外旅行に行くことはあるけど、コロナ後はまだ行ってない。そろそろ行きたいかな。 (テスタ)海外で時差があっても、夜中に1回くらいは株価をチェックしますか? (cis)1回どころじゃなく、前場は全部見ちゃう気がする(笑)。 (テスタ)ヨーロッパに行って、時差で時間が全然違っていても平日だったら見ちゃう感じですか? (cis)見ちゃう感じ(笑)。 (編集部)さすが「今は普通の人の10倍(のモチベーション)」だけのことはある(笑)。 新婚旅行中も株 (cis)前場ぐらい見るでしょ。だって、前は新婚旅行でゴールデンウィークに海外に行ったときでも、祝日の谷間の平日は飛行機で(日本に)とんぼ返りしてパソコンでトレードして、また祝日になったら飛行機で海外に戻ってたからね(笑)。 (編集部)新婚旅行中に!? (cis)うん。ゴールデンウィークに穴あきで平日が2日か3日あったから、株のために新婚旅行先から帰ってきてました。乗り物酔いするんで、ほんと迷惑な平日だなと思いつつ、トレードしてまた新婚旅行に戻る(笑)。 (テスタ)平日に日本に戻ったときは奥さんと2人で? (cis)いや1人。 (テスタ)え〜〜っ。 cisさんの爪がマニュキュアを塗りたくなるほど美しかった(撮影/朝日新聞出版写真映像部・上田泰世)   (編集部)奥さん、怒らなかったんですか? (cis)忘れました。 (テスタ)それだけ仕事に真剣っていうことで、怒りたくても怒れないとか……。 (cis)さすがに今はそういうことはしないよ。そのときはトレードが楽しすぎただけ。でも、体調は悪かった。 (テスタ)えっ、病気の時期があった? (cis)いつもおなかが痛くて月の半分は下してるし(下痢)、どんどん髪の毛がなくなってさ。一時期、若ハゲみたいになってた。楽しいけどストレスはあったのかもね。 (テスタ)ハゲって……。 (編集部)今はこんなにフサフサなのに信じられない……。 俺の(髪)じゃねえか (cis)日常的に髪が抜けてたのよ。風呂場の排水溝に、やけに髪の毛がたまってるから「うわぁ、この髪すげ〜な〜」と思いながら鏡を見たら、「俺の(髪)じゃねえか」みたいな(笑)。でも株は楽しかったのよ。楽しくてもストレスはあるってことなのかも。 【cisさんが暗号資産を語る編】 (テスタ)今も相場を見るのは楽しいですか? (cis)楽しいよ。今は根を詰めないようにしてるし。 (テスタ)Xは、もう飽きちゃったんですか? この間(3月7日に「〈日経平均〉全部降りた」の投稿)は9カ月ぶりだったようですが。 (cis)うん、Xはよくないことがあるから足が遠のいた。さっきも言ったけど、詐欺系の人や「お金貸してください」「支援してください」系の人が寄ってくるし。フォロワーが多い(2024年4月末現在、62万人)から、事業をやってる知り合いから「これをつぶやいてくれよ」と頼まれて、「そういうのやってないです」って断るのも面倒で。でも1日に何回かはチェックしてるんで、テスタの(投稿)は目に入るよ。 (テスタ)情報収集はXが中心ですか? (cis)そう。 (テスタ)テレビは見ないんですか? 日経なんちゃらみたいなニュースは。 (cis)たまに見るけど、情報収集のためじゃないね。世の中の出来事が、ニュースではどう捉えられてるのか、どんな感じで報道されてるのかを見る感じ。 (テスタ)ユーチューブは見ますか? 自身の記録を塗り替えるため株式投資を続けるテスタさん(撮影/朝日新聞出版写真映像部・上田泰世)   (cis)相場関係の動画は全く見ない。趣味のゲーム動画や、プロレスの試合は見る。 (テスタ)仮想通貨(暗号資産)やFXは今もやってるんですか? (cis)口座は閉じてないし、お金も入れてるけど、税金の絡みもあってほとんどやってない。 (テスタ)「気が向いたらFXちょっとやる」ことは、あるんですか? (cis)為替ねぇ。ちょっとはやるけど、値動きが繊細すぎるんだよね。いろんな人がやってるから。海外要因とか、需給以外で値が動くことも、やたらあるし。しかもよく滑る(売り買いのスプレッドと取引の約定価格がずれる)し、コストも安くないよね。結局、先物と現物(個別株)がいいかな。 ビットコインを買った理由 (テスタ)前にcisさんはビットコインをトレードしてましたよね。なぜ仮想通貨を買ってたんですか? (cis)上がりそうなのがあると買っちゃうってことなんだよ。もう買わずにはいられないみたいな(笑)。 (テスタ)僕もcisさんも、たとえば不動産とか、畑が違うところは触らないじゃないですか。僕はビットコインも畑が違うと思って気にしてなかったんですが、cisさんは触ったんですね(笑)。 (cis)10年前(2014年)にマウントゴックス(当時、大手暗号資産交換業者)がハッキング被害に遭って、破産して、ビットコインが暴落したのよ。で、「これ買いなんじゃないか?」と気になって値動きを見ちゃってた。 (テスタ)マウントゴックスがきっかけで見るようになって、本気で盛り上がってきたからちょっとやった感じですか? (cis)ビットコイン自体が世界的に有名になりだしたからね。これだけ「ビットコイン、ビットコイン」と騒がれてて、まだ時価総額が3兆円、4兆円なんて安いんじゃないかな、と。 (テスタ)時価総額で考えるんですね。 (cis)そのときは、そう。 (テスタ)今はもう1ビットコインが1000万円じゃないですか。さすがにそこまで上がるとは予想してなかったですよね。 (cis)全然わかんなかったよ。わかってたら、くすぶってないよ(笑)。 「ニッポン 新時代」に向け日本株も新たなステージへ(撮影/朝日新聞出版写真映像部・上田泰世)   【もうお金必要ないんじゃ?編】 (編集部)最後に一つ聞かせてください。テスタさんは総利益100億円、cisさんは総資産270億円。そんなにお金があるのに、なぜまだ投資をするんですか? (テスタ)はい、では僕から答えますね。自己最高記録を出した瞬間が最高に楽しいからです。いつも過去最高利益を目指してやってます。 遊ぶより、おいしいごはんを食べるより、過去最高利益を更新した瞬間が人生で一番テンションが上がります。自分の中で「よしっ」って思えるから投資を続けています。 その瞬間をいっぱい味わいたいから、高値からのドローダウン(下げ幅、下落率)が大きくても、また高値を目指しますし、高値を突破したら、「また次の高値を」って。僕はそこがモチベーションでやってるんです。 お金を増やしたい、使いたいというより、記録を更新したい。 ゲームや漫画にお金 (cis)「なんで投資するか?」か。生きるだけなら月10万円もあれば十分なんだろうけど。 会社員の人たちは、10万円じゃ足りないから、それ以上稼ぐためにがんばってるわけですよね。 僕もみんなと同じように、今の資産じゃ全然足りないってことですね。まだまだ、やりたいことがあるし。 (テスタ)そんなに、やりたいことが残ってるんですか? (cis)あともう2桁ぐらい、兆単位のお金を持ってたら、ゲームや漫画のタニマチみたいなことをしたいと思ってたのよ。自分が、ゲームも漫画も好きなので。 この前、『コミックバンチ』っていう漫画(雑誌)の紙版がなくなりましたが(ウェブ版に移行)、もし兆単位のお金を持っていたら、「みなさん、このお金でどうか描いてくださいよ」ってやりたいし。 (テスタ)なるほど。どちらかというと自分の欲じゃなく、みなさんのため? (cis)そこまで美しい感じでもない。みなさんのためにもなるけど、自分も楽しいから、自分のためでもあるでしょ。 ゲームもそう、漫画もそう。おもしろい文化ってスポンサーがいたほうが育つ気がするから。そういうことを、小規模でもいいからやりたい。 二人は年齢がほとんど変わらない(撮影/朝日新聞出版写真映像部・上田泰世)   (編集部)素敵です。 (テスタ)cisさんって、これまでの人生でどれぐらいお金を使いましたか? (cis)50億円から100億円ぐらいかな。 (テスタ)50億円と100億円って、全然違いますけど(笑)。 (cis)それが難しいのよ。「知り合いと会社をつくってそれがうまくいかなくて、倒産して10億円なくなってしまった」は投資なのか趣味なのか使い果たしたのか、というような。 (テスタ)その10億円は投資で稼いできたわけですもんね。 (cis)あとさ、趣味で買った、そこそこ高価なものは? レアなものは売ろうと思えばメルカリやヤフオクで売れるわけ。そういう換金できるものはお金を使ったことになるのか。それとも、いつでも売れるからお金を使ったことにはらないのか、とかね。 (テスタ)資産価値があるものってことですね。 (cis)お金って、買い物や飲み食いで消えるけど、いざとなったら売れるものは「資産」なのか「使い果たし済み」なのか。まあ、50億〜100億円使って買ったものの大半はきれいさっぱり「ない」けど(笑)。 (テスタ)ということは、利益ベースでは軽く300億円を超えてるんですね。 (cis)そうね。 ゲーム課金に「億」 (テスタ)cisさんの「270億円」というのは現在の資産残高ですもんね。僕は「稼いだ利益」で言ってるから、100億円達成といっても使った部分もあるわけで。cisさんと同じように資産残高でいえば80億円ぐらいしかない。 (編集部)「80億円ぐらいしか」って(笑)。 (cis)まあ、ゲームには1年間で1億〜3億円ぐらいはつぎ込んでるんで、もったいない気がするけど(笑)。 (テスタ)ゲーム課金にゼロ8個(笑)。 (cis)ゲーム会社も利益があればいろいろできるから、俺みたいな遊び方をするやつがいてもいいんじゃないかと。ゲームも、サーバー代、プログラマー代、イラスト代、声優さん代、いろいろかかるから。 儲かる業界のほうが優秀な人も来るし、社員さんのやる気も出るし。自分が好きな分野にお金を使うの、いいよね。ゲーム課金はもったいないから人には勧めないけど。 本記事が最初から読めるアエラ増刊「AERA Money 2024春夏号」が好評発売中。Amazonや楽天ブックスなどのネット書店では「アエラマネー」で検索して、この表紙を探してください!(編集部より)   (テスタ)もう、スケールが違うわ。 (cis)いやマジで、ゲームに億はよくない(笑)。 (テスタ)ゲームは何も残らない、いや、思い出ぐらいしか残らないですもんね。最後に僕からも質問です。なぜ今回、15年ぶりに雑誌に出てくれたんですか? (cis)頼まれたから出たんです(笑)。KADOKAWAで本を出したときも、知り合いから頼まれた。でも、知り合いから頼まれても出ないときは出ない。知らない人なら、もっと出ない。 (テスタ)僕はcisさんとこうやって対談させてもらうのが夢だったんです。何かのタイミングで、2人で株の話をさせてもらえたらとずっと思ってきました。恐れ多くて、なかなか言えなかったんですけど。今回の100億円突破のタイミングで言わなかったら、もう一生言えないと思ったんで。本当にうれしいです。ありがとうございます。 株の成功で納税 (cis)株は、稼げるから。テスタもそうだけど、若くて優秀な人が投資の世界でどんどん成功してくれたら、業界にとってもいい循環になるよね。株の成功者はいっぱい納税するし、いろいろいいんじゃないでしょうかね。 ※テスタさんのことを「若い」とかなり意識してお話しくださったが、cisさんとテスタさんはそこまで年が変わらない(cisさんのほうが少しだけ上)ことが対談後にわかった (構成/安住拓哉、中島晶子・AERA編集部) ★本記事は最終回です。第1回~第3回のタイトル一覧★ 第1回/資産270億円cis×利益100億円テスタ対談「5年で1200万円を50億円に増やした特殊能力とは」 第2回/資産270億円cis×利益100億円テスタ対談「伝説のB・N・Fさん」ジェイコム誤発注事件のとき俺は… 第3回/資産270億円cis×利益100億円テスタ対談「cisさんが長期保有で買ったことがある銘柄」は? 第4回(当記事)/資産270億円cis×利益100億円テスタ対談「(2人とも)金持ちなのになぜまだ稼ぐ?」最終回 ***** cis(シス)/1979年3月生まれ。法政大学卒業後、会社員として働く傍ら、2002年に貯金300万円を元手に株式投資をはじめる。資産6000万円に到達した2004年に会社を辞め、専業トレーダーに。2007年に50億円の資産を築き、デイトレーダー界のスターになる。X(旧Twitter)のフォロワー数は62万人超(2024年4月現在)。2024年3月現在の資産は「270億円ぐらいかな」。メディア取材はほぼすべて断っているが、今回の対談は特別 テスタ/兵庫県生まれ。2005年に株式投資の世界に飛び込み、専業トレーダーに。最初はスキャルピング(超短期取引)を中心としたデイトレードからスタート。ITバブル崩壊、リーマン・ショックなど、幾多の市場暴落で退場するトレーダーが続出する中、寡黙に荒波を乗り越えてきた。2021年8月に総利益50億円を達成、2024年2月に同100億円を達成。投資先のメインは日本株、先物 編集/綾小路麗香、伊藤忍 ※『AERA Money 2024春夏号』から抜粋
AERA Moneyテスタ日本株新NISAアエラマネー
AERA 2024/06/22 17:00
資産270億円cis×利益100億円テスタ対談「cisさんが長期保有で買ったことがある銘柄」は?
中島晶子 中島晶子 安住拓哉 安住拓哉
資産270億円cis×利益100億円テスタ対談「cisさんが長期保有で買ったことがある銘柄」は?
cisさんとテスタさん(撮影/朝日新聞出版写真映像部・上田泰世)   総資産270億円のレジェンド投資家・cisさんと利益100億円投資家のテスタさんの対談第3回(全4回)。今回はcisさんが長期保有している個別株(銘柄名入り)の話、最近のcisさんの「投資へのモチベーション度合い」について。cisさんモチベ全盛期の話もおもしろい! (本記事はアエラ増刊「AERA Money 2024春夏号」掲載対談の続編として未公開部分まで載せています) 【cisさんが長期投資中の銘柄編】 (編集部)テスタさんは長期投資もしていらっしゃいますが、cisさんは? (cis)5分で売ったり買ったりはもうできないんで、いろんなことを分析して、どっしり構えた投資も本格的にやったほうがいいのかなと思ってはいますね。長期投資で何銘柄かは持ってるけど、うまくいくかどうかわからない。 (テスタ)たとえば、これまでどんな銘柄を買いましたか? (cis)菅(義偉〈すがよしひで〉)前首相が2018年(官房長官時代)に携帯電話料金を下げろ」みたいなことを言って、ソフトバンク、KDDI、NTTドコモ(2020年12月25日上場廃止)がめっちゃ下がったとき、「ちょうどいい買い時かな〜」って、配当利回りも見て買ったことはあります。 携帯料金を下げたら利益は少なくなるかもしれないけど、格安携帯の会社がもっとギリギリで経営されているのに比べればマシかなと。 (テスタ)なるほど。 任天堂2兆円台で買い (cis)日本の会社だからって日本の中だけで経営や経済が動いているわけじゃないし、政治家が無理やり企業の利益を落とすのにも限界あるかな、とも思ったな。 携帯キャリアという業態は世界的に見ても大きいと思ったのも買った理由です。 (テスタ)携帯キャリアの株以外では? (cis)昔、任天堂が「ポケモンGO」で世界的に人気だったとき、時価総額が2兆円台(2024年4月現在、約10兆円)だったのね。2兆円でスーパーマリオやポケモンのコンテンツを持ってるのって安いんじゃないかと思って(任天堂を)買いました。 自分なりにこの企業はよさそうという銘柄を長く持ってるけど、どうなるかな。今のところ任天堂はうまくいってます。携帯(キャリア)の株はインデックスと同じか、それよりちょっと下ぐらいしか利益がない。 cisさんを見るテスタさんは瞬きが少なかった(撮影/朝日新聞出版写真映像部・上田泰世)   (編集部)テスタさん、読者の代わりに「cisさんの視点」を聞いてますね(笑)。 【cisさんのモチベーション編】 (テスタ)2023年3月の「投資戦略フェアEXPO2023」というイベントでひろゆき(西村博之)さん、むらやんさんと一緒にオンラインでcisさんとお話をさせてもらいましたよね。 「全盛期のモチベーションを10とすると、今はどれぐらいですか」と質問したら、cisさんは「今は1以下」っておっしゃいました。 ―つまり全盛期と比べて今は10分の1しかモチベーションがない、と。 今もモチベ10分の1 (テスタ)最近はその(モチベーションの)数字ってどれくらいですか? (cis)最近も1ぐらいかな。だって全盛期は楽しくて楽しくて。朝9時から午後3時の場中(取引時間中)なんて一瞬で終わって、「あれ、もう終わり?」ってなってたから。 (テスタ)イベントで話したときが「0.8」だとしたら、そこからは減ってますか? 増えてますか? 同じですか? (cis)低空飛行。今も同じ。 (テスタ)そこからさらに下がって「ゼロすれすれ」にはなってないんですね。 (cis)うん、そうだね。 (テスタ)cisさんは「自分の中で何かしら大チャンス(の投資先)が見つかったら、全資産に近い金額を投入して大勝負してもいい」っておっしゃってました。その気持ちも変わらないですか? (cis)やりたいよね。「うわっ、これ、行くしかないだろう」って思いたいよね。そう思えるチャンスが来てほしい。 (テスタ)ここ数年で、それに「近いもの」もなかったですか? (cis)この前、日経平均が3万4000円を超えたところで相当買ったんだけど、そのときは本当に何回もナミナミ(レンジ相場で細かく上下動すること)で、かなり損切りもした。 日経平均の先物ラージも200〜300枚スタート(投資金額にして約70億〜約100億円)で、下がったらすぐ損切りする前提だったけど。少し余裕ができたら、また200枚、300枚と買い増し。 (テスタ)日経平均先物で数百億円を動かした? 本記事が丸ごと読める「AERA Money 2024春夏号」はこちら 会うたびにイケメン度が増すテスタさん(撮影/朝日新聞出版写真映像部・上田泰世)   (cis)まあ、先物だから。リスク的にはだいたい日経平均の40〜50%オフになるイメージでしょ。全財産のリスクを取ってるわけじゃない。 (テスタ)全財産のリスクを取りたいと思ってるんですか? (cis)めちゃくちゃいいときがあったらね。10億円ぐらいは手元に置いといて(笑)。 (テスタ)10億円ぐらいじゃ、今のcisさんの生活は支えられないじゃないですか(笑)。 (cis)大勝負をしてそれが完全敗北してしまったならば、もう節約するしかない(笑)。 (テスタ)節約を覚悟してまで(相場を)張る必要はないように思うんですけど。 (cis)だから相当なチャンスじゃない限りはやらずに、じわじわ増やす。もしこれから先、海外と国内の要因が何らかの理由で全部重なって、自分なりに「行くしかない」と思ったらやる。 寝る間際まで株価 (テスタ)cisさんはまだ資産を伸ばそうとしてるんですね。モチベーションも10分の1以下っておっしゃるし、もうcisさんはお金を増やすつもりがないのかなと思ってました。 (cis)10分の1っていっても、全盛期のときが普通の人の100倍だから。そこからすると、普通の人と比べたら今は10倍なのかもね(笑)。 (テスタ)実は10倍ですか(笑)。 (編集部)全盛期のときの「普通の人の100倍」も気になります(笑)。 (cis)全盛期は、寝るとき、横にパソコンのモニターを置いて、マイクロソフトとかアメリカ株の銘柄の値動きを表示させて、それを見ながら「あ〜上がってんな〜、下がってんな〜」って眺めながら寝るのが日課だったよ。 (テスタ)寝る間際までアメリカの株価をチェックしたかったんですね(笑)。 (cis)それが楽しかったんじゃない? 値動きがおもしろいから覚えられる。覚えると、うまくいくから楽しくなる。楽しいからずっと見てるっていう、いい循環だよね。 仕事というより趣味みたいなもんで。だって意味ないじゃん、寝る前までモニターで株価見ても(笑)。 (テスタ)誰よりも気になるから(笑)。 東京証券取引所の粋なはからい(撮影/朝日新聞出版写真映像部・上田泰世)   (cis)もっときれいな画面で見たくなって、寝るとき用にいいパソコンを買ったのよ。そうしたら結構、音がするわけ。「さすがにうるさくて寝れねぇなぁ」って(笑)。 今度はスペックが低くて音も静かなパソコンを買い直して、アメリカ監視用に使ってました。 (テスタ)おもしろすぎる。 ※第4回目(最終回)に続きます 本記事が丸ごと読める「AERA Money 2024春夏号」はこちら​ 新規上場時の「鐘」の前でもパチリ(撮影/朝日新聞出版写真映像部・上田泰世) (構成/安住拓哉、中島晶子・AERA編集部) ***** cis(シス)/1979年3月生まれ。法政大学卒業後、会社員として働く傍ら、2002年に貯金300万円を元手に株式投資をはじめる。資産6000万円に到達した2004年に会社を辞め、専業トレーダーに。2007年に50億円の資産を築き、デイトレーダー界のスターになる。X(旧Twitter)のフォロワー数は62万人超(2024年4月現在)。2024年3月現在の資産は「270億円ぐらいかな」。メディア取材はほぼすべて断っているが、今回の対談は特別 テスタ/兵庫県生まれ。2005年に株式投資の世界に飛び込み、専業トレーダーに。最初はスキャルピング(超短期取引)を中心としたデイトレードからスタート。ITバブル崩壊、リーマン・ショックなど、幾多の市場暴落で退場するトレーダーが続出する中、寡黙に荒波を乗り越えてきた。2021年8月に総利益50億円を達成、2024年2月に同100億円を達成。投資先のメインは日本株、先物 本記事が最初から読めるアエラ増刊「AERA Money 2024春夏号」が好評発売中。Amazonや楽天ブックスなどのネット書店では「アエラマネー」で検索して、この表紙を探してください!(編集部より)   編集/綾小路麗香、伊藤忍 ※『AERA Money 2024春夏号』から抜粋
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AERA 2024/06/15 17:00
資産270億円cis×利益100億円テスタ対談「伝説のB・N・Fさん」ジェイコム誤発注事件のとき俺は…
中島晶子 中島晶子 安住拓哉 安住拓哉
資産270億円cis×利益100億円テスタ対談「伝説のB・N・Fさん」ジェイコム誤発注事件のとき俺は…
cisさんとテスタさん(撮影/朝日新聞出版写真映像部・上田泰世)   総資産270億円のレジェンド投資家・cisさんと利益100億円投資家のテスタさんの対談第2回(全4回)。今回は3ケタ億円トレーダー2人が、レジェンド投資家「B・N・Fさん」の話、cisさんが日経平均を動かした(?)話。 (本記事はアエラ増刊「AERA Money 2024春夏号」から抜粋しつつ、未公開部分も掲載しています) 【昔を振り返る編】 (編集部)テスタさんにとってcisさんは憧れだったんですか? (テスタ)それは、もう。cisさん、この雑誌の記事、覚えてますか?(と、マネー誌『ダイヤモンドZAi』2007年10月号を取り出す。cisさんがカリスマトレーダーの「ジェイコム男」ことB・N・Fさんと対談した記事が掲載されている) (編集部)うわっ、懐かしい! この記事、覚えてます!(と興奮する編集担当N) (テスタ)あのB・N・Fさんとの対談写真です。ここにcisさんの資産が50億円って書いてあるでしょう。B・N・Fさんは7年で175億円とか書いてあるし。当時は本当にびっくりしたんです。 (cis)ああ、なんか、あったね。(17年も前の記事なのに「懐かしい」などの反応が非常に薄い) 2007年に50億円突破 (テスタ)僕、この記事が好きで、強烈に覚えていて、スマホで撮って大事に持ってたんです。(記事内の写真の)モニターなんか、縦横比率も今と違ってて、しかもすごく小さいじゃないですか。こんなモニターでよくやってたなって。 (cis)そうね、小さいね。(反応薄い) (テスタ)cisさんはこのとき50億円で、今は270億円かぁ。すごいなぁ。ところで、メディア取材はいつぶりなんですか? (cis)一番近いところでは、本を出すためにKADOKAWAさんからインタビューされたとき(※)かな。その前はブルームバーグの取材が最後かな? すごい昔で、いつだったか忘れたわ。 ※cisさんの唯一の本『一人の力で日経平均を動かせる男の投資哲学』(KADOKAWA)は2018年12月に発売されベストセラーに。なおブルームバーグ以外でも、一部コメントの形で別記事に登場なさっている 写真を撮るときだけ編集部が作ったオリジナルうちわを(定規……)(撮影/朝日新聞出版写真映像部・上田泰世)   (編集部)確かブルームバーグは「謎の(36歳) デイトレーダー」の記事ですね。(後日調べた結果、2015年8月に掲載) (cis)さっきの雑誌に記事が出ていたB・N・Fさん。いろいろテレビにも出たりして、自宅の前に人が来すぎて、その自宅を捨てちゃったんですよ。僕は個人情報を出してないので誰かが家に来るってことはないけど、(X=旧ツイッターの)DMで「お金貸してください」とか「出資してください」ってのは来るね。 (テスタ)わかります。 「頻繁発信の人ほどアレよね」 (cis)ネットでオンラインゲームをやっていたつながりで、「どうしても会わせたい人がいる」って紹介されて、会ったことがあるのね。話を聞くと、詐欺師……かどうかわかんないけど、最終的に「お金振り込んでください」という話になったこともあって。 だから、メディアに出るのは抑えることにした。顔や名前を売ってるわけではないし、出て得することははっきり言ってほぼないから。 (編集部)テスタさんは投資詐欺撲滅のため、みんなにもっと投資のことを知ってもらうためにメディアに出ています。 (cis)テスタは正しいだろうと思われることを前向きに発信してるんで、偉いよね。大したもんだと思いますよ。 (テスタ)えっ!? 褒められた!(とてもうれしそうに、でもちょっと照れて、はにかむ) (cis)この業界、頻繁に発信している人ほどアレよね。変なこと言ってるか、うさんくさいか、どっちかだから。もっと言えば、結局は商売でやってる「相場芸人」か、詐欺師か、アフィリエイター(成果報酬型広告で稼いでいる人)。テスタみたいにまともなことを発信する人は貴重だと思います。 (テスタ)Xで僕のアカウントなんか、たまに見てくれることもあるんですか?(〈僕のアカウント〉「なんか」「たまに」と細かいところで非常に謙虚) (cis)見てるよ。 (テスタ)うれしい!(顔が輝く) (cis)だって(Xに)流れてくるから。 (テスタさんの顔が輝いているのにあっさりした反応のcisさんが妙におもしろい) 長年テスタさんを取材しているが、こんなに一生懸命話しているテスタさんは初めて見た(いつもが不熱心というわけではありません)(撮影/朝日新聞出版写真映像部・上田泰世)   【すごすぎるB・N・Fさんを語る編】 (テスタ)B・N・Fさんの話に戻しますが、ジェイコム誤発注事件(※)のときのことは覚えてますか? ※2005年12月8日、東証マザーズ(当時)に新規上場した人材派遣会社ジェイコムの株に対し、みずほ証券が発行済み株式数をはるかに上回る大量の売り注文を誤って発注したことで株価がストップ安まで暴落した事件。十数分後にはみずほ証券が買い戻し注文を入れ、今度はストップ高まで株価が上昇。B・N・Fさんやcisさんは異変にいち早く気づき、素早くジェイコム株を売り買いし、莫大な利益を得た (cis)ジェイコムの、あの瞬間ねえ。俺はビビって、そんな全部はやってないのよ。ストップ安からストップ高まで行った当日に利食ったり(利益確定)してるから。ちょっと、しょぼいの。だいぶ守備寄りっていうか。ジェイコム事件は相当特殊だし。 倒産寸前のボロ株に数十億円 (テスタ)B・N・Fさんとcisさんのトレードスタイルは似てるんですか? 全然違うんですか? (cis)彼も基本的には需給の人だったけど、リーマン・ショックとか何ちゃらショックのとき、相場を一瞬で分析して「いける」思ったらとことん突っ込む馬力がすごかった。 (テスタ)cisさんから見て「すごい」なんて、相当すごいですね。 (cis)だってさ、B・N・Fさ、リーマン・ショックでファニーメイとフレディマック(※)が法的整理されるかもしれないニュースが流れた数時間後にアメリカの市場が開いて、その瞬間に2銘柄とも注文入れてんのよ? 確か1ショット何千万円しか取引できない銘柄で、突っ込んだ資金はたぶん数十億円レベル。それを倒産しそうなボロ株に……。半端ないなと思った。 ※ファニーメイとフレディマック…ともに民間金融機関の住宅ローン債権を買い取ることで信用保証や資金供給を行っていたアメリカの政府系金融機関。リーマン・ショックで大打撃を受けた (テスタ)それは、パないです(笑)。 (cis)企業が復活するかどうかを見極めるスピードと、そこに総資産の半分以上をぶち込むスピードが速い、彼は。すごく速い。 2007年にテスタさんが驚愕したcisさんとB・N・Fさんの対談記事、のコピー(撮影/朝日新聞出版写真映像部・上田泰世)   (テスタ)考えるスピードが速いんだろうな。多角的に物事を把握する能力が優れているんですかね。 (cis)どうなんだろうね。B・N・Fと相場の話をすると、「あのとき、175ヤリ(ヤリ=「売り気配」のこと)になったじゃん」とか、1〜2年前の値動きのことを平気で言ってくるのよ。 聞いてる側は「あっ、そうだっけ」としか言えない。で、たまたま自分も覚えてるときがあったんだけど、数字は全部合ってた。「こいつ、ホントに正確に覚えてるじゃん」ってびっくり。 彼とは全然仲良くないですが(笑)。昔、何回か会ったけど、この雑誌(『ダイヤモンドZAi』2007年10月号)が最後かな。 連絡先もわからない (編集部)B・N・Fさんのトレードの癖とか特徴をよくご存じなので、普段しゃべりながらトレードをしていた時期があったのかと思いました。 (cis)B・N・Fとはごはんを食べに行って株の話をしたぐらいよ。 (テスタ)今は連絡先もわからない? (cis)どうしてるのかな。ちょっと気になるよね。 (テスタ)雑誌にもパタッと載らなくなったじゃないですか。『四季報』の大株主欄に名前がちょこちょこ出ていたのに見なくなってから、何年もたちますね。アメリカのほうに行ったか、日本株でも超大型株しかやらなくなったのか……。 (cis)どうなんだろう。少なくとも投資をやめてはいないと思うよ。B・N・Fもかなりの「相場好き」だから、今も何かしら、やってるはずよ。 (テスタ)やっててほしいっていう気持ち、僕はあります(笑)。 (cis)確かに(笑)。 【cisさん、日経平均の天井を言い当てる編】 (編集部)先日(2024年3月7日)、cisさんがXに「今日の前場で超長期以外いったん全部降りた 長い戦いは終わった」と投稿されました。実際、その日の日経平均は終値で前日比492円安、取引時間中の高値から終値までの下落幅は873円に達し、見事に天井を言い当てた形になりました。その日が上昇相場の頂点だとわかったのはなぜですか? (cis)たまたまですね。 「cisさんとテスタさんの対談・撮影をさせてください(タダで)」というAERA担当編集の無茶なお願いを快諾。さらに涙モノの演出までしてくれた東京証券取引所さん、本当にありがとうございました!(撮影/朝日新聞出版写真映像部・上田泰世)   (編集部)え〜! そのときどんな気持ちで投稿されたのか聞きたかったんですが……。本当にたまたまだったんですか? (cis)あれはたまたまですよ。その後にちょっと売って儲かったり、数億円損したりしました。 (テスタ)売るときは感覚で売るほうが多いんですかね。 (cis)感覚というか、う〜ん、すべてを言葉で説明できないんですけど……。あの日(3月7日)は、ほぼ寄り天(寄り付き天井)で終わってた。 (半導体の)東京エレクトロンとかアドバンテスト、中でも特に(時価総額が)デカい東京エレクトロンが思ったより安く寄り付きそうだな〜と思いながら見てて。 寄り(付き)直前に売りがババッと出て、想定よりさらに安く寄ってから、完全な寄り天で下がって。 ちょっとだけ復活しましたけど、また下がってマイナスに戻ったとき、気付けば僕の手はいろんな銘柄を売る動作をしていた、って感じです(笑)。 (テスタ)(真剣に聞いている) 短期投資が非効率に (cis)売るかどうかの判断自体はなるべく正確にしないといけないので、そうやって時価総額が大きく相場を引っ張ってる銘柄が『いや、なんか今日は全然買われてないし、むしろ売られてるし……』みたいな雰囲気のときに売ることも多いです。判断の速さは感覚的なものかも。 (テスタ)僕もあの日、その辺で売ったことは売ったんですが、cisさんよりもっと後。株価がかなり落ちてからだったと思います。ということは、cisさんは先物以外に個別株も少しは取引(※)されるんですね? ※cisさんは取引量が非常に大きいため、自分の売買で株価に影響が出る個別株取引よりも、機関投資家などが巨額資金で取引している日経平均先物取引〈ラージ〉を主に売買している (cis)うん、個別(株)も取引はしてますが、効率がよくないね。 たとえば10億円や20億円で買うと、自分の買いで株価が上がるでしょ。結果的に自分の買いで株価にゲタを履かせたことになり、売ったら自分の売りで株価が下がるんで。 つまり売ったり買ったりを繰り返すほど損するわけです。 このロット(資金量)だと、『10分後に下げそうだから今、売っちゃうか』といった足の速いトレードは、もうできない。 本記事も読めるアエラ増刊「AERA Money 2024春夏号」が好評発売中。Amazonや楽天ブックスなどのネット書店では「アエラマネー」で検索して、この表紙を探してください!(編集部より)   (テスタ)銘柄も限られますよね。 (cis)時価総額が大きいやつになるよね、どうしても。テスタはアメリカ株なんかにも銘柄分散してるから、すごいなって思いますよ。 (テスタ)アメリカ株は持ちっぱなしなだけですし、そんなに大きな金額ではないです。(だがトータル数億円) (cis)あ、そうなの。 (テスタ)僕も最初はスキャルピング(数秒・数分単位の超短期取引)やデイトレード(1日の間に売り買いする取引)ばっかり10年間やってましたが、資金が増えてからは時間軸を伸ばしました。 (編集部)お2人とも資金が大きすぎて超短期投資が効率的ではなくなったんですね。 日本株は割安 (テスタ)cisさんは、3月に日経平均が4万円台をつけたとき、どう思いましたか?  僕もcisさんも、リーマン・ショックのあとに日経平均が7000円割れまで行くのを見てきたじゃないですか。 その当時、自分が生きている間に4万円まで上がるイメージ、ありました? (cis)そんなイメージ、全然なかった。なかったけど、今が高いとも買われすぎとも思わない。 外国株とか外国債券とか、いろんなものと比べると、今の日経平均はスタートラインとしてちょうどいいのかな、と。 「本当に日本株って成長するの?」って感じだったけど、今は「世界的に見ると割安で業績も安定していて、いいね〜」ぐらいの位置にいる気がする。 (テスタ)(2023年の)年末から今年に入って、日経平均の上げ方がすごく速かったじゃないですか。僕は「新NISAもはじまるし、今年は盛り上がるかな」ぐらいは思ってましたけど、こんなに早く4万円台に乗せるなんて予想外で。 (cis)そりゃ、思わないよね。あんなにグダグダしてさ、何回も跳ね返されて、4万円が見えたときも、「高値更新したら買ってみよう、ダメそうだったら損切りするか」っていう程度だった。 (テスタ)3万8915円のバブル高値を超えた瞬間って、ずっと長くやってこられたcisさん的に何か感じるものはありましたか? (cis)いや、何も。バブル高値がついたのは34年前なんで、その頃は株やってないし。でも当時、日経平均と日経平均先物の価格がすごくカイ離していたという話を聞いて、「だったら先物を売って現物を買えば儲かるんじゃないの」と思ったり。 ※第3回目(全4回)に続きます (構成/安住拓哉、中島晶子・AERA編集部) ***** cis(シス)/1979年3月生まれ。法政大学卒業後、会社員として働く傍ら、2002年に貯金300万円を元手に株式投資をはじめる。資産6000万円に到達した2004年に会社を辞め、専業トレーダーに。2007年に50億円の資産を築き、デイトレーダー界のスターになる。X(旧Twitter)のフォロワー数は62万人超(2024年4月現在)。2024年3月現在の資産は「270億円ぐらいかな」。メディア取材はほぼすべて断っているが、今回の対談は特別 テスタ/兵庫県生まれ。2005年に株式投資の世界に飛び込み、専業トレーダーに。最初はスキャルピング(超短期取引)を中心としたデイトレードからスタート。ITバブル崩壊、リーマン・ショックなど、幾多の市場暴落で退場するトレーダーが続出する中、寡黙に荒波を乗り越えてきた。2021年8月に総利益50億円を達成、2024年2月に同100億円を達成。投資先のメインは日本株、先物 編集/綾小路麗香、伊藤忍 ※『AERA Money 2024春夏号』から抜粋
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AERA 2024/06/08 17:00
資産270億円cis×利益100億円テスタ対談「5年で1200万円を50億円に増やした特殊能力とは」
中島晶子 中島晶子 安住拓哉 安住拓哉
資産270億円cis×利益100億円テスタ対談「5年で1200万円を50億円に増やした特殊能力とは」
cisさんとテスタさん(撮影/朝日新聞出版写真映像部・上田泰世)   総資産270億円のレジェンド投資家・cisさんと利益100億円投資家のテスタさんの対談第1回(全4回)。初回はcisさんが株で成功できた理由(特殊能力?)をテスタさんが探る。メディア取材を受けないcisさんの話は貴重! (本記事はアエラ増刊「AERA Money 2024春夏号」から抜粋しています)  2024年2月16日、獲得総利益100億円を達成したテスタさん。これを祝うべく、スペシャル中のスペシャルゲストをお招きした。  テスタさん自身も熱望していたそのお相手は、ご存じcisさんだ。cisさんといえば現在の総資産270億円のレジェンドトレーダー。メディアにほとんど登場することのないお方だが、今回は特別だ。  対談の舞台は、お2人が日々、トレードに明け暮れてきた主戦場の東京証券取引所。2大カリスマ投資家の夢の対談が、ついに実現した。 【近況編】 (編集部)今回はテスタさんが総利益100億円を達成した記念対談としてcisさんをお招きしました。cisさんの総資産は現在、どれぐらいなんでしょうか? (cis)200億円から300億円ぐらい……かな? (編集部)今はもう数えるのもやめてしまわれましたか? (cis)いや、そんなことはないです。なんとなく把握してますよ。これから損するかもしれないし、税金もあるんで、250億円、いや270億円にしておきましょうか。 (テスタ)おお〜っ、増えてる、増えてる。(と小さな声でつぶやく) 東証に来たのは初 (cis)テスタ、100億円達成おめでとうございます。最近会ってなかったよね。ほんとに、おめでと。 (テスタ)お久しぶりですよね。最初にお会いしたのは、たぶん8年くらい前だと思います。 (cis)あの頃、ゲームセンターでスロットやって遊んだりしたよね。 (テスタ)ごはんも何回かご一緒させていただきました。僕、1回も、1円も払ったことがなくて、毎回、常に、cisさんに出してもらってるんですけど……。 東証に来たのははじめてですか? (cis)はじめてですね。 (テスタ)え〜、そうなんですか。って僕も2回目なんですけど(笑)。意外に来ないもんですよね。 (編集部)あまり知られていませんが、東証の施設は平日午前9時から午後4時半まで(最終入館時間は午後4時)なら誰でも無料で見学可能だそうです。 本記事が丸ごと読める「AERA Money 2024春夏号」はこちら cisさんはスリムな好青年だった(撮影/朝日新聞出版写真映像部・上田泰世)   (cis)昔は年末の大納会に東証へ行くと蕎麦がもらえたらしくて、自分の周りでも行く人がいましたが。12月30日でしょ。冬で寒いじゃない。わざわざ蕎麦もらいに寒さこらえて行くのか、って(笑)。 (テスタ)行ってみようと思ったことはなかったんですか? 1回ぐらい東証を見てみたいとか……。 (cis)ないですね。(サクッ) (テスタ)まあ、僕も用事がないから来なかった(笑)。来るところというより、取引でお世話になっているところだという目で見ていただけ。 板は目視で反応できた (cis)最近は、マイクロ秒とかナノ秒で自動的にバンバン注文が出るじゃない。アルゴリズムトレード(コンピューターシステムが数量やタイミングを決めて自動的に注文を繰り返す高速取引)で動いてるんで、東証の近くのどんな証券会社がそのアルゴのシステムを作っているのか、見に行きたいと思ったことはありますよ。 (テスタ)やっぱり、ナノ秒とかになってくると東証に近ければ近いほど約定(やくじょう)しやすいって理屈になるんでしょうかね。距離がモノをいう感じで。 (cis)そうです。 (テスタ)毎日取引していると、コンピューターの高速売買みたいなのって気になりますか? 昔は今より遅かったし。 (cis)めちゃくちゃ気になる。前は呼び値や板の更新時間を見ていれば楽勝で反応できるぐらいの速度でした。あれ、4秒に1回くらいだったんですかね。 (編集部)2010年にアローヘッドという高速売買システムが導入されました。それ以前は、正確に言うと「2秒に1回更新」という時代がありました。 (cis)2秒だったか。そのときから比べると様変わりしてしまって。パソコンの前に張り付いているから勝ちやすいってことはなくなった気がしますね。今はリスク管理のために決済注文だけはセットしつつ、モニターで取引状況を見てるみたいな感じですね。 【cisさん5年で50億円編】 (編集部)cisさんは元手いくらぐらいで株をはじめたんですか? (cis)最初に入れたのは300万円ぐらいでした。昼間働いて、残業もして、もらえる給料は手取り20万円ちょっとだったかな。当時は実家暮らしだったので5万円を家に入れて、残りは全部(証券口座に)入金してました。 さわやか笑顔のテスタさん、実は緊張もしていたそう(撮影/朝日新聞出版写真映像部・上田泰世)   (編集部)ということは毎月15万円を証券口座に入れていた、と。 (cis)そうですね。開始時点の元手が大した金額じゃないから給料を丸ごと突っ込んでたわけで。 (編集部)cisさんが株をはじめたのは、いつですか? (cis)金融ビッグバン(※)が2000年前後でしょ。そのときに証券口座を開いたのよ。株取引自体は2002年にはじめました。最初は短期トレードって感じじゃなくて「買ったけど失敗」みたいなのが多かったです。 ※金融ビッグバン…1996年に提唱され、2001年にかけて実行に移された金融制度の自由化、グローバル化などの金融システム改革 (編集部)そこから5年後の2007年には資産50億円を達成されていますね。 (テスタ)手取り20万円で、実家に5万円入れて、毎月15万円入金かぁ。最初に300万円を入れて、年間180万円の入金を5年ってことは、財布から出したお金が1200万円。それが5年で50億円って……とんでもないスピード……。 株の手数料1% (編集部)テスタさんが株をはじめたのはいつですか? (テスタ)僕は2005年からはじめました。 (cis)新興イケイケ〜からの、ライブドア・ショックの時期ですね。 (テスタ)ライブドア・ショックが2006年1月。それが株の売買をはじめて半年後ぐらいなんですが、そのときにはもうcisさんってカリスマトレーダーと言われてました。2007年になると、もう確実に有名人。 (cis)当時はメディアに登場するトレーダーが少なかったのもあるかも。株の売買手数料が自由化されて間もない時期だったし。1回の取引で売買手数料を1%とか(※)払ってたら、なかなか個人は勝てないよね。僕は金融ビッグバンのときに20歳になったから、自由化後のトレーダー1期生って感じで。 ※株式の売買手数料が1999年10月に完全自由化される前は約定代金100万円で1万1500円、500万円で4万7500円、1000万円で8万2500円などの固定だった 「cisさんとテスタさんの対談・撮影をさせてください(タダで)」というAERA担当編集の無茶なお願いを快諾。さらに涙モノの演出までしてくれた東京証券取引所さん、本当にありがとうございました!(撮影/朝日新聞出版写真映像部・上田泰世)   (テスタ)cisさんと僕がはじめて出会ったときは、まだデイ(トレード)やスキャ(ルピング)ばかりしていたと思いますが。cisさんから見て、僕はどういう印象でしたか? ※デイトレード…1日の間に売り買いして損益を確定させる取引、スキャルピング…数秒、数分単位の超短期取引 (cis)印象って? (テスタ)僕の中ではcisさんやますぷろさん、降臨さん、三空さんが第1世代なわけですよ。むらやんさん、武者修行中さん、けむ。さん、僕なんかが第2世代っていうイメージなんですけど。 (cis)テスタの印象か。なんとなくだけど、ファンダ(※)と需給(買い〈需要〉と売り〈供給〉の量で売買判断)のハイブリッドタイプなのかな、と。 ※ファンダ=ファンダメンタルズ…業績や指標などで投資判断をすること。直訳としては、経済の基礎的条件 cisさんは需給派 (テスタ)cisさん自身はどうなんですか? 需給だけで売買してますか、ファンダも見ますか? (cis)ほぼ需給だけ。ファンダの情報は倒産リスクとか、公募増資リスクとか、そういうリスク管理に使ってる感じです。あ、リスクとリターンの見積もり用に「同じ業種の銘柄がどのくらいの時価総額なのか」は見たりしますね。「これから業績が伸びそうかどうか」は、あまり気にしない。 (テスタ)それは、cisさんが相場の需給を読んでトレードするのが得意だから、需給メインにしてるんですか? それともcisさんの能力と関係なく「投資で一番効率的なのはファンダより需給だ」と思ってるからですか? (cis)一番効率的かどうかはわからないけど。需給で判断すれば「今買われてる株は現時点で確実に買われているわけだから、自分も買う。ダメそうなら、売る」ってことができるよね。何度も買ったり売ったりを繰り返せるじゃない。 (テスタ)はい。 (cis)でもファンダは……「これから伸びる」「来期の業績がいい」なんて、数年がかりの話だから何度もやり直せない。しかも判断をミスると足踏みになっちゃうでしょ。やっぱり何回も何回も売買して利益を出せたほうがいいと思って、需給のほうに特化したんだけど。 本記事が丸ごと読める「AERA Money 2024春夏号」はこちら 巨大ボードにも対談時だけお二人の名前を入れてくれた東証(撮影/朝日新聞出版写真映像部・上田泰世)   (テスタ)ファンダで売り買いする投資家の友達で井村俊哉くんという人がいます。井村くんはファンダ100%の人で、ここ何年かでバーッて世に出てきて、すごい速さで資産を伸ばしてるんです。いろんな上場企業の大株主に名前が出て、話題になってるんですが。井村くんのことは知ってますか? (cis)井村さん? 詳しくは知らない。ツイッター(現X)で見たことあるけど、真の投資家というか……この会社がいいと思って投資して、あとは信じて待つ、みたいな。 (テスタ)「王道」に見えますか? 僕はcisさんと同じように業績の情報をトレードにあまり使いません。井村くんほどファンダに特化した人を見たことがなかったので、新しいなと思って。 (cis)数年がかりとか、1年単位でもいいけど、「来期の見通しがすごくいい」とかを予想して、なおかつ株価の上昇も当てるっていうのは繰り返しできることじゃないと思う。業績を読んで大きな利益を上げる人が世の中にいっぱいいるかもしれないけど、それで大当たりを何回も出せるとしたら、時代もあるかな、と。 (テスタ)時代、かぁ。今と比べると2000年代はたくさんのトレーダーがいましたよね。その中でもcisさんの成績は飛び抜けてすごかったです。今もそうですけど。 (cis)そうね、数字的にはね。 cisさんの特殊能力 (テスタ)どうして最初からあんなにすごかったんでしょう。他の人とここが違うとか、分析されてますか? (cis)資金が少ない頃は信用取引でレバレッジをかけて売り買いして、それに成功したっていうのが結構大きいかな、スタートダッシュに成功したという意味では。あとは……あんまり銘柄にこだわらないで、一番上がりそうな銘柄に集中投資してた。『ちょっとどうなるかわかんないな〜、勢いがなくなったかな〜』ってなったら売って、さっさと他の値動きのよさそうな銘柄に乗り換えていくっていう感じ。銘柄に固執しなかったのがよかったんですかね。 (テスタ)そのスタイルは他の人がまねできなかったものなんですかね。『何かしら自分はこういう特殊能力を持ってるんじゃないか』と思ったことは? (cis)上がると思って1000円で買った株が950円になっちゃったら、明らかに損してますよね。自分の予想と逆に行っちゃってる。そこですぐに950円で売るっていう損切りができない人って、多いと思うんですよ。わかるけどね。精神的にもつらいし、950円になってるから金銭的にも痛いし、しょうがないけど。 (テスタ)損切り、早そうですね。 (cis)僕は、人の心を持ってないんで(笑)。損しても「次はどうしたほうが得か」ってことしか考えてない。 (テスタ)人の心がないって(笑)。 (cis)マイナスが出てしまっても「買った株が下がって失敗してしまったな」なんて思うことはない。それより「次、売ったほうがいいかな? 売らないほうがいいかな? 他の銘柄を買ったほうがいいかな?」って、そんなことばっかり考えてるんです。 (テスタ)本当に「次!」なんですね。 (cis)普通の人は「損したくない」「何パーセント儲けたい」「いくらぐらい利益が出たらいいな」って思ってるでしょ。でも僕はいくら儲けてもいくら損しても、『次はこれを売ったほうがいいのか、どの銘柄がいいのか』ってことばっかりなんで、その辺がちょっと違うのかもしれない。 期待値で考える (テスタ)最初からそういう考え方だったんですか? それとも、そう考えられるように訓練したからですか? (cis)う〜ん、どうなんだろうな(と考え込む)。もしかしたら、若い頃、アルバイト代わりにパチプロみたいなことをやっていたのが役に立ってるかも。 (テスタ)へぇ。 (cis)パチンコ台のスペックと1000円当たりの回転率から想定される時給と日当を自分なりに割り出すのよ、期待値として。当時13時間とかぶっ通しでパチンコを打って、日当感覚で稼いでたんだけど。日当の期待値が6万円から8万円のときなんて、もうず〜っと打ってました。期待値が高い台だと1回も当たらないってことはめったにない。 (テスタ)(無言で聞き入る) (cis)でも、当たらないときは本当に当たらなくて。日当の期待値が8万円と思っていた台で10万円損することもありました。結局、期待値が高い台をやり続けることが僕の唯一の必勝法になった。しまいには期待値8万円の台をず〜っと打って、10万円損してしまっても『いや〜、いいお店だったな』みたいな気持ちで店を出るようになった(笑)。 この記事をはじめ資産運用関連の記事がたっぷり読める「AERA Money 2024春夏号」が発売されました。ぜひこのページ一番下のリンクからどうぞ!   (テスタ)ほとんど修行ですね(笑)。 (cis)ほんと、そんな感じよ(笑)。若くて多感な時期に毎日、そんなことをパチンコ屋でやっていたのが修行になったのかも。 (テスタ)う〜ん、なるほど、なるほど。それは確かにありそうですね(と、かなり納得した表情)。僕も似たような感覚があって。期待値で考えるのは、たぶん株の世界でもパチンコの世界でも大事なことかなと思います。 ※第2回目(全4回)に続きます (構成/安住拓哉、中島晶子・AERA編集部) 本記事が丸ごと読める「AERA Money 2024春夏号」はこちら ***** cis(シス)/1979年3月生まれ。法政大学卒業後、会社員として働く傍ら、2002年に貯金300万円を元手に株式投資をはじめる。資産6000万円に到達した2004年に会社を辞め、専業トレーダーに。2007年に50億円の資産を築き、デイトレーダー界のスターになる。X(旧Twitter)のフォロワー数は62万人超(2024年4月現在)。2024年3月現在の資産は「270億円ぐらいかな」。メディア取材はほぼすべて断っているが、今回の対談は特別 テスタ/兵庫県生まれ。2005年に株式投資の世界に飛び込み、専業トレーダーに。最初はスキャルピング(超短期取引)を中心としたデイトレードからスタート。ITバブル崩壊、リーマン・ショックなど、幾多の市場暴落で退場するトレーダーが続出する中、寡黙に荒波を乗り越えてきた。2021年8月に総利益50億円を達成、2024年2月に同100億円を達成。投資先のメインは日本株、先物 編集/綾小路麗香、伊藤忍 ※『AERA Money 2024春夏号』から抜粋
AERA Moneyテスタ日本株新NISAアエラマネー
AERA 2024/05/30 17:00
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