来年4月30日で、平成の時代の幕が下りることが決まった。終戦直後に制定された新憲法のもと、それまで「国家元首」「大元帥」「現人神」であった天皇は「象徴天皇」という新しい存在としてスタートした。それから昭和、平成と2代にわたる象徴天皇は、いかに生きてきたのか。本書は2本のNHKスペシャルをもとに、新たな資料や証言を加えて書き下ろされた。

 象徴天皇はどのようにして生まれたのか、日本人はそれをどう受け止めたのか、昭和天皇の戦争責任、戦後巡幸、天皇外交、皇太子のデビュー、安全保障と沖縄、被災地を見舞う天皇、変わる国民の天皇観など、戦後70年の歩みを多角的に考察する。

 天皇と日本人の戦後史を改めて見つめ直し、次の代の象徴天皇はどんな存在であるべきかを考えるための一冊となっている。

週刊朝日  2018年3月30日号