戦いに勝利し「えいえい」と勝鬨をあげる信長(染谷将太)。大河ドラマ「麒麟がくる」 NHK総合 よる8時~ほか(写真提供/NHK)
戦いに勝利し「えいえい」と勝鬨をあげる信長(染谷将太)。大河ドラマ「麒麟がくる」 NHK総合 よる8時~ほか(写真提供/NHK)

 信長の承認欲求は、両親に対するコンプレックスから来ています。この先、「自分が、最も満たされることってなんなのだろう」と考えたとき、「国を一つにまとめれば、みんなが喜び褒めてくれる」と思い込んでしまったように、すべて承認欲求につながっていると思います。

――信長と光秀との距離は、次第に開き始め、正親町(おおぎまち)天皇がキーパーソンとなる。

 信長は最初から、十兵衛(光秀)との距離感を測りかねていました。十兵衛になにか言われたとき、信長は十兵衛に対して腑に落ちない、どのような表現をしていいのかわからない、スネてなにも言えないといった状態でした。そのスネ方が、話が進むにつれ変わります。それは激しいスネ方、嫌なスネ方です。光秀も「こんな上司は嫌だ」と反発し、本能寺の変への伏線となります。

 また帝との関係性も重要で、そのなかで、承認欲求の極みみたいなのがすごく出てきます。単に「褒められた嬉しい」というレベルから、「俺はなんでもできるかも」「もしかしたら自分は無敵なのかもしれない」「自分は神なのかもしれない」とエスカレート。その後、さらに恐ろしい喜び方へと変化していきます。

――現時点(2020年12月9日)で、本能寺の変の撮影はこれから。

 まだ撮影していないのですが、信長を最初から最後まで変わらないピュアな人物として演じたいと思っています。本能寺の変だからといって意気込むことなく、今までのまま挑みたいですね。

 また長期にわたって苦楽を共にした信長と光秀との間には、友情も芽生えています。その友情も含めて、本能寺がどう盛り上がり、どんな切ない場面になるのか、自分も本番が楽しみです。

(インタビュー構成/湯原浩司)

※週刊朝日ムック「歴史道」vol.13より