初代OM-D E-M5は作り込みの甘さや、操作系、スペック、EVFの見え方など、フィルム時代の栄光の「OM」の名を冠するには、いささか弱いのではと辛口に評したことがあるが、3世代目のE-M5 MarkIIIで凝縮感が増し、ぐっと締まった印象を受けた。これならOM生みの親、米谷美久さんも喜ばれることだろう(撮影/赤城耕一)
初代OM-D E-M5は作り込みの甘さや、操作系、スペック、EVFの見え方など、フィルム時代の栄光の「OM」の名を冠するには、いささか弱いのではと辛口に評したことがあるが、3世代目のE-M5 MarkIIIで凝縮感が増し、ぐっと締まった印象を受けた。これならOM生みの親、米谷美久さんも喜ばれることだろう(撮影/赤城耕一)

「OM」名を冠したデジタルカメラの初号機、オリンパスOM−D E−M5の登場は2012年。15年の第2世代E−M5 MarkIIを経て、第3世代のE−M5 MarkIIIが登場する。製品のコンセプトはフラッグシップのOM−D E−M1 MarkIIやE−M1Xと同等の高画質ながら小型・軽量で軽快性を追求したモデルということだ。

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 AFや手ブレ補正機構、防塵・防滴はE−M1 MarkIIと同様だが、連写性能が少し下回る。つまり中身はほぼE−M1 MarkIIと同じで、それを小型化したモデルという立ち位置。重量はE−M5 MarkIIより55グラム、E−M1 MarkIIより160グラム軽いが、正直なところ、スペックは新鮮味に乏しい。

ボディー右袖をみる。ダイヤルのデザインにも高級感があるのはいい。モードダイヤルの仕上げも見事である(撮影/赤城耕一)
ボディー右袖をみる。ダイヤルのデザインにも高級感があるのはいい。モードダイヤルの仕上げも見事である(撮影/赤城耕一)

 ただ、E−M5 MarkIIIが小型・軽量であることを強く打ち出しているのは、昨今の35ミリフルサイズミラーレス機と比較したときの、マイクロフォーサーズ機の優位性をアピールしたいからだろう。

 全体のデザインはますますフィルム時代のOMに似てきたようだ。特にボディー頭頂部にその印象が強い。ボディー右側のグリップはE−M5 MarkII同様に浅めだ。ただしモードダイヤルが左袖から右中央部分に移り、操作系はE−M1 MarkIIのそれに近い感覚である。

SDカードのメディアスロットはシングルだ。E-M1 MarkIIはダブルスロットなので、コストを下げるためと想像される(撮影/赤城耕一)
SDカードのメディアスロットはシングルだ。E-M1 MarkIIはダブルスロットなので、コストを下げるためと想像される(撮影/赤城耕一)

 搭載センサーは20M Live MOSセンサー、画像処理エンジンもTruePic VIIIでE−M1 MarkIIと同じ。画素数ではE−M5 MarkIIの16メガピクセルを上回り、かつ121点、オールクロスの像面位相差AFを搭載することで、AFスピードが高速化し、動体の撮影に強くなった。加えて筆者が今もなお愛用するフォーサーズレンズを専用アダプターMMF−3を使用してもAFは高速だ。E−M5 MarkIIと組み合わせたときに感じていたAFの絶望的な遅さが解消されたことも大きな喜びだ。

 手ブレ補正は5.5段分。5軸シンクロ手ブレ補正では最大で6段分。プロキャプチャーや深度合成、ライブコンポジットも備え、フラッグシップOM−D E−M1 MarkIIの存在がかすむ仕上がりだ。

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