近頃増えてきた「納骨堂」。墓地のような「外墓」に対し、室内に遺骨を納めるための多様な施設があり、それらを見て回った見聞記である。

 東京都心の超モダンビルにある納骨堂は、京都にも本院がある寺が母体と聞き、関西育ちの著者は首を傾げる。旧家を買い取って改造したという本院の写真を見せられ、JR東海の広告「そうだ 京都、行こう。」のようだと思い、「ずいぶんやり手の寺なんだ」と呟く。

 これらの施設では「手ぶら」で墓参が売り。墓を掃除する面倒もない。荘厳さ清潔さに感心しつつも、遺骨の自動搬送システムに「物流倉庫」みたいと突っ込む。墓の値段を尋ね、購入者に話を聞く。墓じまいに密着し、仏壇型の室内墓も見学。樹木葬や散骨なども見て回る。全編通して著者のななめ目線の批評眼が利いている。(朝山 実)

週刊朝日  2019年2月22日号