書評『ぼくは原始人になった』マット・グレアム、ジョシュ・ヤング著/宇丹貴代実訳 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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《話題の新刊 (週刊朝日)》

ぼくは原始人になった マット・グレアム、ジョシュ・ヤング著/宇丹貴代実訳

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石川奈津美書評#話題の新刊

ぼくは原始人になった

マット・グレアム、ジョシュ・ヤング著/宇丹貴代実訳

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 腰布一枚に手製のサンダル。ブランケットに石のナイフ、わずかなチアシードのみで狩猟生活を送る冒険家が、大自然の一部になり「生」の喜びに出会う体験を綴る。
 学校教育に馴染めなかったマットは、小学2年生のときに教科書で見たアメリカ先住民が使う槍頭の美しさに魅了され原始生活を志す。飢えと凍え、そして死と隣り合わせの中、棒きれで火を熾し、罠にかけた動物の血肉を食らう。極限状態の中で五感は冴えわたり、時に58日間で2700キロの大地を駆け、時に20メートル先の魚を槍で突いた。やがて歯石は剥がれ落ち、口臭は消え、毛髪は豊かに──荒野で手つかずの合理性に出合う。サバイバルのコツは無知を自覚すること。大地に耳を傾けマットが見つけたのは「生」の答えではなく、答えを生涯探し続ける覚悟だろう。

週刊朝日 2016年12月30日号


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