元タカラジェンヌの写真家・四方花林が写し出す“揺らぎ”の美しさ

米倉昭仁

2020/10/05 08:00

 女性が浅い水辺を舞台に踊っている。薄紫色の布をまとい、ヤナギのような細い葉のついた枝をにぎり、なまめかしく動く体。透けて見える緑がかった茶色い湖底。画面全体がブレ、ピントがどこに合っているかも定かではない。情熱的な体の動きと、陰影のはっきりしない弱い光に照らされた水面とのコントラストが不思議なイメージをつくり出している。
 となりの壁面に飾られた作品では細い両腕が水面を背景に交差し、神秘的な美しさをたたえている。その美しさの源は指先の動きにあるようだが、やはりブレていて、いくら観察してもそれが何なのかはよくわからなかった。

 後日、四方さんにインタビューすると、「見えないことの美しさみたいなものを追求しました」と説明され、作品に写っていたものがストンとふに落ちた。

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