書評『水族館の歴史 海が室内にやってきた』ベアント・ブルンナー著/山川純子訳 |AERA dot. (アエラドット)

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《話題の新刊 (週刊朝日)》

水族館の歴史 海が室内にやってきた ベアント・ブルンナー著/山川純子訳

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西條博子#話題の新刊

水族館の歴史 海が室内にやってきた

ベアント・ブルンナー著/山川純子訳

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 科学者や熱狂的愛好者たちの思いは、水族館をどのように進化させていったのか。ドイツのノンフィクション・ライターが、精密で鮮やかな挿画をふんだんに交え、人間の飽くなき探求の過程を考察する。
 人間はギリシャ・ローマ時代から水槽に魚を飼って観察していたが、17世紀に金魚が西洋に持ち込まれるとたちまち人気を博した。だが当時、海は忌まわしい暗黒世界で、人々に海への関心が芽生えたのは18世紀に海辺が保養地として親しまれるようになってからだ。
 海の神秘への興味は、次第に鑑賞の美しさを優先させる。中央の空洞に小鳥がいてまわりを魚がすいすい泳ぐ、鳥かごと組み合わせた水槽や、花台と噴水のついた居間用装飾品としての水槽がつくられた。海の生物を淡水に馴らして管理をしやすくし、遠方の国々から色とりどりの魚を取り寄せる。そして水槽は劇場型の殿堂へと規模を拡大させた。現在、毎年2千万匹を超える熱帯魚と1200万の珊瑚が欧米向けに乱獲されているという。著者は水族館ビジネスによる環境破壊に警鐘を鳴らす。

週刊朝日 2013年12月27日号


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