三脚や脚立で撮る人、敷地に入って撮影する人は…(写真:getty images)
三脚や脚立で撮る人、敷地に入って撮影する人は…(写真:getty images)

■Q 三脚や脚立で撮る人、敷地に入って撮影する人を処罰してください。(千葉県・吉田さん)

――お二人は裁判官じゃないんですが……。

助川:禁止の場所は当然として、地主さんや周囲の方に迷惑をかけなければ脚立使用も良いと思います。ただ、最近は「乗り鉄」のマナーが問題になった事案もありましたね。地下鉄千代田線で6000系がなくなるときに、みんな1両目にぎゅうぎゅう詰めになって混乱したんです。原因は6000系が駅に着いた時に先頭の写真を撮りたかったけど、停車時間がわずかなため、駅で降りてすぐ撮れるよう1両目に集中して乗車したからだったとか。混乱するのは目に見えているので、乗るなら撮影をあきらめる。撮影するなら乗るのをあきらめるくらいの覚悟は必要です。

櫻井:最近はカメラを持っていない乗り鉄はほとんどいません。

助川:撮り鉄も乗り鉄も共通の問題があることを認識しないといけません。察しと思いやりが何より大切です。

櫻井:だから「みんなの電車」なんですよ!

◯櫻井 寛/さくらい・かん
1954年、長野県生まれ。鉄道員にあこがれ昭和鉄道高校に入学したが、在学中に鉄道写真にみせられ、日本大学芸術学部写真学科に進む。卒業後、出版社写真部勤務を経て、90年にフォトジャーナリストとして独立。93年、陸路海路のみで88日間世界一周。94年、『鉄道世界夢紀行』で第19回交通図書賞を受賞。近著『ぞっこん鉄道今昔』(朝日新聞出版)など著書多数。日本写真家協会会員、東京交通短期大学客員教授。

◯助川康史/すけがわ・やすふみ
1975年生まれ。秋田経済法科大学法学部卒業。東京ビジュアルアーツ写真学科卒業後、鉄道写真家の真島満秀氏に師事。鉄道車両が持つ魅力だけでなく、鉄道をとりまく風土やそこに生きる人々の美しさを伝えることをモットーに日本各地の線路際をカメラを手に奮闘中。「鉄道ジャーナル」「鉄道ダイヤ情報」などの鉄道趣味誌や旅行誌の取材をはじめ、「JTB時刻表」「JR時刻表」の表紙写真を手がける。日本鉄道写真作家協会理事。

(聞き手・文/佐々木広人 取材協力/鉄道コム

※「アサヒカメラ」2月号から抜粋