福岡・天神
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 近年、若者を中心に、大都市から地方へ移住する動き「脱都会」の意識が高まっている。今年8月、内閣府が発表した「農山漁村に関する世論調査」によると、農村や漁村に住みたいと考える都市部住人の割合は31.6%。これは、9年前の前回調査と比べて約11ポイント増加していることになる。こと20代に関してはこうした傾向が顕著で、約38.7%の人が「移住願望アリ」としている。

 特に東京は、なにをするにしても利便性は高いが、居住費の高さに加え、満員電車に代表される人の多さなど、従来からの“課題”はすぐに改善される見込みもない。さらに、2011年の東日本大震災において露呈した都市としての脆さ、地震リスクなどで「脱東京」を真剣に考える人が増えた。近年の急速なソーシャルメディアの発達で、必ずしも東京にいなくとも、情報を入手し発信することが可能となったことも要因のひとつだ

 しかし移住するといっても、仕事や住居、子どもの教育など、移住先での心配事は多く、移住願望のある若者の高いハードルとなっている。なにしろ東京都心での生活と農村・漁村での生活とでは、大きくライフスタイルが異なる。様々な面において不安が尽きないであろうことは想像に難くない。

 そこで注目されるのが、都市の利便を享受しながら、身近に豊かな自然環境がある、東京よりもコンパクトな地方都市の存在。つまり、「脱東京」のひとつの選択肢として、東京から他の都市への移住という動きが高まっているのである。

 もちろん、他都市への移住といっても、実際に実行に踏み切るには不安は残る。

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