2018年末に可決した改正水道法により、「水メジャー」と呼ばれるグローバル企業に売却されつつある日本の水道は、危機に瀕している。民営化で運営が効率化されるとは名ばかりで、実際には、株主への配当などを前提に利益が最優先され、水道料金が高騰する恐れがあるというのだ。

 ただ、アムステルダムの政策シンクタンクに身を置く著者の真の訴えは、別のところにある。命に関わる水への権利は、人権に直結する。水を「コモン」(公共財)として捉え、それをめぐる自己決定権を人々が取り戻すことにこそ、新しい民主主義胎動の鍵があるという考え方だ。

 民営化された水道事業等が、草の根運動を機に「再公営化」されていく欧州。その潮流を見据えつつ、水道の問題を「自分ごと」と捉え直す視点を養いたい。(平山瑞穂)

週刊朝日  2020年5月8-15日号