変身

原発

2014/01/29 17:21

 本書は元NHKアナウンサーである著者が、原発に関するドキュメンタリー映画を制作した過程を綴ったノンフィクションだ。
 2011年3月の震災以降、ツイッターを通じて積極的に情報発信を行ってきた著者。2012年、スリーマイルアイランドを訪問した際、調査機関の担当者から1979年のスリーマイル島原発事故について「みんな私たちをもう気にも留めていない」と告げられた。著者はその言葉をきっかけに「スリーマイルの現在は福島の未来」との思いから映画制作を志し、震災直後福島県で生じた原発事故当時の情報公開過程を多角的に検証してゆく。
 映像の編集方針を語った箇所は、書籍だからこそ得られる貴重な知見となっている。例えば、映画のなかでは東電が震災当時行ったテレビ会議の映像が使われた。著者は理由として同映像は市民ならば誰でもアクセスできると断った上で、個々人が自分の目で公開された映像・文書資料にあたる必要性を伝えたかったと語る。「反原発」というカテゴリーを超え、新たな時代における「情報」との付き合い方を考えさせられる一冊。

週刊朝日 2014年2月7日号

変身

堀潤著

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